52 / 88
四章 ゴミ拾いと流行り病
52 あっけない結末
しおりを挟む
厄災を迎え討つ!
そんなクエストを受けてから早三日。
待てど暮らせど一向に現れない厄災に、僕とコエンさんは暇を持て余していた。
「来ませんねぇ、厄災」
「来ない方がありがたいんだがなぁ」
ギルド内の談話室にてロキ達のブラッシングをする。
分体総出でやっている。
ずっとブラッシングさせてもアレなのでたまに散歩させたりして、息抜きもした。自主的にお散歩に行きたいって言い出したのでお散歩コースはロキ達に任せた。
「まぁ外が騒がしくなったらお出ましだろ」
「一応対応策はいくつか考えておいてます。僕の分体がいる限りは食事に混入しても拾えるようにアレからも二重、三重に分体置きましたからね、バッチリです」
「この街は平気かもしれんが、他の街が心配だよ」
「え、相手は九尾の処分を名目に動いてるんですよね?」
「他の街も狙うんですか?」
僕はそんな意味のないことをする必要があるのかと目を丸くする。
「言ったろ? あいつらは存在自体が厄災なんだ。いるだけで周囲に菌をばら撒く。菌の集合体が人の形をとってるだけだ。移動するだけで人や獣に付着し、数を増やす。その総数で本人が強くなるんだから積極的にばら撒くだろう。要はレベルアップだな」
「嫌なレベルアップですねぇ」
「そう言う意味ではばら撒いた病原菌を根こそぎ拾ってレベルアップするルークも大概だ」
「僕だって病気にはなりたくないですからね。体に悪いものは積極的に拾っていきますよ」
ここ最近のレベルアップでものすごく強くなったと実感している。ただし拾えるスキルが増えただけで僕自身はサポーター以外の何者でもない。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ルーク
<スキル>
◆ゴミ拾いLV50
効果範囲【上下左右に両手を広げた状態×LV】
魔力:500(スキル使用回数上限)
◇スコア
☆370.80
┗★100.00
┗Δ30.00
<回収対象:ON/OFF可能>
☆ゴミ
埃/錆/油汚れ/カビ/根枯らし蟲/キノコ胞子/メタンガス/ヘドロ/老廃物/ノミ/寄生虫
☆植物
ニガミ草/カンミ草/イキリ菜/ポイゾ菜/キリキ草/ギギム草/ヒリング草/レッドムーン草/チバシリ葉
☆モンスター
ゴブリン/ボア/グレートボア/ブラックグリズリー/ブルホーン/レッドプランター/マンドラゴラ
☆素材
スライム片/ブラックベアーの血/アースドラゴンの粘液/サンドローパーの体液/ソニンの抜け毛/ロキの抜け毛/プロフェンの血/プロフェンの抜け毛/プロフェンの角/シルバーフォックスの抜け毛/シルバーフォックスの血
Δウイルス
風邪/ノロ/コローナ/ボツリヌス
<固有能力>
★スキル
◇獣神化・ラビット/変身(ロキ)
◇養分抽出(根枯らし草)
◇疲労回復(老廃物)
◇勇猛の歌(イキリ菜)
◇鎮静の歌(ギギム草)
◇精神集中(キリキ草)
◇伸縮(スライム片)
◇癒しの光(ヒリング草)
◇看破(ブラックベアーの血)
◇浮遊(アースドラゴンの粘液)
◇吸い寄せ(サンドローパーの体液)
◇魔力付与(ハンターラビットの抜け毛)
◇毛糸変換(ソニンの抜け毛)
◇分体作戦(ルエンザの抜け毛)
◇熟成調理(カビ)
<特殊スキル>
★融合(三体以上のモンスターとの絆LVMAX)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
と、こんな感じ。
拾えるゴミは数が増えるごとに分類されていった。
前はひとまとめだったのに、こうなったのはレベルの影響かな?
レベル一気に上がったもんね。
ソニンを抱っこしてほっぺをウリウリしてるところへ、外に散歩に行ってたロキとプロフェンが単独で戻ってきた。
あれ? 僕の分体は?
