ヒロイン？ 玉の輿？ 興味ありませんわ！ お嬢様はお仕事がしたい様です。

第五章

クラス分け

    入学式は恙無つつがなく終了した。

    ――え、一言で終わるのか、もう少し丁寧に説明しろって？    いやいや入学式なんてものはどこでも校長や偉い人の話と新入生代表挨拶があるだけで、どこでも大差ないじゃん？

    ああ、新入生代表はあのバカ王子ではなく別の攻略対象の悪役令嬢の一人、宰相の娘さんだった。……攻略対象の宰相の息子さんは上級生で現生徒会会長を勤めている。

    ゲームじゃ次期の改選で一年生の王子が生徒会長に異例の抜擢されるんだけど……。アレに勤まるんだろうか？

    ちなみに宰相の娘さんは騎士団長の息子さんのルートの悪役令嬢。攻略対象に触れなければ普通に優秀な娘さんだ。次期改選で書記になるはず。
    あの王子と違って、新入生代表挨拶が出来る程優秀な人だから、こちらは確実に当選するだろう。

    仲良く出来たら良いけど……。
    ゲームじゃ悪役令嬢の交遊関係なんて描かれなかったから知らなかった。
    まさか王子ルートの悪役令嬢と仲が良いなんて！

    王子ルートの悪役令嬢は直情型で、いじめ方は派手だけど単純ないじめ方しかしないから、回避するのはそう難しい事じゃない。
    が。宰相の娘さんは逆に陰険派で、対処の難しい精神的にクるいじめ方をする。

    両方一緒に相手をするのは避けたい組み合わせだ。

    けど、入学式を終えて教室に入れば成績順とかランダムとかではなく家格順でクラス分けをした様で、この学年の覚えのある顔が全て揃っていた。

    まぁ、分かるけどね。上級貴族相手に下級貴族は常に気を使わなきゃならない。それを半日ずっとなんてそりゃ、嫌だよね。勉強に集中し難い環境を学校が許容するはずもなく、結果こういう事になったんだろう事情は察する。

    ……察する、けどさぁ。
    辺境伯はほぼ侯爵レベルで私自身は精霊姫。
    だから伯爵令嬢でも中級貴族扱いではなく上級貴族のクラスに振り分けられたんだろうけど。
    私は他の伯爵令嬢や令息と平和な学校生活を送りたかったよ……！

   「では、まずは自己紹介から始めましょう。私は担任のティア=ヒルデと申します。ヒルデ伯爵夫人ですが、同時にあなた方の教師でもあります。校内の事については身分よりも教師と生徒の関係が優先されますので覚えておいて下さいませ」

    教師自らの自己紹介に続き、クラスメイトとなった二十名の自己紹介が始まった。
    その後で校舎の案内があって、今日はおしまい。
    今週は各授業の説明や部活紹介などのオリエンテーション――ゲームで言うチュートリアルで終わるらしい。
    この間に全攻略キャラとの遭遇イベントがあるハズなんだけど……

    回避、できないかな？