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第三章
グレストの願い
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工事も完成する頃。
何度か貢ぎ物を贈った成果か、ウチの家令が何か手を打ったのかは分からないが、王と王妃、それにアランとノアの生母の側妃、そして私の婚約者であるアランのご訪問が決まった。
「グレスト、本当にありがとう。貴方が居なければこうもスムーズに計画を進める事は出来なかったわ」
「ありがとうございます。……お嬢様、今回の褒美と言うと何ですが、一つお願いがあるのですが」
「何? グレストが改まって私にお願いなんて……」
グレストが普段私に望む物なんて、新しいアイディアばかり。お金やモノをねだる事はない。あ、勿論私が頼んだ仕事に必要な物は別としてね。
「今回、リゾート計画と言うことで、普段の農業や作物の加工、販売とは異なる分野にも関わりました。それによって得られたものも多かった。……僕はもっと色々学びたい。学んだ事を生かして、もっとこの島の発展の力になりたい。――僕は、大陸の学校に行きたい」
この島にも勿論学校はある。庶民も通える学校が。
ただし、そこで学べるのはせいぜい日本の義務教育レベルまで。
――これでもウチは進んでいる方なんだよね。
貴族の教育に熱心な国や領地は多いけど、平民の教育はおざなりな国や領地はそれ以上に多い。
読み書き計算を教えれば十分が大半で、それすら教えない所もある。
流石に本国の王都にはそれ以上の高等教育を行う学校がある。が、当然入学試験で優秀な成績を獲れなければ不合格になる。
「勿論、試験は自力で受けます。学費もこれまでに稼いだ額で払います。……けど、僕の年齢では自力で王都に住みかを持てません。お嬢様には、受験と入学時の身元証明と、住居の口利きをお願いしたいのです」
ふむ。
「……私も嫌だけど王都の学校に行かなきゃならないし。けど、向こうの伯爵家の屋敷になんて住みたくないし。私が借りる家の一室を貸そうか?」
「ありがとうございます、使用人用の部屋で十分ですし、学業に差し障り無い程度に使用人仕事もアルバイトがてらさせていただけると尚ありがたいです」
「分かった。家令とも相談しておくよ」
「ありがとうございます」
「それで、物件は借りられそう?」
王族と一緒にキャッサバについて視察したいと他国のお偉いさんが同行するらしく、彼らを帰した後は即入学準備に取りかかる必要のある時期と相成る。
「……本当にこんな物件でよろしいのですか? 元は貧乏男爵家の屋敷ですよ?」
「いや、私一人と、使用人も執事と侍女、料理人に庭師一人ずつと、最低限のメイドが居れば十分だもの。……正直庭師も要らない気がするけど、流石に雑草ボーボーの庭を放っておくのもどうかと思うし」
という訳で借り上げて、今は傷んだ家屋をリフォームさせている。
「一室、グレストに貸すから。ついでに庭師見習いで雇うわ。時間と適性考えて料理人見習いと迷うけど……まあ人数少ないしその辺は臨機応変に、ね」
何度か貢ぎ物を贈った成果か、ウチの家令が何か手を打ったのかは分からないが、王と王妃、それにアランとノアの生母の側妃、そして私の婚約者であるアランのご訪問が決まった。
「グレスト、本当にありがとう。貴方が居なければこうもスムーズに計画を進める事は出来なかったわ」
「ありがとうございます。……お嬢様、今回の褒美と言うと何ですが、一つお願いがあるのですが」
「何? グレストが改まって私にお願いなんて……」
グレストが普段私に望む物なんて、新しいアイディアばかり。お金やモノをねだる事はない。あ、勿論私が頼んだ仕事に必要な物は別としてね。
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「勿論、試験は自力で受けます。学費もこれまでに稼いだ額で払います。……けど、僕の年齢では自力で王都に住みかを持てません。お嬢様には、受験と入学時の身元証明と、住居の口利きをお願いしたいのです」
ふむ。
「……私も嫌だけど王都の学校に行かなきゃならないし。けど、向こうの伯爵家の屋敷になんて住みたくないし。私が借りる家の一室を貸そうか?」
「ありがとうございます、使用人用の部屋で十分ですし、学業に差し障り無い程度に使用人仕事もアルバイトがてらさせていただけると尚ありがたいです」
「分かった。家令とも相談しておくよ」
「ありがとうございます」
「それで、物件は借りられそう?」
王族と一緒にキャッサバについて視察したいと他国のお偉いさんが同行するらしく、彼らを帰した後は即入学準備に取りかかる必要のある時期と相成る。
「……本当にこんな物件でよろしいのですか? 元は貧乏男爵家の屋敷ですよ?」
「いや、私一人と、使用人も執事と侍女、料理人に庭師一人ずつと、最低限のメイドが居れば十分だもの。……正直庭師も要らない気がするけど、流石に雑草ボーボーの庭を放っておくのもどうかと思うし」
という訳で借り上げて、今は傷んだ家屋をリフォームさせている。
「一室、グレストに貸すから。ついでに庭師見習いで雇うわ。時間と適性考えて料理人見習いと迷うけど……まあ人数少ないしその辺は臨機応変に、ね」
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