俺がモテない理由

秋元智也

文字の大きさ
11 / 61

第十一話 剣と剣の戦い

しおりを挟む
あの時は、本当にただ景品と賞金が目当てだった。
だから、誰が相手であっても、問題ないと思って
いたのだった。

前衛の戦士が欲しい。
回復魔法を使える神官が欲しい。

これは勇者パーティーの最低条件だった。
どのゲームでも、最低限必要な構成だった。

ここ、鍛治職人の街で開催される騎士の大会は
魔法なしの剣と剣の戦いだった。

俺も多少は剣は使える。
もちろん、勇者である誠治には敵わないが…。

それでも、一般兵と何度か訓練したので普通に
使える程度にはなっているのだ。

どこまで通じるのか試してみたいという気持ち
も少なからずあった。
だが、誠治が出るとなれば話は変わってくる。

ただ恥をかくだけなので、絶対に出る気にはな
れない。

こうして、誠治を応援しつつ、裏で行われてい
る賭け試合の方に参加したのだった。

「おっちゃん、金貨5枚を新人のSに賭ける」
「おぉ?いいのか?初めての新人だぞ?対戦相
 手は、毎年優勝は逃しているが、強者だぞ?」
「いいのいいの。俺はあいつに賭けたい気分なの」
「悪い事は言わん、新人はやめとけ。しかも金貨
 5枚も……無くなるだけだぞ?」

俺はニヤリと笑うと、掛札を受け取った。

周りではバカにしたように笑っていた。
それもそうだろう。
今、観覧席から見ただけでも体格が違い過ぎる。

誠治は俺よりも身長は高い方だったが、誠治の前
に立っている男は、その倍ほどあった。

筋肉も隆起していて、大人と子供程の差があったか
らだった。

賭けの倍率も200%……それほど、俺以外全員が対
戦相手にかけた事になる。

「これは美味しい試合じゃん」

始まって、あっという間に決着がついた。
それも、勢いよく向かって行った大男の方が力技で
負けたのだった。

剣が当たった瞬間、弾き飛ばされるように後方に吹
っ飛び、そのまま気絶したのだった。

俺は喜び勇み換金場所へと戻って来た。

「おっちゃん、換金よろしく!」
「お、さっきの小僧か。お前、なかなかいい目をし
 ているな~」
「へへへっ……だろ?」

そう言うと、袋に入った金貨を数えた。

5枚から一気に増えたせいで結構重い。
もうちょっと賭けたい所だったが、周りの視線が痛
くて今日はやめておく事にした。

もちろん、誠治の試合はもう一戦あるが、まだ慌て
る事はない。

俺が歩いていると、後ろに同じペースでついてくる
者がいた。

もちろん一人ではない。

数人……。
悪目立ちしたせいか、もしくは金貨を奪うつもりか。

どちらにしても、いい意味ではなさそうだった。

いきなり走り出すと、路地裏を曲がった。
そして、魔法で風を起こすと一気に屋根の上まで舞
い上がったのだった。

眼下には、さっきついて来ていた男達が、キョロキ
ョロと探している。

俺は屋根を伝って、風魔法を駆使して宿屋まで戻っ
てきた。

「誠治、今日はすごかったな~」
「見ててくれたんだね。絶対に優勝するから、見
 ててくれるよね?」
「あぁ、そうだな……」

少しぎこちなく答えると、誠治は何かがあったの
だと悟った。

「また何かやらかしたの?」
「違うって、帰る時になんか変な奴らにつけられ
 ててさ」
「それって、陸を害そうとしてたって事?」
「さぁ~な、わかんねーけど。しっかり巻いて来
 たからさ」
「いくら魔法が使えても接近戦は危ないんだから
 ね?特に対人戦は魔物と違って、予想外な動き
 をするから」
「あぁ、気をつけるよ」

誠治はその日、ずっと俺から離れなかった。
あーーーだから、言いたくなかったんだよっ!
少しは一人にしてくれよっ!

と、心の中で叫んだのだった。






しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

ヒメ様が賊にさらわれました!

はやしかわともえ
BL
BLです。 11月のBL大賞用の作品です。 10/31に全話公開予定です。 宜しくお願いします。

新生活始まりました

たかさき
BL
コンビニで出会った金髪不良にいきなり家に押しかけられた平凡の話。

唇を隠して,それでも君に恋したい。

初恋
BL
同性で親友の敦に恋をする主人公は,性別だけでなく,生まれながらの特殊な体質にも悩まされ,けれどその恋心はなくならない。 大きな弊害に様々な苦難を強いられながらも,たった1人に恋し続ける男の子のお話。

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

劣等生の俺を、未来から来た学院一の優等生が「婚約者だ」と宣言し溺愛してくる

水凪しおん
BL
魔力制御ができず、常に暴発させては「劣等生」と蔑まれるアキト。彼の唯一の取り柄は、自分でも気づいていない規格外の魔力量だけだった。孤独と無力感に苛まれる日々のなか、彼の前に一人の男が現れる。学院一の秀才にして、全生徒の憧れの的であるカイだ。カイは衆目の前でアキトを「婚約者」だと宣言し、強引な同居生活を始める。 「君のすべては、俺が管理する」 戸惑いながらも、カイによる徹底的な管理生活の中で、アキトは自身の力が正しく使われる喜びと、誰かに必要とされる温かさを知っていく。しかし、なぜカイは自分にそこまで尽くすのか。彼の過保護な愛情の裏には、未来の世界の崩壊と、アキトを救えなかったという、痛切な後悔が隠されていた。 これは、絶望の運命に抗うため、未来から来た青年と、彼に愛されることで真の力に目覚める少年の、時を超えた愛と再生の物語。

【8話完結】僕の大切な人はBLゲームの主人公でした。〜モブは主人公の幸せのためなら、この恋も諦められます〜

キノア9g
BL
転生先は、まさかのBLゲームの世界。 モブであるリセルは、恋を自覚した瞬間、幼馴染・セスがこの世界の“主人公”だと気づいてしまう。 このまま一緒にいても、いつか彼は攻略対象に惹かれていく運命——それでも、今だけは傍にいたい。 「諦める覚悟をしたのに、どうしてこんなにも君が愛おしいんだろう」 恋の終わりを知っているモブと、想いを自覚していく主人公。 甘さと切なさが胸を締めつける、すれ違いから始まる運命の物語。 全8話。

処理中です...