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十一話 抜けた棘
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オニキス様と息子が王都に向かうというのを昼食後に送り出したら、また寝台へと倒れ込み、二時間ほど眠ってから、夕食を寝台でいただいた。
歳を取ると、こんなふうに、物事を急がなくなった。
意外となんとか間に合うし、無理は禁物なのだ。体調を崩しては元も子もないと、過保護な人に言われ続けたからかもしれない。
その旦那様は朝には本当に回復していて、朝食もそこそこに諸所への連絡や、魔女への謝礼ともてなしの手配に動き回ってくれた。
息子が、王太子殿下からお預かりしていたんだった、と丁寧な見舞いのお手紙を今頃になって出してきたそうで、お返事も出さないまま過ぎた日数に旦那様は卒倒しそうになったそうだ。後日話を聞いて、私も卒倒しかけた。何度注意してもあの子は……!
まあでも、やってしまったことは仕方がない。
ここで焦るよりも、確実で丁寧なお返事を心がけるべきだろう。
事情を知る王太子殿下と領主様への手紙は、何度も見直しながらしたため、間違いのないよう、いつもより高価で信頼のおける配達人に託す。息子に任せる勇気はなかったそうだ。
それ以外に付き合いのある家にも、病に臥せっていたことになっていた私の回復を知らせる。
すると午後には折り返しの祝いの手紙がどんどんと届き始めて、その対応にも追われていく。
忙しいのは確かだけれど。
旦那様は不自然なほどに忙しそうにして、私のところへ来てくれない。
オニキス様と息子への御礼の挨拶にも、私とは別に出向いたらしい。
夜、私はすっかり寝支度をして、まだ旦那様を待っていた。
まだ疲れるので手仕事はできない。窓越しに、ラクサの枝を眺めて待つ。
焦る気持ちも、なじる気持ちもない。
私は不思議なほど凪いでいた。
これは何と言えばいいのだろう。若い時とは違う、穏やかな気持ち。待つ時間のどこにも、トゲトゲしたものがない。その時間さえ楽しめるような。
こんなまろい気持ちを抱いて旦那様の帰りを待った夜も、長い間に何夜もあった。
今心穏やかなのは、あくまで私だけ、だろうけど。
旦那様、悪あがきはやめて、早く来ればいいのに。
メイドも片付けを終えて帰り、家の中に二人だけになってやっと、旦那様は私の、いえ夫婦の寝室に戻ってきてくれた。
ノックはない。
静かに入ってきた旦那様は、待ちくたびれた私が寝台に横たわっているのを見ると、老医師だった頃と変わらない様子で肘掛け椅子に座り、私の手を遠慮がちに握ってくれた。
魔女になりかける前の私なら。
手を握られて微笑みかえすその裏で、旦那様がその手を振り払って走り去る幻影を見て、胸に穴の空く気持ちに囚われたかも知れない。
この家で過ごしたたくさんの幸せな日々の中で、ふとした瞬間に、私は何度も、あの夜のことを思い出して傷ついていた。
けれど今は。
私はその手をぎゅっと握り返して引っ張り、旦那様を寝台へと促した。
旦那様を隣に寝かせ、二人で天井を見上げて、手を繋ぎ直した。
ぐす、と隣で鼻を啜る音がしても、私は聞こえないふりをする。旦那様は、昔から、少し涙脆い。けれど、指摘はされたくないようだ。
「……メルガレーテ、あなたは、すっかり許してくれたのだと、私は勝手に思っていた。私は謝ってもいなかったのに」
やっぱり、旦那様は律儀に思い悩んでいたようだ。
私は旦那様を待つ間ずっと考えていたことを、ゆっくり言葉にした。
「いいのよ、リオル。だって私、本当にずっとずっと、幸せだったもの。
確かに不意に叫びたくなったり、嫌な気持ちになったりしたけど、私が怖がっていたのはただの記憶で、真実でも未来でもなかった。だんだん回数も減って、もう滅多になかったのよ。
……リオルだって、たくさん辛い目や怖い目にあって、傷ついていたのに。一人で解決しようとすべて抱え込んでしまって、苦しかったし怖かったはずなのに。
リオルは私のように、痛みや恐怖が蘇ったりはしなかったの?
