ヒロイン？ 玉の輿？ 興味ありませんわ！ お嬢様はお仕事がしたい様です。

第三章

工事開始！

    「ノーム、これからしばらくいっぱい協力して貰うから、よろしくね！    ご褒美のお菓子、沢山用意したから」

    島から船でおよそ三十分。
    ……大きめの帆船に私の精霊魔法で風を送れば十分で着く。
    本島に比べれば断然小さいけれど、東京23区を合わせたよりは大きい島。
    これ一つ全部開発すれば、ディズニーリゾートもUSJもちっぽけに見える巨大リゾートが完成する。

   ……狭い島国日本人の感覚では、という注釈はつくけども。

    まぁいい。
   「とにかくまずはひたすら土木工事だし。これやらないと何時まで経っても計画が机上の空論のままだからね」

    綺麗な砂浜は海水浴場にするとして。

    砂と言うにはゴツすぎる小石がゴロゴロしている、けどサスペンスドラマに出てきそうな断崖絶壁でもない程よい岸を前に私は“完成図”を思い浮かべる。

    まずは、玄関口となる港を造る。

    本島との定期連絡船を繋ぐ桟橋。
    この島の周遊等の観光船の乗り場。
    緊急時用の船を留置する場所。

    特に定期船の桟橋は、客船用と貨物船用を作らなきゃ。
    貨物は大半運んでくるだけの一方通行になるだろうけど、お客は往復ここと簡単に行き来できる交通が必要だよね。

    倉庫は横浜の赤レンガ倉庫みたく可愛くしよう。
    流石にリゾートに武骨でそっ気の無い倉庫は雰囲気をぶち壊すから。

    オーシャンビューのカフェなんかはここじゃなく海水浴場に作る事にして。

    適当に転がる岩を均し固めて平らな地面に固めていく。
   「何も無い所から魔法だけで出すのは疲れるんだけど……今は言っていられない、か」
    そこにある岩だけでは足りず、魔法で最適な土をだし、桟橋を形にして行く。

    魔法でコンクリートの通路を造り、保護のための波消しブロックを沈める。
    あまり出しすぎると船が傷つくからそこは慎重に。

    港が出来たら、隣の海水浴場予定地まで道を作る。
    ……後で職人さんに依頼して観光トロッコ列車を走らせるんだ。

    浜辺の奥に、万が一の津波や高波に備えて少し小高く作ったエリアには各種飲食店や休憩所を建設予定。
    ――要は海の家豪華貴族用バージョン。そのさらに奥に宿泊施設を造り、隣接してスパリゾートを建設。

    港を海水浴場と逆方向に進めばショッピングモール。その奥にはちょっぴりいかがわしい大人の夜の町。 

    合間合間に美しい庭園や、山に上るロープウェイやケーブルカー為の基礎。山の上の展望台。
    湖と湖畔のボート小屋。

    私に出来るのは本当に基礎の基礎だけなんだけどね。
   「ふふふ、楽しみだなぁ」

    ――次は隣の島に、庶民向けリゾートの計画を立てなくちゃ！