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第五十六話 緊急事態
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少しづつ近づいて来る魔力の大きさに、息を飲
んだ。
もし、自分達でも手に負えない魔物がいるとは
思わないが、それでも油断は禁物だからだ。
レイネも居ない今、怪我は命取りなのだ。
「そろそろ来るぞ」
「あぁ、分かっている。もし危なくなったら陸
は逃げて」
「バカっ、誰が逃げるかよっ!誠治だけに格好
つけさせねーよ」
ガサッと音がして薄暗い森の中にヌッと一本の
ツノが見えたのだった。
金糸のたてがみが見えた時には、それがなんで
あるかすぐに理解できた。
「マジか……これが……」
「なんか様子がおかしくないか?」
誠治が一番早く気がついたのだ。
金色のたてがみに、額から生えた一本のツノ。
これは見まごうことなきユニコーンだったのだ。
ただ、それは俺達の腰ほどしかない背丈なのと、
身体中についた赤黒い模様が見て取れる。
あきらかに何かと戦ったあとなのだろう。
「おい、大丈夫なのか?」
俺は咄嗟に倒れそうになるユニコーンを支えたの
だった。
あきらかに見ただけでも分かるくらい疲労してい
る上に、まだ成獣になれていない。
「子供ってことは近くに親がいるはず……一体何
があったのか調べる必要がありそうだね」
「あぁ、そうだな。一旦ギルドに報告をする必要
が出て来たな」
バカップルも一応は傷だらけとは言え、ユニコー
ンを一緒に見られたのだ。
満足そうに帰る事を了承したのだった。
俺は手持ちのポーションを取り出すと、まだ幼い
ユニコーンにかけた。
外傷はさほど深くなかったらしく、すぐに目を覚
ますと、こちらをじっと眺めてきた。
「大丈夫そうだな。さっさと逃げろよ?まぁ、何
があったか聞きて~ところだが、魔物の言葉な
んか分からねーからな」
「そうだよね~。魔物の言葉が分かればいいんだ
けどね。さぁ、お家へお帰り」
俺も誠治も帰るように促したのだった。
さっきまでボロボロだったのが、今では元気に飛
び跳ねている。
よっぽど嬉しいのか頭を擦り寄せて来た。
「おいおい、ツノが痛いって……案外可愛いな」
「陸は動物からはモテてたもんね?」
誠治は懐かれている俺を見ながら剣を鞘にしまっ
た。
「おいっ……動物からはってのは余計だろ?」
「僕も陸の事好きなんだけどな~」
「はいはい、それはいいとして、まずは帰るぞ。
明日の出発は延期だな……」
「そうだね。まずはこっちから片付けないとね」
夜も遅いので宿へと戻ると、朝一番でギルドへと
報告に行く事にした。
観光どころではなくなってしまったのだった。
朝早くにギルドへ来ると、ごった返していた。
「すごい人だな…」
「そうだね。僕らがいつも遅い時間だから空い
てたのかもね」
遅い時間と言っても朝日が昇ったくらいなので
そんなに遅いわけではない。
ただ、冒険者という職業が陽が昇るかどうかの
時間に駆け込んできて、夕方に討伐報告をする
人が多いというだけだった。
朝一番に張り出される討伐や採取の紙をいち早
く取る為だろう。
俺らには、全く縁がないものだから問題ないの
だが……。
「すいません。手の空いている方いますか?ギ
ルドマスターに話があるんですけど…」
「ギルドマスターにですか?少々お待ち下さい」
受付けをして居た女性が駆け足で2階へと上がっ
ていく。
数刻して上から声がする。
「こちらでお聞きになるそうです。2階の一番奥
の部屋です」
「わかりました。ありがとうございます」
誠治がニッコリと微笑むと、頬を染めてこちらを
チラチラ見て居た。
あぁ、またかよ……。
言わなくても分かる。
なんで誰も彼もが誠治に見惚れてんだよっ!