私、自分のことばかりで、あなたも同じように苦しんでいる可能性は、考えなかった」
「メルガレーテは、悪くない。それだけ、俺があなたを傷つけたんだ。
……俺は、あなたに初めて温めてもらったあの日から、嫌な記憶を思い出すことはなかった。けれどその代わりに、あなたの胸には魔女の種があったなんて。
あなたが怖がっていることにも気づかなかった。叫びそうになるような記憶がいつ蘇るかわからないなんて、ずっと怖かっただろうな。
俺は、ひどい夫だ。
一人だけ、憂いもなく無上のしあわせに浸っていた」
それは、ひどい夫だろうか。……そうではないと思う。
でも私は、あえて口をつぐんだ。
しばらく二人でまた天井を見る。
やがて、旦那様がむくりと起き上がって、私の顔を覗き込んだ。
あら、今気がついた。お髭を剃ったのね。もう老医師には、見えないわ。耳の下から顎までの傷も、かなり薄くてもう目立たない。私の好きな、高い頬骨が素敵。
……あら、このこと、もしかして私、老医師に話したのだったかしら。
私にも旦那様の緊張がうつっているようだ。
「メルガレーテ、愛している。ずっと一緒にいてほしい。あの時は相談もせず、あなたの気持ちも考えず、家に帰らなくなるなんて。心配をかけたし傷付けた。すまなかった。それにずっと一人で怖い記憶も魔女の種も、抱えたままにさせてしまって、ごめん」
ぐす、とまた鼻を鳴らしながら、旦那様は握ったままだった私の手を、そっと指でさすった。
「若い頃の俺は、目的を決めたら、他が目に入らなくなることがよくあった。だけど、あなたを捨てたことなんか、一度もないんだ。初めに求婚を断った時だって、なんとか事態を解決して、俺から申し込み直したいと思っていた。
俺は、あなたしかいらないから。だから——置いていかないで」
私の近頃の体調を、旦那様がとても不安に思っていることが、嫌というほど伝わってきた。
そういえば、長い結婚生活の間に、私が体調を崩すたびに、少しずつ心配性になってきたのだった。老医師の過保護は、その集大成だったのだろう。
今回は、はじまりはただの風邪、その後若返ってる間はずっと寝たきりになっていたし、昨日の治療にどうも精神力のようなものを使ったから、まだ少し弱っているだけ。
オニキス様もそう言っていたはずなのに、私を失うのがよほど怖いのだ。
本当に、愛しい人だ。
「ありがとう、旦那様。私も愛してる。ねえ、もうとっくにゆるしてたわ」
ゆるしていた。
本当はあの時、こうやって、真正面から謝って労わってもらいたかったけれど。
ずっとずっと疼いていた心の傷が、驚くほど綺麗に消えていった。傷はたくさんの優しい記憶で覆われていて、そのままでも滅多に痛みはしなかったから、やり直しはなくてもよかったのかもしれない。
けれど、四十五年の結婚生活を経た今だからこそ旦那様の言葉が私の心にまっすぐ入ったのだろうから、これも巡り合わせ。
魔女の呪いという災難も、結果幸運だったと受けとめましょう。
「思い出すとどの春も結局、幸せだったわ。四十五回もの春。積み重ねてきたわね、私たち、とても長く」
首を巡らせると、月明かりの下、窓から見える梢には、ふっくらと膨らんだ蕾が重たげだ。
そうだ、この木も今は老木となり、わずかな残りの枝に支えを当てているのだ。馬鹿げた戦いを挑んでいた時だって、結局伐採することはできなかったな、と思い出す。
枝先の蕾はすでにわずかにほどけていて、明日にでも花開きそう。それが、心から楽しみだ。
「今年も契約結婚の終わりの花が咲くわね、旦那様。どうしますか?」
「契約期間は、共に死ぬまでに決まってる。毎年ラクサの花は二人で見るんだ。何度でも何度でも」
旦那様が食いつくように答えて、私は笑って、その頬骨と唇に音を立ててキスを贈った。
歳を取ると、こんなふうに、物事を急がなくなった。
意外となんとか間に合うし、無理は禁物なのだ。体調を崩しては元も子もないと、過保護な人に言われ続けたからかもしれない。
その旦那様は朝には本当に回復していて、朝食もそこそこに諸所への連絡や、魔女への謝礼ともてなしの手配に動き回ってくれた。
息子が、王太子殿下からお預かりしていたんだった、と丁寧な見舞いのお手紙を今頃になって出してきたそうで、お返事も出さないまま過ぎた日数に旦那様は卒倒しそうになったそうだ。後日話を聞いて、私も卒倒しかけた。何度注意してもあの子は……!
