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第五十七話 指名依頼
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ギルドマスターは、がたいのいい髭を生やした
男だった。
今も書類に埋もれながらも、手を動かしている
のが見える。
体育体系の身体からは想像もつかないような、
綺麗で整った字を書いていた。
「問題が起きまして、ここを立つ前に解決して
おきたくて来ました」
「問題?何があった?」
ギルドマスターの手が止まると、やっとこっち
を向いた。
職員によってお茶受けとお茶が出されると俺達
は手近な椅子に座った。
「話を聞こうか」
「では、昨日あった事から話します」
そう前置きをしてから、昨日あった出来事を詳
しく話したのだった。
この辺りでは、この時期にユニコーンの親子も
しくはつがいが見られると有名だった。
だが、実際見たのは子供の方で、ボロボロの身
体であった事。
親がいなかった事から、何か問題が起きている
事。
魔物同士の諍いなのか…もしくは人間達による
密猟の可能性も考えられる事。
組織だって行われているのか、それとも個人的
なものなのか?
そのいずれかである可能性が高い事。
だが、それによって他の魔物が縄張りを離れて
しまう事は、異常事態と言えた。
「なるほどな……、それはいかんな。早く対応
しておかないと、観光客に被害がでるな」
「それで、僕達に指名依頼をしませんか?」
「勇者にか?いいのか?勇者に依頼するって事
はそれ相応の報酬もいるだろ?」
「それなら、普通の依頼料に色をつけてもらえ
ればいいですよ?」
誠治はウインクすると、指名依頼をしてもらう
事になったのだった。
「これで、懐も潤うね」
「あぁ………そうだな」
「陸がいつもお金がないって言うからさ」
「あぁ……それは誠治が勝手に孤児に食べ物を
買い与えるからだろう?」
「あはは……、まぁまぁ、いい事すればきっと
先の未来でいいことがあるよ」
誠治はいつもこんな感じだった。
誰にでも優しく、勘違いさせるほど度が過ぎた
親切を強要するのだ。
旅費までも勝手に使おうとするので困る。
俺だって鬼ではないから、多少の寄付なら問題
ないのだが、あるだけ与えるのはどうかと思う。
そのせいで、野宿になることが多いのだ。
その事に誰も苦言を言わないのは、誠治が勇者
だからだ。
勇者に文句を言う人など、この世界では居ない
のだという。
だから俺がいつも文句を言うのがレイネには気
に食わないというわけだった。
「さぁ。あいつらにも協力させようぜ」
「そうだね。もう起きてる頃だし、行こうか」
ギルドを後にすると、早速宿屋へと戻った。
一階の食堂では、朝食をとっていたレイネが
誠治を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。
「おはようございます、勇者様♪荷造りはもう
終わって居ますわ」
「あ、それなんだけど…今ギルドから指名依頼
を受けて来たんだ」
「そんなもの、別に勇者様が受ける必要はあり
ませんわ」
「その依頼なんだけど……ユニコーンに関わる
ものなんだよ」
「ユニコーン!!それは一緒に見たいという事
ですか!嬉しいですわ」
何を勘違いしたのか、テンションが上がってい
る。
「おい、勘違いするなよ?あくまで調査だ!