『終わったぜ、あるじ』
『あるじー、厄災やっつけたよ!』
よくわからないことを言うロキ。
プロフェンに至っては舌を出して駆け寄りながら胸に飛び込んできた。かわいい。
じゃなくて。
「厄災をやっつけたってどう言うこと?」
「ム、聞き捨てならんな。厄災を討伐したとはどう言うことだ?」
「えと、この子達がどうも厄災を消滅させたとかなんとか言ってます。お散歩に行かせた僕の分体はどうしたの?」
『尊い犠牲だった』
この言い方、ルエンザに送った言葉と一緒だね。
つまり僕は厄災と相打ちしたってことかな?
でもロキはわかるけどプロフェンにつけた分体も居ないのはおかしいよ。尊い犠牲なら一人で十分だよね?
『あるじが体を張って僕達を守ってくれたんだ!』
お散歩中の僕の分体がそんな行動するかぁ?
プロフェンはかわいいけどたまによくわかんないことを言う。
ひどく興奮していて、幻覚でも見ていたんじゃないかと思うほど。興奮し過ぎて僕の顔はプロフェンの涎まみれになった。
「見回り終わったわよ、ってそっちのが帰ってきたのなら報告は必要ないかしら?」
インフとルエンザがお散歩から帰ってきた。
ロキやプロフェンが散歩に行きたがった後に、何か思うところがあって出かけたのだ。
「はいはーい。プロフェンちゃんはあたしと一緒にいましょうね」
「くぅん」
僕から引き剥がすようにプロフェンを強奪するトラネ。
ナイスだよ。その隙に僕は顔を拭く。
別に汚くはないけど、このままじゃ前が見えないからね。
「いや、報告はしてもらう。どうも抽象的過ぎて内容がチグハグだ。インフ君が何を見て何を確信したのか教えてくれ」
「じゃあ順に説明するわね」
こう言う時に人化できる九尾は強い。
感情で喋らないので、人への説明が上手なのだ。
別にロキみたいなタイプもプロフェンみたいなタイプも人間にはいる。けどそう言う人ほど状況説明には向かない傾向にある。
僕に至ってはいつも状況に置いてけぼりを喰らうので、やれることをやることにする。
ロキの語る武勇伝を聴きながら、ブラッシングをするとそれが本当に自分のしたことなのかわからなくなってくる。
だってどれも拡大解釈され過ぎてて僕っぽくないんだもん。
「神官の消滅をこの目で見たと?」
「ええ、間違いないわ。多分パブロンにも少し入るから復活してるとしたらそこは注意が必要かもだけど、この辺にはいないわね。いても近寄らないと思うわ」
そう言って、インフが僕を横目で見る。
「なぁに?」
「なんでもないわ。ルークに倒されたって言っても誰も信用しないでしょうねって」
「ハハハ、街の英雄がまだこんな幼い坊やだと言っても国の貴族達は納得せんだろう。それにこれを国に知られても困る。そこでルークには二つの選択肢をやろう」
「選択肢、ですか?」
「ああ、自分が厄災を倒したと、事実をそのままに受け取る権利と、別に厄災なんて来なかった。全てを無かったことにする権利だ」
「つまり僕次第で事実を捻じ曲げるってことですか?」
「捻じ曲げるのとは違うな。だって誰も被害を受けてないんだ。今なら疲れが出て少し寝込んだで済ませられる。ことが大きく慣ればなるほど自由が効かなくなるもんさ。英雄視というのはいいことばじゃりじゃないからな」
「オレノーさんが冒険者になろうって思ったきっかけみたいなもんですか?」