まあでも、やってしまったことは仕方がない。
ここで焦るよりも、確実で丁寧なお返事を心がけるべきだろう。
事情を知る王太子殿下と領主様への手紙は、何度も見直しながらしたため、間違いのないよう、いつもより高価で信頼のおける配達人に託す。息子に任せる勇気はなかったそうだ。
それ以外に付き合いのある家にも、病に臥せっていたことになっていた私の回復を知らせる。
すると午後には折り返しの祝いの手紙がどんどんと届き始めて、その対応にも追われていく。
忙しいのは確かだけれど。
旦那様は不自然なほどに忙しそうにして、私のところへ来てくれない。
オニキス様と息子への御礼の挨拶にも、私とは別に出向いたらしい。
夜、私はすっかり寝支度をして、まだ旦那様を待っていた。
まだ疲れるので手仕事はできない。窓越しに、ラクサの枝を眺めて待つ。
焦る気持ちも、なじる気持ちもない。
私は不思議なほど凪いでいた。
これは何と言えばいいのだろう。若い時とは違う、穏やかな気持ち。待つ時間のどこにも、トゲトゲしたものがない。その時間さえ楽しめるような。
こんなまろい気持ちを抱いて旦那様の帰りを待った夜も、長い間に何夜もあった。
今心穏やかなのは、あくまで私だけ、だろうけど。
旦那様、悪あがきはやめて、早く来ればいいのに。
メイドも片付けを終えて帰り、家の中に二人だけになってやっと、旦那様は私の、いえ夫婦の寝室に戻ってきてくれた。
ノックはない。
静かに入ってきた旦那様は、待ちくたびれた私が寝台に横たわっているのを見ると、老医師だった頃と変わらない様子で肘掛け椅子に座り、私の手を遠慮がちに握ってくれた。
魔女になりかける前の私なら。
手を握られて微笑みかえすその裏で、旦那様がその手を振り払って走り去る幻影を見て、胸に穴の空く気持ちに囚われたかも知れない。
この家で過ごしたたくさんの幸せな日々の中で、ふとした瞬間に、私は何度も、あの夜のことを思い出して傷ついていた。
けれど今は。
私はその手をぎゅっと握り返して引っ張り、旦那様を寝台へと促した。
旦那様を隣に寝かせ、二人で天井を見上げて、手を繋ぎ直した。
ぐす、と隣で鼻を啜る音がしても、私は聞こえないふりをする。旦那様は、昔から、少し涙脆い。けれど、指摘はされたくないようだ。
「……メルガレーテ、あなたは、すっかり許してくれたのだと、私は勝手に思っていた。私は謝ってもいなかったのに」
やっぱり、旦那様は律儀に思い悩んでいたようだ。
私は旦那様を待つ間ずっと考えていたことを、ゆっくり言葉にした。
「いいのよ、リオル。だって私、本当にずっとずっと、幸せだったもの。
確かに不意に叫びたくなったり、嫌な気持ちになったりしたけど、私が怖がっていたのはただの記憶で、真実でも未来でもなかった。だんだん回数も減って、もう滅多になかったのよ。
……リオルだって、たくさん辛い目や怖い目にあって、傷ついていたのに。一人で解決しようとすべて抱え込んでしまって、苦しかったし怖かったはずなのに。
リオルは私のように、痛みや恐怖が蘇ったりはしなかったの?
