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第四章 人狼編
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俺達はギルドマスターのフリーダの案内に従って、小さな会議室へとやってきた。
ギルドマスターが一介の冒険者にしかすぎない俺たちに、何の用なのだろうか?
正直、ギルドで配られている回復薬に何かが混ぜられているという時点で、製造・輸送関係者を除けば、ギルド関係者が最も怪しいと言っても過言ではない。
加えて、発案者ともなればなおさらだ。立場的にも、自由に行動できる目の前のギルドマスターは、最も怪しい人物だ。
当の目の前の人物は、俺達が内心では怪しんでいるとは微塵も思っていないような柔らかい笑みを浮かべて口を開いた。
「あなた方は、最近この村にやってきた冒険者の皆さまですね? 少々難しい初任務を受けたと聞いて心配しておりましたが、任務を失敗したと聞きこうしてお声をかけさせていただきました。どこか、怪我などはしていないでしょうか?」
どうやら、少々厄介な新人冒険者が自身の力量を考えずに難易度の高い任務を受け、案の定任務を失敗したので、様子を探るために声をかけてきたようだ。
俺達を担当している受付嬢が迷惑そうな顔をしていたので、要注意人物として俺たちの名前が報告されていたのかもしれない。
「ふんっ、問題ない! あの任務が俺たちに合っていなかっただけだ。」
「そうだったのですね。ですが、自分に合う任務を受けるというのは、冒険者にとって大事なことですよ。もちろん一朝一夕には身につかないことですので、最初の内は周囲のアドバイスを素直に聞くことを大切にしてください。今回は人命にかかわるようなことにはなりませんでしたが、任務によっては冒険者に限らず、一般の方々にも影響が出ることもあります。ですので、ご自身の身の丈に合った依頼を受け、任務は必ず成功させることをこれからは心がけてくださいね。」
ギルドマスターのフリーダは、聞き分けのない子に言い聞かせるように穏やかに、しかし有無を言わせないような表情でそう言った。
ぐっ・・・・。この年になって、このように諭されるのは結構来るものがあるな。
まだ小さいころに、教育係の祖母上に叱られたことを思い出す。
情けなくて恥ずかしくて、落ち込みそうだ。
そんな俺の様子を察してか、ローウェルがにこやかな表情で口を開いた。そして、さりげなく腕をまくった。
横目でちらりと見ると、腕にグルグルと包帯が巻き付けてあった。
ん? ローウェルは、どこかで怪我をしていたか? 少なくとも、任務中は全員怪我はなかったはずだが・・・・。
「すみません、ギルドマスター。冒険者活動に浮かれてしまい、自分たちの力量を見誤っていたようです。次からはこのようなことがないよう、気を付けます。」
「あら、素直へお返事ね。これからの活躍に期待しているわ。・・・・・ところでその腕は、任務中にけがをしたのかしら?」
「そうなんですよ。ちょっと魔物の攻撃を受けちゃいまして・・・・。ですが、受付でもらった回復薬のおかけで今はほとんど治っています。ありがとうございました、ギルドマスターのおかげです!」
「回復薬」というワードが出た瞬間、俺達の間に一瞬緊張が走ったが、すぐにローウェルと同じように少年らしい笑みを浮かべて各々礼を言った。
ギルドマスターと話せる機会はそうそうない。ローウェルはこの機会に、少しでも情報を得ようとしている。
しかし、事前に包帯なんて用意しておくとは、こうなることを予想していたのか? あとで聞きたいところだが、今は文官のローウェルに合わせて、何か情報を引き出すことに専念しよう。
「まあ、大きなけがにつながらなくて安心しました。冒険者にとって、回復薬は必需品ですもの。いくら持っていても困りませんから、使った分は受付で補充していってくださいね。」
「ありがとうございます。回復薬を無償で提供してくれるなんて、本当に冒険者思いのギルドですね。ギルドマスターの発案なのですか?」
「ええ、そうですね。各地域で冒険者ギルドがある中で、このギルドを活動拠点に選んでくださっているのですもの。これくらいの支援はあって当然だと思っております。」
「素晴らしいお考えですね! ですが、このような支援に慣れてしまうと他のギルドでは活動できなくなってしまうかもしれませんね。他のギルドでも回復薬の無償提供を行ってくれると嬉しいんですけど・・・。このギルドは、とても潤沢な資金をお持ちなのですね。」
ローウェルがそういうと、ギルドマスターは穏やかな笑みを浮かべながらも言葉の真意を探るように少し間を置いた。ただの冒険権者がギルドの財政状況を話題に出す、まったくないことではないと思うが、俺達のような年齢の冒険者が出す話題にしては少々珍しいだろう。少し、踏み込みすぎたか?
だが、うまく資金の出所を探ることができれば、回復薬の混入物につながるかもしれない。
「他のギルドのことは私にもわかりかねますが、少々私財を投入しております。」
「私財、ですか・・・・。ギルドマスターも昔は冒険者として活動していて、その時に築いた財産を俺たちに還元してくれているのでしょうか?」
これについてはアースたちからの情報で、ギルドマスターは元冒険者ではないことはわかっている。
ローウェルはそれから一歩踏み込んで、情報を引き出すつもりらしい。
「いえ、私は元冒険者ではございません。」
「そうなのですね。・・・・では、大きな商家のご出身、もしくは貴族、ということでしょうか?」
ローウェルがそういうと、ギルドマスターは穏やかな笑みを少し深めて、俺達を順に見回した。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「ええ、そうですね。私も昔は、あなた方と同じような身分を有していたかもしれませんね。」
ギルドマスターはそこで言葉を区切ると、「そろそろ時間ですので」といい立ち上がると、「任務の選び方には今一度、気をつけてくださいね」といい、会議室をあとにした。
ギルドマスターが一介の冒険者にしかすぎない俺たちに、何の用なのだろうか?