「王族ほどしがらみに雁字搦めでもないが、概ねそうだ。何せそんな偉業を果たした相手を国外に取られたくないから、あの手この手で籠絡してくるぞ。地位を与え、土地を与え、お嫁さんを与えられる。未来永劫この地で暮らせ、だなんて要求してくるな」
「うわぁ」
人によっては一つの頂点。
けど、今の僕には窮屈な環境。
自分でお金を稼げるようになるのは一つの到達点ではあったけど。僕は……
「ごめんなさい。そう言うのはちょっと息苦しいです。僕にはこの子達の面倒を見る義務と、あとはまだまだ外の世界を見てまわりたい欲があるので」
「分かった。オレノーが来たらそう伝えとく。これからは毛皮修復師としての期待だけ受け取ってくれ。それとギルドからこいつも渡しておこう」
「これは?」
話が丸まって、これでおしまいだと言うところで一枚の用紙が目の前のテーブルに置かれた。
「土地と一戸建ての権利書だ。こいつがギルドから出せる精一杯の感謝の証だな」
「おうち! そそそ、そんな! 貰えません」
いきなり話が大きすぎるよ。
僕は胸の前で手を左右に振りながら否定する。
「まぁ話は最後まで聞け。救国の英雄がいつまでもこんな場所で作戦会議というのも花がない。それとこの土地にはびっくり機能があるのさ。とある魔導具師の作り上げた持ち運びが可能な土地と聞いたらどう思う?」
「普通に驚きます」
「だろうな。本来ならこれは帝国の王族にしか手に入れることができない代物なんだが」
「なんでそんなものがギルドにあるんですか?」
「とある王族が持ち込んだ品だな。金がないからこれで融通してくれないかって手放した品だ。あいつもルークが持ってるって知れば許してくれるだろう」
あ、それってオレノーさん?
「黙ってもらっちゃっていいんでしょうか?」
「あいつももうこっちに戻ってこれないからな。あいつの代わりに一緒に冒険に連れていっちゃくれねぇか?」
「そう言うことでしたら。まだ他の街が厄災種の脅威に怯えているかも知れませんし、僕の力はそう言うのを取り除くのに向いてますから」
「頼むぜ、救国の勇者殿?」
「そんなたいそうなものでもないですし、まだこの街にいますけどね?」
「ああ、こっちとしてはいつまでもいてくれていいぜ。Cランクまでは世話見てやる」
じゃあ、ずっとだ。
僕達Cランクになる気がないからね。
そんなクエストを受けてから早三日。
待てど暮らせど一向に現れない厄災に、僕とコエンさんは暇を持て余していた。
「来ませんねぇ、厄災」
「来ない方がありがたいんだがなぁ」
ギルド内の談話室にてロキ達のブラッシングをする。
分体総出でやっている。
ずっとブラッシングさせてもアレなのでたまに散歩させたりして、息抜きもした。自主的にお散歩に行きたいって言い出したのでお散歩コースはロキ達に任せた。
「まぁ外が騒がしくなったらお出ましだろ」
「一応対応策はいくつか考えておいてます。僕の分体がいる限りは食事に混入しても拾えるようにアレからも二重、三重に分体置きましたからね、バッチリです」
「この街は平気かもしれんが、他の街が心配だよ」
「え、相手は九尾の処分を名目に動いてるんですよね?」
「他の街も狙うんですか?」
僕はそんな意味のないことをする必要があるのかと目を丸くする。
「言ったろ? あいつらは存在自体が厄災なんだ。いるだけで周囲に菌をばら撒く。菌の集合体が人の形をとってるだけだ。移動するだけで人や獣に付着し、数を増やす。その総数で本人が強くなるんだから積極的にばら撒くだろう。要はレベルアップだな」
