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アスタリア国からの逃亡
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ルイージをつけ狙う刺客はどこまでも我々の跡を追って来る。王宮より付き従ってくれた護衛は私たちを逃がすために、一人、また一人とその数を減らしていく。
「フラヴィオ殿下!我々がここで引き留めます!一刻も早く例の通路に!」
「うむ。マヌエル…ミケーレ…すまない…」
最後の護衛とここで別れることになり心中どれほど心細いか。だが今はルイージを連れて国を出る事だけを考えなくては。不安を幼いルイージ、そして老齢なロデオに感じさせてはいけない。
「こちらだロデオ、そしてルイージ、私とロデオの間に入りなさい」
「兄様ここは…」
「王族専用隠し通路だ。彼らが知らねばいいのだが…。これを使えば北門近くに出られるはずだ」
「出たとしてどうなさいます」
「そこには常に馬が繋がれているのだよ。そして金貨を渡せば管理人は姿を消す。ロデオ馬は大丈夫だな?」
「久々ではございますが…」
一刻も早く城から離れ北の国境を越えなければ。
ルイージの母であるアレクサ様。そして私の母と合流出来ぬのは無念だが、遺体が出なければどこかで生きているとお信じ下さるだろう。
「追手は!」
「まだにございます!」
「今のうちに引き離さなければ。隠し通路は当然兄たちもご存じなのだ。姿が見えねばいずれ追手はこちらへ差し向けられよう」
「ルイージ様大丈夫でございますか」
「え、ええ。気遣い無用です!」
細く暗い地下通路をどれほど走っただろうか。その通路には途中途中に隠し仕掛けがあり、そこには緊急時の金貨が隠されている。ほとんど何も持たずに宮を後にした私たちにとってこれだけが命綱だ。
「さあついた。ルイージ、私の手を」
「はい兄様」
地上に出た私たちは管理人に金貨の詰まった袋をやると、蹄の跡を消してからどこかへ行くよう申し付けた。気休めに過ぎないだろうが僅かでも時間が稼げれば…その僅かな時間が明暗を分けるかもしれないのだ!
「いくぞロデオ!」
「ははっ!」
馬車の通れぬ細い道を選んで北へと向かう。ロデオは持ち出せた僅かばかりの荷物と共に。そして私の前身にはルイージを乗せて。
「何処を目指しますフラヴィオ様」
「妃殿下方の居る西や南へ下手に向かえばすぐに居所が知れよう。ならば北へ行く。奴らが想像もしえぬ国へ」
「と申しますと?」
「北のサルディーニャ国へ向かう」
「サルディーニャ国!あ、あそこは山五つは超えた向こうにある大国ですぞ!」
「だからこそいいのだ。これだけの山越えをしてまで追っては来まい」
仮に追手を差し向けたとて、サルディーニャ国ほどの大国内で居所を探ることは容易でないだろう。またそれ以前に他国の騎士の勝手な振る舞いなどあの大国で許されようはずがない。
「当てはあるのですかな?」
「ある。あそこには母の伯父上が昔嫁いでいる」
婚姻に性別を問わぬサルディーニャの国。その国の侯爵令息に見初められ嫁いでいかれた母の伯父上。
存命であれぱすでに老齢だろうが…、なんとか私たちが身の上を隠し追っ手から逃れるため、現当主に口添え下さらないだろうか…
「殿下!もうじき国を出ます!」
「うむ、ここからは山が続く。ルイージ、決して楽ではないが覚悟はいいか!」
「は、はい!」
そうして私達が国境の山に姿を消した頃…背後からは蹄の音が微かに届いたが、やがて何も聞こえなくなっていった…
「フラヴィオ殿下!我々がここで引き留めます!一刻も早く例の通路に!」
「うむ。マヌエル…ミケーレ…すまない…」
最後の護衛とここで別れることになり心中どれほど心細いか。だが今はルイージを連れて国を出る事だけを考えなくては。不安を幼いルイージ、そして老齢なロデオに感じさせてはいけない。
「こちらだロデオ、そしてルイージ、私とロデオの間に入りなさい」
「兄様ここは…」
「王族専用隠し通路だ。彼らが知らねばいいのだが…。これを使えば北門近くに出られるはずだ」
「出たとしてどうなさいます」
「そこには常に馬が繋がれているのだよ。そして金貨を渡せば管理人は姿を消す。ロデオ馬は大丈夫だな?」
「久々ではございますが…」
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細く暗い地下通路をどれほど走っただろうか。その通路には途中途中に隠し仕掛けがあり、そこには緊急時の金貨が隠されている。ほとんど何も持たずに宮を後にした私たちにとってこれだけが命綱だ。
「さあついた。ルイージ、私の手を」
「はい兄様」
地上に出た私たちは管理人に金貨の詰まった袋をやると、蹄の跡を消してからどこかへ行くよう申し付けた。気休めに過ぎないだろうが僅かでも時間が稼げれば…その僅かな時間が明暗を分けるかもしれないのだ!
「いくぞロデオ!」
「ははっ!」
馬車の通れぬ細い道を選んで北へと向かう。ロデオは持ち出せた僅かばかりの荷物と共に。そして私の前身にはルイージを乗せて。
「何処を目指しますフラヴィオ様」
「妃殿下方の居る西や南へ下手に向かえばすぐに居所が知れよう。ならば北へ行く。奴らが想像もしえぬ国へ」
「と申しますと?」
「北のサルディーニャ国へ向かう」
「サルディーニャ国!あ、あそこは山五つは超えた向こうにある大国ですぞ!」
「だからこそいいのだ。これだけの山越えをしてまで追っては来まい」
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「は、はい!」
そうして私達が国境の山に姿を消した頃…背後からは蹄の音が微かに届いたが、やがて何も聞こえなくなっていった…
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⭐︎⭐︎⭐︎
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