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プロローグ
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ガルディア大陸の西に位置する大国、グラディル国の西南に位置する領地を治めるクステルタ伯爵には娘が一人しかいなかった。グラディル国は男性が爵位を継ぐのが当たり前で、女性の伯爵継承など歴史上なかった
伯爵は娘に婿をとらせて娘が生んだ男子に爵位を継承する為、準備をすることにした。
まず婿が領地に関して好き勝手できぬよう基本的な知識を娘に施した。
大まかな領地経営は婿に任せるが、最終判断は自分で行うよう娘に促した。
幸い、娘は飲み込みも早く、予定していたよりずっと早く知識を自分のものにした。十分な知識を娘に蓄えさせ、安心していた矢先に伯爵に思いもよらないことが起こった。
妻が流行り病で死んでしまった。
失意の中、親戚に急かされ、抵抗も虚しく強引に若い後妻を娶らされた。
女主人が長く不在では家が荒れやすいので遅かれ早かれ後妻を迎える予定ではあったが、瞬く間に準備を整えられてしまい、後妻に心を寄せる前に体を繋げる事となってしまった。
そして婚姻してすぐに後妻が妊娠して、出産した。
生まれた子供は男子の双子であった。
こうして伯爵の一人娘の運命は『婿をとる』から『嫁にいく』に変わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父様、今なんとおっしゃいましたの?」
「…マリィアンナ、婚約者を用意するから嫁ぐのだ」
「…とつ…ぐ…?」
「ダリアが子供を…男児を生んだのだ。後継はダリアの子に…」
マリィアンナは金色に輝く髪をサラリとたなびかせ、茶色の瞳を揺らし眉をひそめながら父の言葉を遮った。
「ですがまだ生まれて間もないではないですか!それにお母様のように病に…」
マリィアンナの言葉に今度は伯爵が遮る。
「幼い、確かにそうだ。メリアンのように病にかかり身罷るかもしれん。」
「では」
「だが、双子なのだ。どちらかは生き残るやもしれん。」
「…お父様」
マリィアンナは自分と同じ茶色の父の目を下唇をかみながら見つめた。
「…もう決めたことだ」
当主である父の決定だ。マリィアンナの答えるべき返事は一つしかない。
「…わかりました」
それ以上言うことはなく、マリィアンナは怒りを押し殺しながら書斎から退出しようとした。
マリィアンナは書斎から出る瞬間、最後に戸の隙間から父親の顔を垣間見た。
眉間にしわを寄せ、苦渋の顔をして唇をかみしめていた。
マリィアンナは扉に背を預け下を向き、震える右手の握りこぶしを左手で包み込み怒りを抑え込み、しばらくブルブルと震えていた。
茶色い瞳からはポタリポタリと涙が零れ、ドレスへ流れ落ちた。
そしてしばらくして深く何度も深呼吸して、悲しげに微笑みながらポツリとつぶやいた。
「…私の5年間の猛勉強は…なんだったのかしら…。お父様は私が後を継げずに残念と少しは思ってくれたかしら…」
瞳を閉じ、少し乱暴に左手の甲で涙をぬぐいながら鼻をズッとならし、顔をあげ、目を瞬きさせてからフーッと息を吐いた。
そして淑女らしく背筋を伸ばし、優雅に歩きながらマリィアンナは自室へと戻って行った。
伯爵は娘に婿をとらせて娘が生んだ男子に爵位を継承する為、準備をすることにした。
まず婿が領地に関して好き勝手できぬよう基本的な知識を娘に施した。
大まかな領地経営は婿に任せるが、最終判断は自分で行うよう娘に促した。
幸い、娘は飲み込みも早く、予定していたよりずっと早く知識を自分のものにした。十分な知識を娘に蓄えさせ、安心していた矢先に伯爵に思いもよらないことが起こった。
妻が流行り病で死んでしまった。
失意の中、親戚に急かされ、抵抗も虚しく強引に若い後妻を娶らされた。
女主人が長く不在では家が荒れやすいので遅かれ早かれ後妻を迎える予定ではあったが、瞬く間に準備を整えられてしまい、後妻に心を寄せる前に体を繋げる事となってしまった。
そして婚姻してすぐに後妻が妊娠して、出産した。
生まれた子供は男子の双子であった。
こうして伯爵の一人娘の運命は『婿をとる』から『嫁にいく』に変わった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お父様、今なんとおっしゃいましたの?」
「…マリィアンナ、婚約者を用意するから嫁ぐのだ」
「…とつ…ぐ…?」
「ダリアが子供を…男児を生んだのだ。後継はダリアの子に…」
マリィアンナは金色に輝く髪をサラリとたなびかせ、茶色の瞳を揺らし眉をひそめながら父の言葉を遮った。
「ですがまだ生まれて間もないではないですか!それにお母様のように病に…」
マリィアンナの言葉に今度は伯爵が遮る。
「幼い、確かにそうだ。メリアンのように病にかかり身罷るかもしれん。」
「では」
「だが、双子なのだ。どちらかは生き残るやもしれん。」
「…お父様」
マリィアンナは自分と同じ茶色の父の目を下唇をかみながら見つめた。
「…もう決めたことだ」
当主である父の決定だ。マリィアンナの答えるべき返事は一つしかない。
「…わかりました」
それ以上言うことはなく、マリィアンナは怒りを押し殺しながら書斎から退出しようとした。
マリィアンナは書斎から出る瞬間、最後に戸の隙間から父親の顔を垣間見た。
眉間にしわを寄せ、苦渋の顔をして唇をかみしめていた。
マリィアンナは扉に背を預け下を向き、震える右手の握りこぶしを左手で包み込み怒りを抑え込み、しばらくブルブルと震えていた。
茶色い瞳からはポタリポタリと涙が零れ、ドレスへ流れ落ちた。
そしてしばらくして深く何度も深呼吸して、悲しげに微笑みながらポツリとつぶやいた。
「…私の5年間の猛勉強は…なんだったのかしら…。お父様は私が後を継げずに残念と少しは思ってくれたかしら…」
瞳を閉じ、少し乱暴に左手の甲で涙をぬぐいながら鼻をズッとならし、顔をあげ、目を瞬きさせてからフーッと息を吐いた。
そして淑女らしく背筋を伸ばし、優雅に歩きながらマリィアンナは自室へと戻って行った。
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