【完結】ドライアドの糸使い

双葉 鳴

文字の大きさ
96 / 109
七章

はじめての共同作業

しおりを挟む


「さて。お互いの力は把握できたことだろうし、これからは思い思いに力を振ろうと思う」


 作戦会議と言う名の内緒話から戻ってきたクロウさん達は自信に満ち溢れた顔でそんなことを言ってきました。
 その上で「お互いをカバー出来るように周りを見て行動しよう」と付け足します。

 いよいよ共同作業と言うわけですね。
 今までのクロウさんは自分一人で解決するか、やってみろと言わんばかりに全部任せてくるかのどちらかでしたけど、ジドさんとの意見交換で何か考え方を変えてくれたのでしょうね。
 ちょっと意外な言葉に思わずローズさんと顔を見合わせてしまいました。
 彼女もまた、意外だと思っているようですね。でも、ようやく望んだ形になれて少し嬉しく思っているようです。見ていれば分かりますよ。いつもより心ここに在らずな顔してましたからね。


 ローズさんが鞭打ちで一匹引き寄せて、そこへジドさんが罠作成からの設置、作動で前足を封印。作戦した罠は落とし穴ですね。
 何がすごいって、駆け出したチャージシープの速度に合わせて設置した手腕です。その空間把握速度たるや私が精霊の時と同じ領域なのですから心から称賛しまくりです。
 そこで前足を地面に埋め込んだチャージシープにクロウさんが肉薄。顔前にいたはずなのに、高い敏捷で気づけば後ろ脚の位置に。

 そこで身を隠すでヘイトを消し、不意打ち攻撃を発動。バックアタック+不意打ち+筋力50から繰り出される一閃は多くの補正を受けて、チャージシープの後ろ脚を一つ行動不能にしました。


「ユミ!  もう一つ頼む!」


 もう一つの後ろ脚の事でしょうかね。気持ち塩コショウを振りまして……切断した後回収します。

 実はこのタコ糸は私の手の延長線として使えるんですよね。切り取りラインで削り取ったお肉は言わずもがな加工肉にすり替わります。加工されたお肉はいわばアイテム。アイテムを手で触れるとバッグに収納しますか?  と選択肢が出てくるんですよ。それをイエスにするだけであら不思議。バッグに収納されます。もちろん圧縮加工を施して。
 脚一本だけでも5Mしますから、一体どういう肉体構成なんでしょうね、この羊は。

 クロウさんは私の予想以上の仕事に驚きを隠せないといった感じにしばらく硬直していましたが、すぐに立て直して少しずつ急所攻撃をしていきました。

 少し危ない場面もありましたけど、ローズさんが鞭打ちでヘイトを消失させ、再びジドさんの罠作動で難を逃れてました。これぞチームプレイというやつですよね。

 私も地味にタコ糸で応戦していたんですよ?  急に直線攻撃がぶれたり、何かに引っ張られたりしたのは私の支援攻撃。
 それが何かもわからないまま、ジドさんもクロウさんもその隙をチャンスとばかりに利用して討伐を果たしてました。

 疲れたらもちろん休憩も入れて。
 バッグにはちょうど新しいお肉も手に入った事ですし、ある程度の大きさに切りそろえたらスープにでもしましょうか。
 あの図体を支えている後ろ足ですからね。さぞかし身がしっかり引き締まっている事でしょう。

 ジドさんもクロウさんもローズさんさえも美味しい美味しいと言ってくれて私も満足です。
 結構な量を作ったのですが、怒涛のお代わりラッシュで残りも少なくなってしまいます。

 確かに美味しいですけど、それ以外に何か秘密があるかもしれませんね。
 みんなの瞳を見れば一目瞭然。ローズさんはただ美味しいから。しかし旦那様方は何かの達成感さえ感じさせるような焦りを感じました。
 それとなく理由を聞いてみますと、それは付与されたバフ効果にあるようでした。

 [食後30分間、全てのステータスが2%上昇する。※この効果は重複する]

 これですね。このお代わりラッシュの正体は。私達女性陣はステータスに関係ない戦闘スタイルですのでそこまで食い気味になりませんが、男性陣……特にクロウさんはその影響を結構受けようとしていたようです。
 ちょっとしたLV上昇効果も加味された感じなのでしょう。希望を聞いてみると後5杯は欲しいとのこと。ジドさんも同じく。
 ローズさんはお腹いっぱいと言ってその場にグデっと寝転がってました。……牛ですね。何がとは言いませんがジドさんからの視線がすごいことになってましたよ。
 直ぐ横でクロウさんが勝ち誇ってました。相変わらず仲良いですね。