俺は腹を立てながら誠治に続くように上がって行
った。
中は質素な作りで、机の上には大量に書類が山積
みになって居た。
そこから低い声が聞こえてくる。
この部屋の主なのだろう。
「勇者が俺に何のようだ?確かこの街を出ると言
ってなかったか?」
そうなのだ。勇者はどこに行くにしても、行動を
把握される。
その為、どこに行く予定という事もあらかじめ報
告する義務があった。
誠治はそれを毎回きっちり行っており、今日の
予定ではこの街を出て行く予定だったのだった。
んだ。
もし、自分達でも手に負えない魔物がいるとは
思わないが、それでも油断は禁物だからだ。
レイネも居ない今、怪我は命取りなのだ。
「そろそろ来るぞ」
「あぁ、分かっている。もし危なくなったら陸
は逃げて」
「バカっ、誰が逃げるかよっ!誠治だけに格好
つけさせねーよ」
ガサッと音がして薄暗い森の中にヌッと一本の
ツノが見えたのだった。
金糸のたてがみが見えた時には、それがなんで
あるかすぐに理解できた。
「マジか……これが……」
「なんか様子がおかしくないか?」
誠治が一番早く気がついたのだ。
金色のたてがみに、額から生えた一本のツノ。
これは見まごうことなきユニコーンだったのだ。
ただ、それは俺達の腰ほどしかない背丈なのと、
身体中についた赤黒い模様が見て取れる。
あきらかに何かと戦ったあとなのだろう。
「おい、大丈夫なのか?」
俺は咄嗟に倒れそうになるユニコーンを支えたの
だった。
あきらかに見ただけでも分かるくらい疲労してい
る上に、まだ成獣になれていない。
「子供ってことは近くに親がいるはず……一体何
があったのか調べる必要がありそうだね」
「あぁ、そうだな。一旦ギルドに報告をする必要
が出て来たな」
バカップルも一応は傷だらけとは言え、ユニコー
ンを一緒に見られたのだ。
満足そうに帰る事を了承したのだった。
俺は手持ちのポーションを取り出すと、まだ幼い
ユニコーンにかけた。
外傷はさほど深くなかったらしく、すぐに目を覚
ますと、こちらをじっと眺めてきた。
「大丈夫そうだな。さっさと逃げろよ?まぁ、何
があったか聞きて~ところだが、魔物の言葉な
んか分からねーからな」
「そうだよね~。魔物の言葉が分かればいいんだ
けどね。さぁ、お家へお帰り」
俺も誠治も帰るように促したのだった。
さっきまでボロボロだったのが、今では元気に飛
び跳ねている。
よっぽど嬉しいのか頭を擦り寄せて来た。
「おいおい、ツノが痛いって……案外可愛いな」
「陸は動物からはモテてたもんね?」
誠治は懐かれている俺を見ながら剣を鞘にしまっ
た。
「おいっ……動物からはってのは余計だろ?」
「僕も陸の事好きなんだけどな~」
「はいはい、それはいいとして、まずは帰るぞ。
明日の出発は延期だな……」
「そうだね。まずはこっちから片付けないとね」
夜も遅いので宿へと戻ると、朝一番でギルドへと
報告に行く事にした。
観光どころではなくなってしまったのだった。
朝早くにギルドへ来ると、ごった返していた。
「すごい人だな…」
「そうだね。僕らがいつも遅い時間だから空い
てたのかもね」
遅い時間と言っても朝日が昇ったくらいなので
そんなに遅いわけではない。
ただ、冒険者という職業が陽が昇るかどうかの
時間に駆け込んできて、夕方に討伐報告をする
人が多いというだけだった。
朝一番に張り出される討伐や採取の紙をいち早
く取る為だろう。
俺らには、全く縁がないものだから問題ないの
だが……。
「すいません。手の空いている方いますか?ギ
ルドマスターに話があるんですけど…」
「ギルドマスターにですか?少々お待ち下さい」
受付けをして居た女性が駆け足で2階へと上がっ
ていく。
数刻して上から声がする。
「こちらでお聞きになるそうです。2階の一番奥
の部屋です」
「わかりました。ありがとうございます」
誠治がニッコリと微笑むと、頬を染めてこちらを
チラチラ見て居た。
あぁ、またかよ……。
言わなくても分かる。
なんで誰も彼もが誠治に見惚れてんだよっ!
俺は腹を立てながら誠治に続くように上がって行
った。
中は質素な作りで、机の上には大量に書類が山積
みになって居た。
そこから低い声が聞こえてくる。
この部屋の主なのだろう。
「勇者が俺に何のようだ?確かこの街を出ると言
ってなかったか?」
そうなのだ。勇者はどこに行くにしても、行動を
把握される。
その為、どこに行く予定という事もあらかじめ報
告する義務があった。
誠治はそれを毎回きっちり行っており、今日の
予定ではこの街を出て行く予定だったのだった。
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