「嫌なレベルアップですねぇ」
「そう言う意味ではばら撒いた病原菌を根こそぎ拾ってレベルアップするルークも大概だ」
「僕だって病気にはなりたくないですからね。体に悪いものは積極的に拾っていきますよ」
ここ最近のレベルアップでものすごく強くなったと実感している。ただし拾えるスキルが増えただけで僕自身はサポーター以外の何者でもない。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
ルーク
<スキル>
◆ゴミ拾いLV50
効果範囲【上下左右に両手を広げた状態×LV】
魔力:500(スキル使用回数上限)
◇スコア
☆370.80
┗★100.00
┗Δ30.00
<回収対象:ON/OFF可能>
☆ゴミ
埃/錆/油汚れ/カビ/根枯らし蟲/キノコ胞子/メタンガス/ヘドロ/老廃物/ノミ/寄生虫
☆植物
ニガミ草/カンミ草/イキリ菜/ポイゾ菜/キリキ草/ギギム草/ヒリング草/レッドムーン草/チバシリ葉
☆モンスター
ゴブリン/ボア/グレートボア/ブラックグリズリー/ブルホーン/レッドプランター/マンドラゴラ
☆素材
スライム片/ブラックベアーの血/アースドラゴンの粘液/サンドローパーの体液/ソニンの抜け毛/ロキの抜け毛/プロフェンの血/プロフェンの抜け毛/プロフェンの角/シルバーフォックスの抜け毛/シルバーフォックスの血
Δウイルス
風邪/ノロ/コローナ/ボツリヌス
<固有能力>
★スキル
◇獣神化・ラビット/変身(ロキ)
◇養分抽出(根枯らし草)
◇疲労回復(老廃物)
◇勇猛の歌(イキリ菜)
◇鎮静の歌(ギギム草)
◇精神集中(キリキ草)
◇伸縮(スライム片)
◇癒しの光(ヒリング草)
◇看破(ブラックベアーの血)
◇浮遊(アースドラゴンの粘液)
◇吸い寄せ(サンドローパーの体液)
◇魔力付与(ハンターラビットの抜け毛)
◇毛糸変換(ソニンの抜け毛)
◇分体作戦(ルエンザの抜け毛)
◇熟成調理(カビ)
<特殊スキル>
★融合(三体以上のモンスターとの絆LVMAX)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
と、こんな感じ。
拾えるゴミは数が増えるごとに分類されていった。
前はひとまとめだったのに、こうなったのはレベルの影響かな?
レベル一気に上がったもんね。
ソニンを抱っこしてほっぺをウリウリしてるところへ、外に散歩に行ってたロキとプロフェンが単独で戻ってきた。
あれ? 僕の分体は?
『終わったぜ、あるじ』
『あるじー、厄災やっつけたよ!』
よくわからないことを言うロキ。
プロフェンに至っては舌を出して駆け寄りながら胸に飛び込んできた。かわいい。
じゃなくて。
「厄災をやっつけたってどう言うこと?」
「ム、聞き捨てならんな。厄災を討伐したとはどう言うことだ?」
「えと、この子達がどうも厄災を消滅させたとかなんとか言ってます。お散歩に行かせた僕の分体はどうしたの?」
『尊い犠牲だった』
この言い方、ルエンザに送った言葉と一緒だね。
つまり僕は厄災と相打ちしたってことかな?
でもロキはわかるけどプロフェンにつけた分体も居ないのはおかしいよ。尊い犠牲なら一人で十分だよね?
『あるじが体を張って僕達を守ってくれたんだ!』
お散歩中の僕の分体がそんな行動するかぁ?