正直、ギルドで配られている回復薬に何かが混ぜられているという時点で、製造・輸送関係者を除けば、ギルド関係者が最も怪しいと言っても過言ではない。
加えて、発案者ともなればなおさらだ。立場的にも、自由に行動できる目の前のギルドマスターは、最も怪しい人物だ。
当の目の前の人物は、俺達が内心では怪しんでいるとは微塵も思っていないような柔らかい笑みを浮かべて口を開いた。
「あなた方は、最近この村にやってきた冒険者の皆さまですね? 少々難しい初任務を受けたと聞いて心配しておりましたが、任務を失敗したと聞きこうしてお声をかけさせていただきました。どこか、怪我などはしていないでしょうか?」
どうやら、少々厄介な新人冒険者が自身の力量を考えずに難易度の高い任務を受け、案の定任務を失敗したので、様子を探るために声をかけてきたようだ。
俺達を担当している受付嬢が迷惑そうな顔をしていたので、要注意人物として俺たちの名前が報告されていたのかもしれない。
「ふんっ、問題ない! あの任務が俺たちに合っていなかっただけだ。」
「そうだったのですね。ですが、自分に合う任務を受けるというのは、冒険者にとって大事なことですよ。もちろん一朝一夕には身につかないことですので、最初の内は周囲のアドバイスを素直に聞くことを大切にしてください。今回は人命にかかわるようなことにはなりませんでしたが、任務によっては冒険者に限らず、一般の方々にも影響が出ることもあります。ですので、ご自身の身の丈に合った依頼を受け、任務は必ず成功させることをこれからは心がけてくださいね。」
ギルドマスターのフリーダは、聞き分けのない子に言い聞かせるように穏やかに、しかし有無を言わせないような表情でそう言った。
ぐっ・・・・。この年になって、このように諭されるのは結構来るものがあるな。
まだ小さいころに、教育係の祖母上に叱られたことを思い出す。
情けなくて恥ずかしくて、落ち込みそうだ。
そんな俺の様子を察してか、ローウェルがにこやかな表情で口を開いた。そして、さりげなく腕をまくった。
横目でちらりと見ると、腕にグルグルと包帯が巻き付けてあった。
ん? ローウェルは、どこかで怪我をしていたか? 少なくとも、任務中は全員怪我はなかったはずだが・・・・。
「すみません、ギルドマスター。冒険者活動に浮かれてしまい、自分たちの力量を見誤っていたようです。次からはこのようなことがないよう、気を付けます。」
「あら、素直へお返事ね。これからの活躍に期待しているわ。・・・・・ところでその腕は、任務中にけがをしたのかしら?」
「そうなんですよ。ちょっと魔物の攻撃を受けちゃいまして・・・・。ですが、受付でもらった回復薬のおかけで今はほとんど治っています。ありがとうございました、ギルドマスターのおかげです!」
「回復薬」というワードが出た瞬間、俺達の間に一瞬緊張が走ったが、すぐにローウェルと同じように少年らしい笑みを浮かべて各々礼を言った。
ギルドマスターと話せる機会はそうそうない。ローウェルはこの機会に、少しでも情報を得ようとしている。
しかし、事前に包帯なんて用意しておくとは、こうなることを予想していたのか? あとで聞きたいところだが、今は文官のローウェルに合わせて、何か情報を引き出すことに専念しよう。
「まあ、大きなけがにつながらなくて安心しました。冒険者にとって、回復薬は必需品ですもの。いくら持っていても困りませんから、使った分は受付で補充していってくださいね。」
「ありがとうございます。回復薬を無償で提供してくれるなんて、本当に冒険者思いのギルドですね。ギルドマスターの発案なのですか?」
「ええ、そうですね。各地域で冒険者ギルドがある中で、このギルドを活動拠点に選んでくださっているのですもの。これくらいの支援はあって当然だと思っております。」
「素晴らしいお考えですね! ですが、このような支援に慣れてしまうと他のギルドでは活動できなくなってしまうかもしれませんね。他のギルドでも回復薬の無償提供を行ってくれると嬉しいんですけど・・・。このギルドは、とても潤沢な資金をお持ちなのですね。」
ローウェルがそういうと、ギルドマスターは穏やかな笑みを浮かべながらも言葉の真意を探るように少し間を置いた。ただの冒険権者がギルドの財政状況を話題に出す、まったくないことではないと思うが、俺達のような年齢の冒険者が出す話題にしては少々珍しいだろう。少し、踏み込みすぎたか?
だが、うまく資金の出所を探ることができれば、回復薬の混入物につながるかもしれない。
「他のギルドのことは私にもわかりかねますが、少々私財を投入しております。」
「私財、ですか・・・・。ギルドマスターも昔は冒険者として活動していて、その時に築いた財産を俺たちに還元してくれているのでしょうか?」
これについてはアースたちからの情報で、ギルドマスターは元冒険者ではないことはわかっている。
ローウェルはそれから一歩踏み込んで、情報を引き出すつもりらしい。
「いえ、私は元冒険者ではございません。」
「そうなのですね。・・・・では、大きな商家のご出身、もしくは貴族、ということでしょうか?」
ローウェルがそういうと、ギルドマスターは穏やかな笑みを少し深めて、俺達を順に見回した。
そして、ゆっくりと口を開いた。
「ええ、そうですね。私も昔は、あなた方と同じような身分を有していたかもしれませんね。」
ギルドマスターはそこで言葉を区切ると、「そろそろ時間ですので」といい立ち上がると、「任務の選び方には今一度、気をつけてくださいね」といい、会議室をあとにした。
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