淫愛家族

箕田 はる

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「答えたくないなら別に良い。とにかく、早く着替えた方が良いんじゃないのか」

 そう言って、春馬は険しい表情で睦紀に背を向けてしまう。拒絶を表した態度に、不安が胸を襲う。そのまま部屋を出そうになり、睦紀は慌てて春馬の腕に縋る。

「……物足りなかったんです」

 春馬の足が止まり、怪訝そうな顔で睦紀を見下ろす。

「二人に抱かれてから、普通の自慰じゃあ満足いかなくなってしまって……だからつい――」

 道具を使ったのだと続けた。軽蔑されてしまうかもしれない。言った後になって、そのことに気づく。

「僕はおかしいんです。昔から……こんなことばかりしていて……はしたないですよね」
「別に誰だって発散したい時はあるだろう。別に悪いことじゃない」

 宥めるような口調に、春馬が気を遣ってくれているのだと分かる。

「とにかく綺麗にした方が良い」

 腕を取られて立ち上がらされる。その瞬間に、中の物が抉り失っていた熱を呼び起こす。

「ああっ……」

 力が抜けてくずおれる。とにかく外さない限り、何度も責め苛まれてしまいそうだった。

「何かいれているのか?」

 春馬に問われ、睦紀は俯いたまま頷く。

「分かった……抜いてやる」

 そう言って、力の入らない睦紀の代わりに春馬の手がズボンに触れる。羞恥から身体が強ばると、春馬の動きが一瞬止まる。

「嫌かもしれないけれど、我慢してくれ」

 そう言われて、ズボンが膝まで下ろされる。下着を着けていなかったことで、すぐさま部屋の冷気に下肢が晒される。中途半端に昂ぶっていた熱が、春馬の視線に晒されたことで更に強まってしまう。肘と膝を床に着いた状態で、睦紀は羞恥に目をキツく閉ざす。

「……抜くぞ」

 春馬の手が道具に触れ、ゆっくりと引き抜かれていく。

「んッ……ああっ……」

 襞を擦り抜けていく無機質な感触にすら、睦紀の身体は貪欲に食らいつく。抜いた時に溢れ出たローションの生温かさが太股を伝う。

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