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優未

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「急に魔力量が減った、ねぇ」

「何かした記憶も、された記憶もありません」

「うん。誰かの魔力の干渉はなさそうだね。これはただ回復するのを待つしかないかな」

「そうですか」

「魔力が薄いと言っても、日常生活を送る分には問題ないよ。通常の魔力持ちと比べても遜色ない」

「任務には支障があるということですね」

「それは僕からも伝えるよ」

急激に失われた魔力量に驚き、恩師の元を訪ねるも、原因は不明のままだった。

「先生、ありがとうございました」

「魔力過多で苦しんでいた君にこんな相談を受けるとは思わなかったな」

彼は、子供の頃、自分でコントロールできないくらいの魔力量に苦しんでいた私を助けてくれた魔法医だ。魔法騎士は特殊な任務も多く、通常の医療行為や治癒魔法が効かない事象に出くわすこともある。この職に就いてから何度も世話になったが魔力の減少で診察を受けるのは初めてだった。

魔力が減った私はひとまず夜会の護衛の任務に就くこととなった。

「離してください」

聞こえた声に胸がざわつき、視線を向けると揉めている男女が目に入った。

「私の婚約者に何か用かな」

2人の間に割り込むと、男は私の顔を見るやいなや逃げ出していった。肩から手を外し、無事を確認しようとすると、助けた令嬢―――リナリア・クレマチスと目が合う。それと同時に魔力が体を巡る感覚を覚える。彼女から目をそらせない。咄嗟のこととはいえ婚約者と名乗ったことを謝罪すると、彼女には婚約者がいないらしい。確か彼女には婚約者が…?いやいなかったか。リナリア嬢は次の任務の対象者の1人。この機会を逃してはいけない、そう思った。

「では私と婚約してくれるか?」 

それは自分の口から出たとは思えない一言だった。



魔力量減少の原因はわからないまま、経過観察のために今日も魔術医の元を訪れる。

「確かにこの前より少し回復したね。心当たりはあるかな」

「先日の夜会でリナリア嬢と接触してから…魔力が体を巡る感覚がありました」

「ふむ。恋の力は偉大だ。魔力は生命力とも直結するからね」

「ん…」

気まずさに恩師の顔を見られない。

「僕は近々隣国に行くから心配だったけど、この調子なら任務も大丈夫そうだね」

「あの方の判断にもよりますが」

いつも穏やかな笑みを浮かべている恩師が、真剣な顔でこちらを見る。

「…君なら守り抜いてくれると信じているよ」
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