調査!余計な事はするなよ?非処女だと近
寄っても来ねーんだってよ?」
「なっ………、陸!あんた余計な事言ってない
で情報を言いなさいよ?どうせ聞いて来たん
でしょ?」
「なんだよ、その態度……。俺だってなぁ~」
俺が声を荒げると、真ん中に誠治が割って入っ
てきた。
「まぁ、まぁ、落ち着いて。僕から話すから」
簡素に説明すると、モンドが女将さんに昼用の
食事を人数分頼んだのだった。
「すぐに行くか?」
「あぁ、そのつもりだ」
「分かった。準備してこよう」
「モンドは物分かりがよくて助かるよ」
俺の嫌味を受けて、レイネがギロッと睨んで来
ていた。
男だった。
今も書類に埋もれながらも、手を動かしている
のが見える。
体育体系の身体からは想像もつかないような、
綺麗で整った字を書いていた。
「問題が起きまして、ここを立つ前に解決して
おきたくて来ました」
「問題?何があった?」
ギルドマスターの手が止まると、やっとこっち
を向いた。
職員によってお茶受けとお茶が出されると俺達
は手近な椅子に座った。
「話を聞こうか」
「では、昨日あった事から話します」
そう前置きをしてから、昨日あった出来事を詳
しく話したのだった。
この辺りでは、この時期にユニコーンの親子も
しくはつがいが見られると有名だった。
だが、実際見たのは子供の方で、ボロボロの身
体であった事。
親がいなかった事から、何か問題が起きている
事。
魔物同士の諍いなのか…もしくは人間達による
密猟の可能性も考えられる事。
組織だって行われているのか、それとも個人的
なものなのか?
そのいずれかである可能性が高い事。
だが、それによって他の魔物が縄張りを離れて
しまう事は、異常事態と言えた。
「なるほどな……、それはいかんな。早く対応
しておかないと、観光客に被害がでるな」
「それで、僕達に指名依頼をしませんか?」
「勇者にか?いいのか?勇者に依頼するって事
はそれ相応の報酬もいるだろ?」
「それなら、普通の依頼料に色をつけてもらえ
ればいいですよ?」
誠治はウインクすると、指名依頼をしてもらう
事になったのだった。
「これで、懐も潤うね」
「あぁ………そうだな」
「陸がいつもお金がないって言うからさ」
「あぁ……それは誠治が勝手に孤児に食べ物を
買い与えるからだろう?」
「あはは……、まぁまぁ、いい事すればきっと
先の未来でいいことがあるよ」
誠治はいつもこんな感じだった。
誰にでも優しく、勘違いさせるほど度が過ぎた
親切を強要するのだ。
旅費までも勝手に使おうとするので困る。
俺だって鬼ではないから、多少の寄付なら問題
ないのだが、あるだけ与えるのはどうかと思う。
そのせいで、野宿になることが多いのだ。
その事に誰も苦言を言わないのは、誠治が勇者
だからだ。
勇者に文句を言う人など、この世界では居ない
のだという。
だから俺がいつも文句を言うのがレイネには気
に食わないというわけだった。
「さぁ。あいつらにも協力させようぜ」
「そうだね。もう起きてる頃だし、行こうか」
ギルドを後にすると、早速宿屋へと戻った。
一階の食堂では、朝食をとっていたレイネが
誠治を見つけると、すぐに駆け寄ってきた。
「おはようございます、勇者様♪荷造りはもう
終わって居ますわ」
「あ、それなんだけど…今ギルドから指名依頼
を受けて来たんだ」
「そんなもの、別に勇者様が受ける必要はあり
ませんわ」
「その依頼なんだけど……ユニコーンに関わる
ものなんだよ」
「ユニコーン!!それは一緒に見たいという事
ですか!嬉しいですわ」
何を勘違いしたのか、テンションが上がってい
る。
「おい、勘違いするなよ?あくまで調査だ!
調査!余計な事はするなよ?非処女だと近
寄っても来ねーんだってよ?」
「なっ………、陸!あんた余計な事言ってない
で情報を言いなさいよ?どうせ聞いて来たん
でしょ?」
「なんだよ、その態度……。俺だってなぁ~」
俺が声を荒げると、真ん中に誠治が割って入っ
てきた。
「まぁ、まぁ、落ち着いて。僕から話すから」
簡素に説明すると、モンドが女将さんに昼用の
食事を人数分頼んだのだった。
「すぐに行くか?」
「あぁ、そのつもりだ」
「分かった。準備してこよう」
「モンドは物分かりがよくて助かるよ」
俺の嫌味を受けて、レイネがギロッと睨んで来
ていた。
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