プロフェンはかわいいけどたまによくわかんないことを言う。
ひどく興奮していて、幻覚でも見ていたんじゃないかと思うほど。興奮し過ぎて僕の顔はプロフェンの涎まみれになった。
「見回り終わったわよ、ってそっちのが帰ってきたのなら報告は必要ないかしら?」
インフとルエンザがお散歩から帰ってきた。
ロキやプロフェンが散歩に行きたがった後に、何か思うところがあって出かけたのだ。
「はいはーい。プロフェンちゃんはあたしと一緒にいましょうね」
「くぅん」
僕から引き剥がすようにプロフェンを強奪するトラネ。
ナイスだよ。その隙に僕は顔を拭く。
別に汚くはないけど、このままじゃ前が見えないからね。
「いや、報告はしてもらう。どうも抽象的過ぎて内容がチグハグだ。インフ君が何を見て何を確信したのか教えてくれ」
「じゃあ順に説明するわね」
こう言う時に人化できる九尾は強い。
感情で喋らないので、人への説明が上手なのだ。
別にロキみたいなタイプもプロフェンみたいなタイプも人間にはいる。けどそう言う人ほど状況説明には向かない傾向にある。
僕に至ってはいつも状況に置いてけぼりを喰らうので、やれることをやることにする。
ロキの語る武勇伝を聴きながら、ブラッシングをするとそれが本当に自分のしたことなのかわからなくなってくる。
だってどれも拡大解釈され過ぎてて僕っぽくないんだもん。
「神官の消滅をこの目で見たと?」
「ええ、間違いないわ。多分パブロンにも少し入るから復活してるとしたらそこは注意が必要かもだけど、この辺にはいないわね。いても近寄らないと思うわ」
そう言って、インフが僕を横目で見る。
「なぁに?」
「なんでもないわ。ルークに倒されたって言っても誰も信用しないでしょうねって」
「ハハハ、街の英雄がまだこんな幼い坊やだと言っても国の貴族達は納得せんだろう。それにこれを国に知られても困る。そこでルークには二つの選択肢をやろう」
「選択肢、ですか?」
「ああ、自分が厄災を倒したと、事実をそのままに受け取る権利と、別に厄災なんて来なかった。全てを無かったことにする権利だ」
「つまり僕次第で事実を捻じ曲げるってことですか?」
「捻じ曲げるのとは違うな。だって誰も被害を受けてないんだ。今なら疲れが出て少し寝込んだで済ませられる。ことが大きく慣ればなるほど自由が効かなくなるもんさ。英雄視というのはいいことばじゃりじゃないからな」
「オレノーさんが冒険者になろうって思ったきっかけみたいなもんですか?」
「王族ほどしがらみに雁字搦めでもないが、概ねそうだ。何せそんな偉業を果たした相手を国外に取られたくないから、あの手この手で籠絡してくるぞ。地位を与え、土地を与え、お嫁さんを与えられる。未来永劫この地で暮らせ、だなんて要求してくるな」
「うわぁ」
人によっては一つの頂点。
けど、今の僕には窮屈な環境。
自分でお金を稼げるようになるのは一つの到達点ではあったけど。僕は……
「ごめんなさい。そう言うのはちょっと息苦しいです。僕にはこの子達の面倒を見る義務と、あとはまだまだ外の世界を見てまわりたい欲があるので」
「分かった。オレノーが来たらそう伝えとく。これからは毛皮修復師としての期待だけ受け取ってくれ。それとギルドからこいつも渡しておこう」
「これは?」
話が丸まって、これでおしまいだと言うところで一枚の用紙が目の前のテーブルに置かれた。
「土地と一戸建ての権利書だ。こいつがギルドから出せる精一杯の感謝の証だな」
「おうち! そそそ、そんな! 貰えません」
いきなり話が大きすぎるよ。
僕は胸の前で手を左右に振りながら否定する。
「まぁ話は最後まで聞け。救国の英雄がいつまでもこんな場所で作戦会議というのも花がない。それとこの土地にはびっくり機能があるのさ。とある魔導具師の作り上げた持ち運びが可能な土地と聞いたらどう思う?」
「普通に驚きます」
「だろうな。本来ならこれは帝国の王族にしか手に入れることができない代物なんだが」
「なんでそんなものがギルドにあるんですか?」
「とある王族が持ち込んだ品だな。金がないからこれで融通してくれないかって手放した品だ。あいつもルークが持ってるって知れば許してくれるだろう」
あ、それってオレノーさん?
「黙ってもらっちゃっていいんでしょうか?」
「あいつももうこっちに戻ってこれないからな。あいつの代わりに一緒に冒険に連れていっちゃくれねぇか?」
「そう言うことでしたら。まだ他の街が厄災種の脅威に怯えているかも知れませんし、僕の力はそう言うのを取り除くのに向いてますから」
「頼むぜ、救国の勇者殿?」
「そんなたいそうなものでもないですし、まだこの街にいますけどね?」
「ああ、こっちとしてはいつまでもいてくれていいぜ。Cランクまでは世話見てやる」
じゃあ、ずっとだ。
僕達Cランクになる気がないからね。
149
あなたにおすすめの小説
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
新作
【あやかしたちのとまり木の日常】
連載開始しました。
【完結】聖獣もふもふ建国記 ~国外追放されましたが、我が領地は国を興して繁栄しておりますので御礼申し上げますね~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放? 最高の褒美ですね。幸せになります!
