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魔王討伐の報せ
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朝日が差し込む窓辺で、俺は目を凝らして掲示板を見つめていた。そこには信じられない文字が踊っている。
「魔王討伐!?」
俺は驚愕の声を上げた。街の掲示板に貼られた告知を、何度も読み返す。
確かにそこには、『勇者パーティ、ついに魔王を討伐!』と大々的に書かれていた。
「まさか……こんなに早く……」
俺が追放されてからわずか1ヶ月。その間に、世界を揺るがす大事件が起きていたなんて。魔王は強大な魔物たちを統括し、人類にとって大変な脅威であったが、同時に冒険者たちの存在意義でもあった。そして今、その魔王が倒れたのだ。
街は既にお祭り騒ぎだった。人々は歓喜に沸き、至る所で祝杯が上がっている。つい数日前まで、強力な冒険者たちに縋らなければ生きていけないほど、魔物の軍勢に苦しめられていたというのに。露店には祝いの品々が並び、道行く人々の顔には笑みが浮かんでいる。しかし、俺の胸には不安が渦巻いていた。
「これからどうなるんだ……」
その答えは、すぐに明らかになった。魔王の死と共に、強力な魔物たちも姿を消していった。ダンジョンの難易度は急激に下がり、魔王の軍勢が最盛期を誇っていた頃はどのダンジョンに入ってもC級以上がほぼ確定だったのが、今ではD級に当たることすらレアになっている。
「ついこの間まで熊肉を捌いてたブッケルのおっさんがよ、一人でダンジョンに入ってたんまり魔石を取ってきたって話だぜ!」
街の酒場で、興奮した様子で話す男たちの会話が耳に入ってきた。命懸けだったはずの探索はもはやレジャーに近いものになりつつある。
「へえ、こりゃあ面白そうじゃねえか!」
「そうだな! 俺たちでもダンジョン攻略できるかもしれねえぞ!」
彼らの目は輝いていた。そんな一般人と相反する状況にあるのが、かつて上級ダンジョンを踏破し続けた冒険者たちだった。
「A級パーティがまた三割引で護衛を引き受けてくれるってよ!」
「マジか! そしたら、いよいよ次はC級に行っちゃうか~!?」
「バカいえ。お前、D級の2階層でバテて運ばれてただろうが」
そして、次に出てきた話題に、俺は耳を疑った。俺は思わず立ち止まって聞き入ってしまう。
「あのヴァルドのパーティがさ、国との契約を切られたんだと。そのくせ、下手にS級の肩書をもらっちゃったもんだから、安い仕事を引き受けられねえらしいわ」
「魔物の侵攻もなくなったしねえ。でも、まだA級とかのダンジョンに当たっちゃう可能性も、否定はされきってないんだろ?」
「知るかよ。パーティがゴタついて色々あったとか噂もあるしな」
「へえ。でも、うちは隣国が野蛮だって聞くしなぁ……そういう戦力はしっかり持っといてもらいたいもんだが……」
「バカ言え。勇者様が生きてるうちは戦争なんか仕掛けた側が滅ぼされらぁな」
ガハハハと大声で笑う。元より建設などの仕事で体を鍛えていた彼らにとって、自前で魔石を取りに行ける状況になるのは魅力的なのだろう。復興にかなりの魔石が使われているため、買おうとするとかなりの出費になるが、火も水も魔石がなければ使うことができない。
「まっ、ヴァルドの野郎はA級の頃から幅を利かせててうざったかったしな。あんなやつら無視無視。俺たちゃB級様の値下げ合戦に便乗させてもらうだけだし。浮いた金でいい武器買おうぜ」
ヴァルドか。かつて高飛車に俺を追放した彼らが、無職になりかけてるとはな。
「ざまあみろってやつだな」
心の中でそう呟きながらも、俺は複雑な気持ちだった。彼らとの思い出は、何も全てが悪いものだったわけではない。しかし、俺にはもう同情している暇もないのだ。世界は新たな局面を迎えようとしている。
誰もが気軽にダンジョンに潜れる時代。そこで必要とされるのは、強力で特殊な能力を持つ装備品だった。そう、まさに俺のクラフトスキルが真価を発揮する時が来たのだ。