 そのあとは食後の運動を少々。バフ効果を十分すぎるほど受けた私達の行動は、一方的な蹂躙に他なりませんでした。

 クロウさんは基本的に「身を隠す+抜刀攻撃」で不意打ち補正を受けた攻撃手段で固定するようですね。
 流石前作プレイヤーというだけはありますね。その動きに無駄はなく、閃く剣線の後には分断されたMOBが転がっていました。本来ならここまでの威力はないはずですが、あの料理効果でしょうか?  先ほどよりも生き生きとした表情で圧倒してました。
 足も速いので攻撃はまず当たりませんし、一方的ですね。
 危ない時はローズさんが間に入って鞭打ちしてことなきを得ていました。ナイスですよローズさん。あとで大盛りお肉を贈呈しましょう。彼女はお肉さえ与えておけば言うこと聞いてくれるので扱いやすくて好きです。

 ホーク肉のスモークチキンを食べながら圧縮保存でたまに分断した加工肉をゲットしてローズさんに渡すことで彼女もまた仕事を始めます。
 使役する際に同種族のお肉は食いつきが悪いと思ったのですが、頭がついてない状態ではどのMOBかわからないみたいですね。ガツガツ食いついてはローズさんの下僕に成り果てていました。そこからはもう、エリア2を彷彿させるほどの乱戦が繰り広げられました。

 ジドさんもジドさんで罠作成の幅を増やしていきます。多分作るたびにMPを使うんでしょうね。そして落とし穴は私の塩コショウと同じく消費が軽いのでしょう。
 ただし工夫の仕方が若干おかしいです。
 流石クロウさんのご友人を名乗るだけはありますね。私が精霊の時のトラップ作成に通ずる何かを感じ取りました。
 話し方はチャラくて苦手でしたけど、もしかしたらこの人もまたすごい人なのかもしれません。ローズさんが自慢したくなるのもわかりますね。

 そんな光景を見ながら私は私で分断加工でお肉を調達し、クッキングタイム♪
 疲れたら休憩しに帰ってくる旦那様達を迎え入れ、必要とされてる各々の料理を用意して置いておきます。
 そこへバフ効果を提示し、どの食事が自分に合うのか一目瞭然にしておきます。
 クロウさんはステータス上昇料理を、ジドさんはMP回復料理を、ローズさん特に関係ないのでメニュー右から左へ純粋に味を楽しんでいました。その事をジドさんに突っ込まれてましたが、彼女に罪はありませんよ。今ぐらいはいいじゃないですかと微笑んでおきます。


「ローズさんは働かない割によく食べますね」
「まーね♪」
「いや、威張んないでよ」
「実際美味しいからさ。ローズが夢中になるのもわかるよ」
「うむ。これに米があれば最高なんだが……」


 やはり……クロウさんはそう言いますよね。
 しかし未だ日本米に匹敵する米の発見はされていません。料理掲示板でもその事を追求しているグループがありましたし、発見を待ちましょうと添えておきます。


「おい、無いもんを強請るなよ。今は愛妻の料理を食えて満足しとけ。ユミちゃん俯いちゃったじゃねーか」
「むぅ、すまんユミ」
「いえ、私も独自のルートで探してるんですがなかなか見つからなくて……」
「そうなのか?」


 探していると聞いてクロウさんは少し表情を明るくさせてました。
 出すならここですね。
 私はアイテムバッグから小さめの壺を取り出してきゅうりに似た果実を出しました。加工とは別に買い付けた塩と、炊くのには適しませんでしたが日本酒の試作段階として発売されていたものともろみを少し足しまして塩麹漬けをオリジナルで試作したものになります。
 これを千切りにしまして器に盛り、肉料理とスープに舌鼓を打つ男性陣の前にお出ししました。


「お、これは?」
「まだ試作ですがきゅうり塩麹漬けです」
「食べていいの?」
「はい。味見をしていただきたく準備してました。忌憚ない意見をお聞かせくださいね」


 そう言って木工職人に削り出してもらったお箸を一膳づつ渡します。
 まずはじめに口をつけたのはジドさん。
 ホーク肉の唐揚げを食べた後に口に入れ、シャキシャキ感とほんのりとしたアルコール感が口の中に広がったのか酩酊状態になりながら「うまい!」と言ってくれました。クロウさんもそれに続いて一口。
 彼は結構こだわり屋で味に妥協を許さない人なので合格点をもらえるかは微妙なところです。シャクシャクと口の中で堪能して飲み干し、無言のまま箸を伸ばしました。
 行動のたびに一喜一憂する私を見て察したのか、ジドさんがクロウさんの胸を手の甲で叩きました。


「おい、おい」
「なんだ、食事中に。またユミにどやされるぞ?」
「うまいのならせめて感想をいえ。ユミちゃんに悪いだろ?」
「ああ、そうか。うまいぞ、ユミ。……これでいいか?」
「ありがとうございます」
「おま、もう少し言い方ってもんがあるだろ?」
「ウチにはウチの流儀がある。余所モンが口を挟むな」
「んだよ、それー。そういやさローズ」
「なに?」


 気を回してくれたのでしょうけど無駄足でしたね。クロウさんはリアルでも食に関しては妥協しない人なのです。ですので箸を止めてくれないだけでも好感触なんですよ。それでもジドさんは少し気に食わないようで、ムスッとしながらローズさんに話を振ってました。


「ローズもユミちゃん見習って料理がんばってみない?」
「無理!」
「即答だな」
「だってできた料理をリアさんと比べるでしょ?」
「いや……うん」
「だから無理。このレベルをあたしに求められても要望にお応えできませーん」
「いやいや、もうちょっとやる気を見せてくれてもいいだろうに」


 取りつく島もなし。ローズさんはジドさんの要望に耳を貸しませんでした。肉じゃがですらアレですからね。
 こちらからいくらでも教えると言ってるんですがここで食べれる手前、リアルで比べられるのは余程ストレスが溜まるのでしょう。
 今はお互いにストレスを溜め込みやすい時期ですからね。それにしたって即答は流石に……まぁ気持ちはわかりますけどね。


「ユミ、腕を上げたな」
「いえ、まだ理想には遠く及びません」
「君は理想を求めすぎる。いや、僕も君のことは言えないか。とても美味しかったよ。直ぐにその感想を添えられなくて悪かった」
「用意した側としては、残さず食べてくれるだけでとても嬉しいものなのですよ? でもそうですね、言ってもらえて嬉しいのは確かです。ありがとうございます」


 私はニコニコしながら答えましたが、それが少しクロウさんには思うところがあるようでした。先ほどまでの柔らかい口調はなりを潜め、まっすぐと瞳を射抜かれてしまいます。ちょっと緊張してしまいますね。


「もしかして……いや、もしかしなくても僕は、君を追い込んでいたのではないか。そう思っていた。そう考えていた。その事をジドにも指摘されたよ」
「私は、それを苦とは捉えてません。それはあくまで過程です。踏み台です。私は両親にそう教えられてきました」
「君は強いな。僕はその強さに甘えていたのかもしれない」
「いえ、強くなどありませんよ。これは強さではなく強がりです。今でもまだ不安で押しつぶされてしまいそうです。自分は失敗はしてないか。取り返しのつかないことはしていないか。ミスを起こしていないか。要らぬことで不安を招いて、そして勝手に心配している……私はそういう、めんどくさい女なのです」
「僕は君に苦労ばかりかけているな。そんなことにも気づけないで、気にかけないで。馬鹿みたいだ。軽蔑しただろう?  僕は自分勝手で、自分が中心になって世界を回していると本気で思っている。その思い上がりが、君を傷つけていた事に今気付かされたよ」
「そんな事……ないです。少なくとも私はクロウさんに出会ってなかったら、ここまで人を信頼することは出来ていませんでした。だから私はあなたの事を……ううん、あなただけが私の救いなのです。だからあまり自分をそのように追い込まないでください。それは、私の望みではありません」


 クロウさんはそのあと何も言いませんでした。けれど何かを決意したように私に手を差し伸べました。手を取り、引き上げてもらい、そして……
 本当の意味での共同戦線が幕を開けたのです。

 今までのどこかよそよそしい一歩引いた関係性ではなく、これからは共に手を繋ぎ、同じ目標に向かって意識を共にするように。

 この人にだったら私の全てをバラしてしまってもいい。そんな風に覚悟を決めた瞬間でした。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

慈愛と復讐の間

レクフル
ファンタジー
 とある国に二人の赤子が生まれた。  一人は慈愛の女神の生まれ変わりとされ、一人は復讐の女神の生まれ変わりとされた。  慈愛の女神の生まれ変わりがこの世に生を得た時、必ず復讐の女神の生まれ変わりは生を得る。この二人は対となっているが、決して相容れるものではない。  これは古より語り継がれている伝承であり、慈愛の女神の加護を得た者は絶大なる力を手にするのだと言う。  だが慈愛の女神の生まれ変わりとして生を亨けた娘が、別の赤子と取り換えられてしまった。 大切に育てられる筈の慈愛の女神の生まれ変わりの娘は、母親から虐げられながらも懸命に生きようとしていた。  そんな中、森で出会った迷い人の王子と娘は、互いにそれと知らずに想い合い、数奇な運命を歩んで行くこととなる。  そして、変わりに育てられた赤子は大切に育てられていたが、その暴虐ぶりは日をまして酷くなっていく。  慈愛に満ちた娘と復讐に駆られた娘に翻弄されながら、王子はあの日出会った想い人を探し続ける。  想い合う二人の運命は絡み合うことができるのか。その存在に気づくことができるのか……

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...