――いま、何ておっしゃったの? よく聞こえませんでしたわ。
「ずいぶんと巫山戯たお言葉ですこと! ご自分の立場を弁えて発言なさった方がよろしくてよ」
すみません、本音と建て前を間違えましたわ。国王夫妻と我が家族が不在の夜会で、婚約者の第一王子は高らかに私を糾弾しました。両手に花ならぬ虫を這わせてご機嫌のようですが、下の緩い殿方は嫌われますわよ。
婚約破棄、爵位剥奪、国外追放。すべて揃いました。実家の公爵家の領地に戻った私を出迎えたのは、溺愛する家族が興す新しい国でした。領地改め国土を繁栄させながら、スローライフを楽しみますね。
最高のご褒美でしたわ、ありがとうございます。私、もふもふした聖獣達と幸せになります! ……余計な心配ですけれど、そちらの国は傾いていますね。しっかりなさいませ。
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
※2022/05/10 「HJ小説大賞2021後期『ノベルアップ+部門』」一次選考通過
※2022/02/14 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2022/02/13 小説家になろう ハイファンタジー日間59位
※2022/02/12 完結
※2021/10/18 エブリスタ、ファンタジー 1位
※2021/10/19 アルファポリス、HOT 4位
※2021/10/21 小説家になろう ハイファンタジー日間 17位
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
聖女として召還されたのにフェンリルをテイムしたら追放されましたー腹いせに快適すぎる森に引きこもって我慢していた事色々好き放題してやります!
ふぃえま
ファンタジー
「勝手に呼び出して無茶振りしたくせに自分達に都合の悪い聖獣がでたら責任追及とか狡すぎません?
せめて裏で良いから謝罪の一言くらいあるはずですよね?」
不況の中、なんとか内定をもぎ取った会社にやっと慣れたと思ったら異世界召還されて勝手に聖女にされました、佐藤です。いや、元佐藤か。
実は今日、なんか国を守る聖獣を召還せよって言われたからやったらフェンリルが出ました。
あんまりこういうの詳しくないけど確か超強いやつですよね?
なのに周りの反応は正反対!
なんかめっちゃ裏切り者とか怒鳴られてロープグルグル巻きにされました。
勝手にこっちに連れて来たりただでさえ難しい聖獣召喚にケチつけたり……なんかもうこの人たち助けなくてもバチ当たりませんよね?
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
ギルドの小さな看板娘さん~実はモンスターを完全回避できちゃいます。夢はたくさんのもふもふ幻獣と暮らすことです~
うみ
ファンタジー
「魔法のリンゴあります! いかがですか!」
探索者ギルドで満面の笑みを浮かべ、元気よく魔法のリンゴを売る幼い少女チハル。
探索者たちから可愛がられ、魔法のリンゴは毎日完売御礼!
単に彼女が愛らしいから売り切れているわけではなく、魔法のリンゴはなかなかのものなのだ。
そんな彼女には「夜」の仕事もあった。それは、迷宮で迷子になった探索者をこっそり助け出すこと。
小さな彼女には秘密があった。
彼女の奏でる「魔曲」を聞いたモンスターは借りてきた猫のように大人しくなる。
魔曲の力で彼女は安全に探索者を救い出すことができるのだ。
そんな彼女の夢は「魔晶石」を集め、幻獣を喚び一緒に暮らすこと。
たくさんのもふもふ幻獣と暮らすことを夢見て今日もチハルは「魔法のリンゴ」を売りに行く。
実は彼女は人間ではなく――その正体は。
チハルを中心としたほのぼの、柔らかなおはなしをどうぞお楽しみください。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる