33 / 82
第三十三話 治療できない理由
しおりを挟む
魔族達が動き出した頃、勇者一行はまだ街に足止め
されていた。
本当なら、そのまま旅立つはずだったのだが、陸が
いきなり倒れたせいで、そのまま宿に引き篭もる事
になったのだった。
「ちょっと、なんなのよ~」
「まぁまぁ、陸も疲れが溜まってたのかもしれな
いね。まぁゆっくりしようか」
「それは別に……勇者様がいうなら……」
レイネは勇者の言葉であれば、文句はないという。
「勇者は病気にならないんだよな?」
「あぁ、モンドの言うとおりだ。僕には病気などの
状態異常には耐性があるからね」
「そして、レイネは聖女なのだろう?病気も状態異
常なら魔法で治せるんじゃないか?」
モンドが言うのも最もだった。
だが、レイネが反対したのが問題だった。
「嫌ですわ。ただで治療など、絶対に嫌ですわ。
いくら勇者様の頼みでも嫌なのです」
と頑固だったのだ。
これには、色々と事情があった。
教会に仕えているレイネは国の保護を受けている
勇者と旅はしているが、必ずしも友好関係ではな
かった。
国に恩を売ると言う名目で同行しているのだ。
だから、魔王討伐後にこうして同行する意味はな
いのだった。
だから代わりの理由がいるのだった。
それを誤魔化すようになんだかんだと理由をこさ
えた。
だから、無償での治療はしないと言ったのだ。
初め、勇者から呼び出された時は、ドキドキしな
がら部屋に向かった。
まさか部屋に招かれるとは思わなかったからだ。
だが、実際は倒れて熱をだした陸を治療してくれ
というものだったのだ。
嫌々ながらも魔法を使おうとして、手を翳してか
ら…すぐに辞めたのだった。
「レイネ、お願いだよ。陸に治癒魔法をかけてく
れないかな?」
「なっ……部屋に来て欲しいってこれですの?」
「あぁ、お願い。治癒魔法をかけてくれたら、こ
の後、デートしよ?」
「なっ……二人きりですわよ?」
「もちろん。二人きりだよ?」
勇者の笑顔に、クラッとくると魔法を発動させよ
うとしたのだ。
だが、すぐに辞めると言って出ていく。
「やっぱり、辞めますわ。ご自分で療養なされば
治るのに、私が手を出す必要はありませんわ」
「待って、レイネっ!」
勇者の声が慌てているのがわかる。
でも、レイネは決して頷かなかったのだった。
そのせいで、暫くは街に滞在する事になっただっ
た。
1週間、ずっと寝込む事になった。
そしてゆっくりと快方へと向かった。
今では、普通に起き上がれる程度にはなった。
「陸、体はどう?」
「あぁ、悪いな……なんか身体が怠くてさぁー」
「うん。無理したせいかもね。今はゆっくり休ん
でて」
「あぁ、そうするよ」
そこでモンドも疑問に思う。
どうしてレイネは陸の治療を拒んだのか?
「おい、レイネ。なぜ陸を治さない?」
「何よ?モンドまで?」
「当たり前だろ?仲間だろ?」
「仲間?あの男が?冗談じゃないわ。勇者様を一人
じめするような男を仲間なんて言わないわ」
「お前……性格悪いな。よくそんなんで聖女なんて
呼ばれてるよな?」
モンドは自分の思った言葉を口に出していた。
レイネだって、ちょっと意地悪だとは思っていた。
だからこそ、モンドにも、勇者にも、そんな目で見
られたくはなかった。
「何よ、別にいいでしょ?得がないと疲れる魔法は
使わないのよっ!」
そう言って、宿屋を出ていく。
ここにいると息が詰まるからだった。
勇者と顔を合わせる度に、陸の名前しか出てこない
からだった。
されていた。
本当なら、そのまま旅立つはずだったのだが、陸が
いきなり倒れたせいで、そのまま宿に引き篭もる事
になったのだった。
「ちょっと、なんなのよ~」
「まぁまぁ、陸も疲れが溜まってたのかもしれな
いね。まぁゆっくりしようか」
「それは別に……勇者様がいうなら……」
レイネは勇者の言葉であれば、文句はないという。
「勇者は病気にならないんだよな?」
「あぁ、モンドの言うとおりだ。僕には病気などの
状態異常には耐性があるからね」
「そして、レイネは聖女なのだろう?病気も状態異
常なら魔法で治せるんじゃないか?」
モンドが言うのも最もだった。
だが、レイネが反対したのが問題だった。
「嫌ですわ。ただで治療など、絶対に嫌ですわ。
いくら勇者様の頼みでも嫌なのです」
と頑固だったのだ。
これには、色々と事情があった。
教会に仕えているレイネは国の保護を受けている
勇者と旅はしているが、必ずしも友好関係ではな
かった。
国に恩を売ると言う名目で同行しているのだ。
だから、魔王討伐後にこうして同行する意味はな
いのだった。
だから代わりの理由がいるのだった。
それを誤魔化すようになんだかんだと理由をこさ
えた。
だから、無償での治療はしないと言ったのだ。
初め、勇者から呼び出された時は、ドキドキしな
がら部屋に向かった。
まさか部屋に招かれるとは思わなかったからだ。
だが、実際は倒れて熱をだした陸を治療してくれ
というものだったのだ。
嫌々ながらも魔法を使おうとして、手を翳してか
ら…すぐに辞めたのだった。
「レイネ、お願いだよ。陸に治癒魔法をかけてく
れないかな?」
「なっ……部屋に来て欲しいってこれですの?」
「あぁ、お願い。治癒魔法をかけてくれたら、こ
の後、デートしよ?」
「なっ……二人きりですわよ?」
「もちろん。二人きりだよ?」
勇者の笑顔に、クラッとくると魔法を発動させよ
うとしたのだ。
だが、すぐに辞めると言って出ていく。
「やっぱり、辞めますわ。ご自分で療養なされば
治るのに、私が手を出す必要はありませんわ」
「待って、レイネっ!」
勇者の声が慌てているのがわかる。
でも、レイネは決して頷かなかったのだった。
そのせいで、暫くは街に滞在する事になっただっ
た。
1週間、ずっと寝込む事になった。
そしてゆっくりと快方へと向かった。
今では、普通に起き上がれる程度にはなった。
「陸、体はどう?」
「あぁ、悪いな……なんか身体が怠くてさぁー」
「うん。無理したせいかもね。今はゆっくり休ん
でて」
「あぁ、そうするよ」
そこでモンドも疑問に思う。
どうしてレイネは陸の治療を拒んだのか?