「魔王討伐!?」
俺は驚愕の声を上げた。街の掲示板に貼られた告知を、何度も読み返す。
確かにそこには、『勇者パーティ、ついに魔王を討伐!』と大々的に書かれていた。
「まさか……こんなに早く……」
俺が追放されてからわずか1ヶ月。その間に、世界を揺るがす大事件が起きていたなんて。魔王は強大な魔物たちを統括し、人類にとって大変な脅威であったが、同時に冒険者たちの存在意義でもあった。そして今、その魔王が倒れたのだ。
街は既にお祭り騒ぎだった。人々は歓喜に沸き、至る所で祝杯が上がっている。つい数日前まで、強力な冒険者たちに縋らなければ生きていけないほど、魔物の軍勢に苦しめられていたというのに。露店には祝いの品々が並び、道行く人々の顔には笑みが浮かんでいる。しかし、俺の胸には不安が渦巻いていた。
「これからどうなるんだ……」
その答えは、すぐに明らかになった。魔王の死と共に、強力な魔物たちも姿を消していった。ダンジョンの難易度は急激に下がり、魔王の軍勢が最盛期を誇っていた頃はどのダンジョンに入ってもC級以上がほぼ確定だったのが、今ではD級に当たることすらレアになっている。
「ついこの間まで熊肉を捌いてたブッケルのおっさんがよ、一人でダンジョンに入ってたんまり魔石を取ってきたって話だぜ!」
街の酒場で、興奮した様子で話す男たちの会話が耳に入ってきた。命懸けだったはずの探索はもはやレジャーに近いものになりつつある。
「へえ、こりゃあ面白そうじゃねえか!」
「そうだな! 俺たちでもダンジョン攻略できるかもしれねえぞ!」
彼らの目は輝いていた。そんな一般人と相反する状況にあるのが、かつて上級ダンジョンを踏破し続けた冒険者たちだった。
「A級パーティがまた三割引で護衛を引き受けてくれるってよ!」
「マジか! そしたら、いよいよ次はC級に行っちゃうか~!?」
「バカいえ。お前、D級の2階層でバテて運ばれてただろうが」
そして、次に出てきた話題に、俺は耳を疑った。俺は思わず立ち止まって聞き入ってしまう。
「あのヴァルドのパーティがさ、国との契約を切られたんだと。そのくせ、下手にS級の肩書をもらっちゃったもんだから、安い仕事を引き受けられねえらしいわ」
「魔物の侵攻もなくなったしねえ。でも、まだA級とかのダンジョンに当たっちゃう可能性も、否定はされきってないんだろ?」
「知るかよ。パーティがゴタついて色々あったとか噂もあるしな」
「へえ。でも、うちは隣国が野蛮だって聞くしなぁ……そういう戦力はしっかり持っといてもらいたいもんだが……」
「バカ言え。勇者様が生きてるうちは戦争なんか仕掛けた側が滅ぼされらぁな」
ガハハハと大声で笑う。元より建設などの仕事で体を鍛えていた彼らにとって、自前で魔石を取りに行ける状況になるのは魅力的なのだろう。復興にかなりの魔石が使われているため、買おうとするとかなりの出費になるが、火も水も魔石がなければ使うことができない。
「まっ、ヴァルドの野郎はA級の頃から幅を利かせててうざったかったしな。あんなやつら無視無視。俺たちゃB級様の値下げ合戦に便乗させてもらうだけだし。浮いた金でいい武器買おうぜ」
ヴァルドか。かつて高飛車に俺を追放した彼らが、無職になりかけてるとはな。
「ざまあみろってやつだな」
心の中でそう呟きながらも、俺は複雑な気持ちだった。彼らとの思い出は、何も全てが悪いものだったわけではない。しかし、俺にはもう同情している暇もないのだ。世界は新たな局面を迎えようとしている。
誰もが気軽にダンジョンに潜れる時代。そこで必要とされるのは、強力で特殊な能力を持つ装備品だった。そう、まさに俺のクラフトスキルが真価を発揮する時が来たのだ。
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※小説家になろうにも掲載しています。
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