私、自分のことばかりで、あなたも同じように苦しんでいる可能性は、考えなかった」
「メルガレーテは、悪くない。それだけ、俺があなたを傷つけたんだ。
……俺は、あなたに初めて温めてもらったあの日から、嫌な記憶を思い出すことはなかった。けれどその代わりに、あなたの胸には魔女の種があったなんて。
あなたが怖がっていることにも気づかなかった。叫びそうになるような記憶がいつ蘇るかわからないなんて、ずっと怖かっただろうな。
俺は、ひどい夫だ。
一人だけ、憂いもなく無上のしあわせに浸っていた」
それは、ひどい夫だろうか。……そうではないと思う。
でも私は、あえて口をつぐんだ。
しばらく二人でまた天井を見る。
やがて、旦那様がむくりと起き上がって、私の顔を覗き込んだ。
あら、今気がついた。お髭を剃ったのね。もう老医師には、見えないわ。耳の下から顎までの傷も、かなり薄くてもう目立たない。私の好きな、高い頬骨が素敵。
……あら、このこと、もしかして私、老医師に話したのだったかしら。
私にも旦那様の緊張がうつっているようだ。
「メルガレーテ、愛している。ずっと一緒にいてほしい。あの時は相談もせず、あなたの気持ちも考えず、家に帰らなくなるなんて。心配をかけたし傷付けた。すまなかった。それにずっと一人で怖い記憶も魔女の種も、抱えたままにさせてしまって、ごめん」
ぐす、とまた鼻を鳴らしながら、旦那様は握ったままだった私の手を、そっと指でさすった。
「若い頃の俺は、目的を決めたら、他が目に入らなくなることがよくあった。だけど、あなたを捨てたことなんか、一度もないんだ。初めに求婚を断った時だって、なんとか事態を解決して、俺から申し込み直したいと思っていた。
俺は、あなたしかいらないから。だから——置いていかないで」
私の近頃の体調を、旦那様がとても不安に思っていることが、嫌というほど伝わってきた。
そういえば、長い結婚生活の間に、私が体調を崩すたびに、少しずつ心配性になってきたのだった。老医師の過保護は、その集大成だったのだろう。
今回は、はじまりはただの風邪、その後若返ってる間はずっと寝たきりになっていたし、昨日の治療にどうも精神力のようなものを使ったから、まだ少し弱っているだけ。
オニキス様もそう言っていたはずなのに、私を失うのがよほど怖いのだ。
本当に、愛しい人だ。
「ありがとう、旦那様。私も愛してる。ねえ、もうとっくにゆるしてたわ」
ゆるしていた。
本当はあの時、こうやって、真正面から謝って労わってもらいたかったけれど。
ずっとずっと疼いていた心の傷が、驚くほど綺麗に消えていった。傷はたくさんの優しい記憶で覆われていて、そのままでも滅多に痛みはしなかったから、やり直しはなくてもよかったのかもしれない。
けれど、四十五年の結婚生活を経た今だからこそ旦那様の言葉が私の心にまっすぐ入ったのだろうから、これも巡り合わせ。
魔女の呪いという災難も、結果幸運だったと受けとめましょう。
「思い出すとどの春も結局、幸せだったわ。四十五回もの春。積み重ねてきたわね、私たち、とても長く」
首を巡らせると、月明かりの下、窓から見える梢には、ふっくらと膨らんだ蕾が重たげだ。
そうだ、この木も今は老木となり、わずかな残りの枝に支えを当てているのだ。馬鹿げた戦いを挑んでいた時だって、結局伐採することはできなかったな、と思い出す。
枝先の蕾はすでにわずかにほどけていて、明日にでも花開きそう。それが、心から楽しみだ。
「今年も契約結婚の終わりの花が咲くわね、旦那様。どうしますか?」
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