「おい、レイネ。なぜ陸を治さない?」
「何よ?モンドまで?」
「当たり前だろ?仲間だろ?」
「仲間?あの男が?冗談じゃないわ。勇者様を一人
じめするような男を仲間なんて言わないわ」
「お前……性格悪いな。よくそんなんで聖女なんて
呼ばれてるよな?」
モンドは自分の思った言葉を口に出していた。
レイネだって、ちょっと意地悪だとは思っていた。
だからこそ、モンドにも、勇者にも、そんな目で見
られたくはなかった。
「何よ、別にいいでしょ?得がないと疲れる魔法は
使わないのよっ!」
そう言って、宿屋を出ていく。
ここにいると息が詰まるからだった。
勇者と顔を合わせる度に、陸の名前しか出てこない
からだった。
22
あなたにおすすめの小説
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
多分嫌いで大好きで
ooo
BL
オメガの受けが消防士の攻めと出会って幸せになったり苦しくなったり、普通の幸せを掴むまでのお話。
消防士×短大生のち社会人
(攻め)
成瀬廉(31)
身長180cm
一見もさっとしているがいかにも沼って感じの見た目。
(受け)
崎野咲久(19)
身長169cm
黒髪で特に目立った容姿でもないが、顔はいい方だと思う。存在感は薄いと思う。
オメガバースの世界線。メジャーなオメガバなので特に説明なしに始まります( . .)"
君の中に入りたい
下井理佐
BL
【完結しました!】
霊媒体質のせいで病弱になってしまった高校生・氷室翠(ひむろすい)は、ある日街中で霊を取り込んでしまい苦しんでいるところを隣のクラスの神原春渡(かんばらはると)に助けられる。神原の特殊な力に気付いた氷室は、神原に友達になってほしいと願う。
冷酷なミューズ
キザキ ケイ
BL
画家を夢見て都会へやってきた青年シムは、「体液が絵の具に変わる」という特殊な体質を生かし、貧乏暮らしながらも毎日絵を描いて過ごしている。
誰かに知られれば気持ち悪いと言われ、絵を売ることもできなくなる。そう考えるシムは体質を誰にも明かさなかった。
しかしある日、シムの絵を見出した画商・ブレイズに体質のことがばれてしまい、二人の関係は大きく変化していく。
あなたの家族にしてください
秋月真鳥
BL
ヒート事故で番ってしまったサイモンとティエリー。
情報部所属のサイモン・ジュネはアルファで、優秀な警察官だ。
闇オークションでオメガが売りに出されるという情報を得たサイモンは、チームの一員としてオークション会場に潜入捜査に行く。
そこで出会った長身で逞しくも美しいオメガ、ティエリー・クルーゾーのヒートにあてられて、サイモンはティエリーと番ってしまう。
サイモンはオメガのフェロモンに強い体質で、強い抑制剤も服用していたし、緊急用の抑制剤も打っていた。
対するティエリーはフェロモンがほとんど感じられないくらいフェロモンの薄いオメガだった。
それなのに、なぜ。
番にしてしまった責任を取ってサイモンはティエリーと結婚する。
一緒に過ごすうちにサイモンはティエリーの物静かで寂しげな様子に惹かれて愛してしまう。
ティエリーの方も誠実で優しいサイモンを愛してしまう。しかし、サイモンは責任感だけで自分と結婚したとティエリーは思い込んで苦悩する。
すれ違う運命の番が家族になるまでの海外ドラマ風オメガバースBLストーリー。
※奇数話が攻め視点で、偶数話が受け視点です。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズ、ネオページにも掲載しています。
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる