元伯爵令嬢の結婚生活~幸せな繋がり~

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婚約期

晩餐と

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サロンで会話が盛り上がり、ミーシャへのプレゼントは日々起こることを書き込んで幸せに暮らしてほしいという思いを込めて『日記帳』にすることにした。

丁度決まったところでメイドが夕飯だと知らせに来た。
ホールに行くと長テーブルにズラリと椅子が並んでいる。
女性たちが各々の席の前へと立つ。
奥から伯爵家、子爵家、男爵家と座っている。
すぐにマリィアンナの父・クステルタ伯爵、父方の祖父・グラドン、叔父・グロッツ、従弟のディアン、母方の伯父アンドル子爵、従弟のドルンが並んで入室してきた。
そして既婚の男性陣が着席した後に夫人達が座り、未婚の令嬢達はカテーシーをし、未婚の令息達は右手の手のひらを胸にあて礼をして敬意を示した。
幼いタティとドルンも『親戚一同が集まる食事における始まりの挨拶』に緊張しながらもやり遂げた。

着席が住むとメイドが一斉に入室し、食事を運ぶ。
メイドが退出した頃合いをみて、父・クステルタ伯爵は祖父のグラトンに目配せをした。グラトンは軽くうなずいたのでクステルタ伯爵はワインを持った。
それを合図に皆、飲み物を持つ。
此度こたびはマリィアンナの為の集まり、感謝する。マリィアンナの人生に幸あれ!」
「幸あれ!」
一同が父の言葉の語尾を繰り返し、手に持ったグラスを前に軽く突き出し飲み物を揺らす。
マリィアンナは今日と明日の主役が自分だと実感して、照れ臭く感じた。

今日の夕食のメニューは
白いパン、チキンのパイ包み、牛肉のシチュー、ポテトソテー


牛肉なんて…あぁ!ホロホロと崩れていきますわ!美味しいわ!
チキンは…刺激的な味付けですこと。
ポテトはほくほくして美味しいですわ。
でもちょっとお肉、多いですわね。量も…


各々が食事をしながらマリィアンナに従弟のディアンが話しかけた。
「そういえばアルベルト様ってどんな方なんだい?」
「どんな方…」
マリィが食べる手を止めて考えていると、アンゼルが
「わたくしも気になりますわ!夜会であまりみたことなかったですもの」
と、答えた。
「アンゼルは夜会ですぐ帰るから見かけないだけだろう」
苦笑しながらディアンが答えた。
「確か見目麗しい方ですのよね」
サッシャがアルベルトの情報を話すと、祖父のグラドンが「ほう?」と会話に入った。
「そんなに容姿がいいのか?」
グラトンがワインを飲みながらサッシャへ聞くと
「えぇ、お姿絵すがたえが令嬢の間で人気があるとか」
サッシャはうなずきながら答えた。

「そうでしたの!知らなかったわ…」
マリィアンナは少々驚いた。

「それは…多少苦労するかもな。だがマリィは賢く美しいから大丈夫だろう」
グラドンはワインを軽く掲げ、マリィアンナに向かってにっこりと笑った。
マリィアンナは微笑みを返し、チキンを1口サイズに切り口へ黙々と運んで行った。


絵姿が出回るほど見目麗しい夫…なんだか問題が起こりそうで怖いわね。
政略結婚とはいえ、できれば波風立てないよう穏やかな関係を目指したいのだけど…

不安を振り払うように、テーブルに並んだ料理をマリィアンナは次々と胃袋に収めて食べ過ぎて苦しくなり、フラフラしながら自分の宿泊部屋へと戻って行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝、朝食を終えた後すぐにテリーナと雑貨屋へ向かった。可愛い便箋びんせんや小物が並ぶ中、数冊の日記帳が並んでいた。
花が描かれている可愛いものからシンプルなものまで色々あったが、テリーナとマリィアンナはそれぞれ気になるものを手に取った。
2人はお互いが選んだものを思わず見合った。
テリーナのは表紙に白いコスモスが描かれており、マリィアンナのは黄色いコスモスが描かれてたがどちらも薄い緑の日記帳であった。
どちらも捨てがたかったので、2冊とも購入することにした。

その後マリィアンナは買い物をするテリーナと別れて、早々に宿に戻り準備をし始めた。
手早く入浴を済ませ、メイドに手伝ってもらいウェディングドレスとして用意したドレスへ着替える。
いつもより重みのある豪華なドレスを身に付け、マリィアンナも緊張の色を見せる。背後にいる叔母達の視線に、メイドの手も若干震え気味だった。
長い髪に編み込みをし、パタパタと化粧を施して唇に紅を引き、青い宝石のネックレスを付け、最後にキラキラと光る髪飾りを付けた。

「その宝石でいいの?少し小さいのではないかしら」
叔母・マグリアがネックレスを見ながら言うと、マリィアンナは
「これでいいのですわ。初めてアルベルト様が下さったものですもの。それに特別な技術が施されてましてわたくしも気に入ってますの!結婚式の記念にもしたいのですわ」
「そうだったのね、マリィアンナが言うならそれがいいわね」
マグリアは何度も頷きながら微笑んだ。


そこへコンコンとノックする音が聞こえた。
入室を許可されたメイドは老人を支えながら部屋へと入ってきた。

「お祖母ばあさま!」
マリィアンナはすぐに立ち上がりカテーシーをして敬意を示した。
「マリィアンナ、お食事に参加できなくて昨日は申し訳なかったわね」
「いえ!お祖母様、長旅でお疲れでしょう。お加減いかがですか?」
「ずいぶん楽になったよ。みなの負担にならないよう、式だけ参列してその後はわたくしは宿で休ませてもらうことにするわ」
「えぇ、お祖母様が参列してくださるなんてわたくし嬉しいですわ!」

祖母のミリアはメイドに支えてもらいながらマリィアンナに近づき、手をとって
「大きくなったわね…メリアンの結婚式を思い出すわ…綺麗よマリィ…」
笑いしわをよせてにっこり笑った。
「お祖母様…」
「貴族としての矜持きょうじを忘れず穏やかな人生を送るんだよ…」
「…はい」
祖母の目をまっすぐ見て微笑みながらマリィアンナは答えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

親戚一同、それぞれのメイドに手伝わせてドレスや礼服へ着替えていく。
女性はベルベット生地の様々な色味のドレスを身に付けていた。
男性はふんわりとしたクラバットと呼ばれるタイを首元に着け、胸に家門が掘られたブローチを付け、ローブを片方の肩に固定して貴族男性の公の衣装を身に付けていた。

親戚が1台また1台と次々と馬車に乗り込み発車していき、ガタガタと馬車の行列が続く。
最後尾の馬車には父・クステルタ伯爵とマリィアンナが乗り込む。
道すがら馬車とすれ違う人々は馬車の行列を珍し気に眺めている。

馬車の中では親子は終始無言であった。
親子が2人きりで話す機会はこれで最後であった為、お互い言葉が出なかった。

ガヤガヤと外から声がして次々と教会の中へと吸い込まれるように人が入っていく。
教会の前に付くとクステルタ伯爵が馬車から降りる為、ステッキを持ち換えドアをあける。
マリィアンナの手を優しく支えてエスコートをしながらポツリとクステルタ伯爵が呟いた。
「幸せになれる。マリィなら大丈夫だ」

そのままカツカツと靴音を鳴らしながら礼拝堂へと入って行った。
マリィアンナは泣きそうなのをこらえながらつぶやいた。
「わたくし、幸せになります。…お父様」

マリィアンナは決意を新たにドレスをつまみ上げながらメイドに誘導されながら控室へと入って行った。
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