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第三十四話 聖女の隠し事
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聖女レイネ。
彼女は元から聖女だったわけではない。
小さな村で育った彼女は、ごく平凡な家庭に生まれ
た。
裕福とは言えないが、優しい父と、少し厳しい母に
育てられ、姉が一人いた。
姉は誰にでも優しく、温和な性格で生まれながらに
して膨大な魔力を持っていた。
ゆくゆくは、魔法学校へ行きエリートコースを進む
と思われた矢先の事故だった。
姉と一緒に家へ向かう途中で、人攫いにあったのだ。
毎晩、毎晩、姉はレイネを庇って、連れて行かれた。
戻って来た時はあちこちに赤い鬱血があり、姉は次
第に笑わなくなった。
感情さえも、なくなって行った。
ただ、冷たい部屋で姉の温もりだけがレイネの拠り
処だった。
そして、とうとうボロ雑巾のように動かなくなって
しまった姉を見て、レイネの中の何かが吹っ切れた
気がした。
レイネは必死になって姉の魔力を自分のものにした
のだ。
レイネのスキルは、強奪。
何もできなかったレイネが、姉の魔力も力も全部奪
った瞬間だった。
強すぎる力は、自分をも滅ぼす。
レイネには、制御できなかったのだ。
そして、レイネは考えたのだった。
教会へ向かおうと。
魔力を暴走させると、その隙に人攫いから逃げ
出したのだ。
命からがら向かった先は教会だった。
それはレイネが8歳の時だ。
教会で一人の友人ができた。
彼女が、聖女の称号を持つ事になる女性だった。
聖女には、身体の一部分に聖印という印が浮かび
上がるのだった。
それをいち早く見つけたのがレイネだった。
「あれ?なんかこんなところに傷が……」
「えぇーー背中?よく見えないよう?」
「私が見てあげるよ~ちょっとしゃがんでて~」
子供同士のじゃれ合いのような仕草だったが、
レイネが強奪を使った二度目の出来事だった。
レイネのスキルは発動してしまえば、もう止め
ることは自分でも出来ない。
相手が死ぬまで奪い尽くす。
能力は上書きされる為、前に奪った姉のスキル
は消えてしまう。
だが、『聖女』を奪えるなら、安いものだった。
友人を亡くした、その日。
レイネは聖女となった。
胸の横に聖印と呼ばれる印が浮き出ていたからだ。
友人は自分が聖女だと、気づく事なくレイネによ
って命ごと奪われてしまったのだ。
レイネの能力を見抜ける者は早々居ない。
居たとしたら、それは本物の聖女だけだろう。
聖女には呪いを解く事の出来る呪解と人を癒す事
が出来るからだ。
呪解をかけられれば、せっかく奪ったスキルも力
も全部無くなってしまうのだ。
あの時、陸を見て一度は治癒をかけようとしたの
だった。
だが、治癒が効かなかった。
呪術的な何かが邪魔して魔法が効かなかった。
なら、呪解をすればいいと思ったが。それも出来
なかった。
本物の聖女ではないので、治癒しか使えないのだ。
神の神託を聞く事も、勿論出来ない。
「何よっ……なんでこんなところで躓くのよっ!」
あきらかにモンドにも勇者にも怪しまれたはずだ。
レイネは聖女であり続けなければならない。
大事な友人を死なせてまで、手に入れた地位を失う
わけにはいかないからだった。
彼女は元から聖女だったわけではない。
小さな村で育った彼女は、ごく平凡な家庭に生まれ
た。
裕福とは言えないが、優しい父と、少し厳しい母に
育てられ、姉が一人いた。
姉は誰にでも優しく、温和な性格で生まれながらに
して膨大な魔力を持っていた。
ゆくゆくは、魔法学校へ行きエリートコースを進む
と思われた矢先の事故だった。
姉と一緒に家へ向かう途中で、人攫いにあったのだ。
毎晩、毎晩、姉はレイネを庇って、連れて行かれた。
戻って来た時はあちこちに赤い鬱血があり、姉は次
第に笑わなくなった。
感情さえも、なくなって行った。
ただ、冷たい部屋で姉の温もりだけがレイネの拠り
処だった。
そして、とうとうボロ雑巾のように動かなくなって
しまった姉を見て、レイネの中の何かが吹っ切れた
気がした。
レイネは必死になって姉の魔力を自分のものにした
のだ。
レイネのスキルは、強奪。
何もできなかったレイネが、姉の魔力も力も全部奪
った瞬間だった。
強すぎる力は、自分をも滅ぼす。
レイネには、制御できなかったのだ。
そして、レイネは考えたのだった。
教会へ向かおうと。
魔力を暴走させると、その隙に人攫いから逃げ
出したのだ。
命からがら向かった先は教会だった。
それはレイネが8歳の時だ。
教会で一人の友人ができた。
彼女が、聖女の称号を持つ事になる女性だった。
聖女には、身体の一部分に聖印という印が浮かび
上がるのだった。
それをいち早く見つけたのがレイネだった。
「あれ?なんかこんなところに傷が……」
「えぇーー背中?よく見えないよう?」
「私が見てあげるよ~ちょっとしゃがんでて~」
子供同士のじゃれ合いのような仕草だったが、
レイネが強奪を使った二度目の出来事だった。
レイネのスキルは発動してしまえば、もう止め
ることは自分でも出来ない。
相手が死ぬまで奪い尽くす。
能力は上書きされる為、前に奪った姉のスキル
は消えてしまう。
だが、『聖女』を奪えるなら、安いものだった。
友人を亡くした、その日。
レイネは聖女となった。
胸の横に聖印と呼ばれる印が浮き出ていたからだ。
友人は自分が聖女だと、気づく事なくレイネによ
って命ごと奪われてしまったのだ。
レイネの能力を見抜ける者は早々居ない。
居たとしたら、それは本物の聖女だけだろう。
聖女には呪いを解く事の出来る呪解と人を癒す事
が出来るからだ。
呪解をかけられれば、せっかく奪ったスキルも力
も全部無くなってしまうのだ。
あの時、陸を見て一度は治癒をかけようとしたの
だった。
だが、治癒が効かなかった。
呪術的な何かが邪魔して魔法が効かなかった。
なら、呪解をすればいいと思ったが。それも出来
なかった。
本物の聖女ではないので、治癒しか使えないのだ。
神の神託を聞く事も、勿論出来ない。
「何よっ……なんでこんなところで躓くのよっ!」
あきらかにモンドにも勇者にも怪しまれたはずだ。
レイネは聖女であり続けなければならない。
大事な友人を死なせてまで、手に入れた地位を失う
わけにはいかないからだった。
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