あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~ 

とらんぽりんまる

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追いかけ鬼!※怖い描写注意

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 薄暗く、寒い秋の風。
 光はブルッと震えて、厚手のパーカーのチャックを閉めた。

「(家に帰ろう。こんな暗い場所から離れて、あったかい家でお父さんのオムライス食べよう)」

 虚しくて涙が出てくる想いだ。

「あ~あ! バッカみたい」

 一人なのにわざと大声を出した。

「ずーっと準備してたのにさ~あははは! 嫌になっちゃう!」

『い・や・になちゃう』

「そうそう! 不思議な友達なんかできるはずないよね~」

『ふ、し、ぎ』

「うん……あはは……えっ……?」

「(一体誰の声……?)」

 坂道を歩く光の心臓が嫌な音をたてる。
 後ろに何か……いる?

 じゅるじゅっるるる

 はぁはぁ……

 じゅるじゅっるるる……はぁはぁ……。

 大きな何かが息をする音が聞こえる。

 よだれをすするような気持ちの悪い音。

 そしてふわぁっと光の首元を撫でる……臭い臭い生ぬるい風。

 何かが腐ったような、排水溝のようなニオイ。 

 ゾクゾク! と全身に鳥肌が一瞬でできる。

 なんだろう……なんだろう……
 でも絶対に、振り向いたらいけない。

 ガクガクと恐怖で足がもつれそうになる。

 これだけは持っていなきゃと、おじいちゃんのステッキだけは! とトートバッグがら出そうとするとビタッと後ろに何かの気配がはっきりわかった。

『お・れ・は・お・に・だぁああああああ』

 地の底から唸るような不気味な大声。

「ぎゃあああああ!!」



 巨大な鬼の顔!
 顔だけの鬼。
 牙にはべったり血がついた鬼の顔が、光の背後に現れた!

 恐怖で思わずステッキで鬼の顔を殴った瞬間に、光は走り出す。

『待てぇえええええええ』 

「ひぃ! いやぁあ!」

 転がるようにして光は走る!
 
 追いかけられたら最後だよ

 逃げて走ってどこまでも

 追いつかれたら食べられる

 骨も残さず食べられる

 追いかけ鬼に見つかれば

 最後死ぬまで追いかけらーれる

 あの恐ろしい歌が頭を巡る!

『くでやるぞぉおおぐでやる』

 鬼の頭が何か叫んでる!
 喰ってやる! と言っているのだ!

「たすけてぇ」
 
 恐怖で声がかすれて、息にしか聞こえなかった。

「(助けて助けて! 誰か助けて!)」

 運動神経のよい光は、足も速い。
 頭だけで転がってくる追いかけ鬼にも負けずに走る! 走る!
 途中で木の根や急な坂道があっても暗闇でも、光は走った。

「そ、そうだ! 神社のなかに!」

 神社なら鬼は入ってこられないんじゃ! そう思い光は涙をこらえて走る。

『ぶるぶぶぶじゅああああ! こどものにくぐううう!』 

 少し開けた神社の場所。
 小さな外灯が照らしている。
 光の自転車だけがポツンとあった。
 もう誰もいない。

「あ、開かない!」

 最後の希望だと思っていた、小さなおやしろは鍵がかかってる!

「だ、だめだ……もう無理……ぃ」

 追いかけ鬼の気配を感じて、助けを求めるように小さな鳥居に光はしがみついた。

「(頭から喰われて死んでしまうんだ! こんな、こんなことって……!)」

「お母さんっ! お父さぁああああん!!」

『いだだぐまがぁあああっっすす!!』

 いただきますと言った。
 巨大な顔がばっぐりと大口を開けて、そのまま光を飲み込もうと、した。
 
「いやあああああ!」
 
 満月が輝き、光の悲鳴が響く。
 一斉に木々が風に吹かれ揺れた。

 
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