異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo

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第四章 人狼編

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俺達は依頼を受けて、フォレストタイラントバイソンが現れるという森の奥深くまでやってきた。
A級の魔物ということもあり、結構な距離となった。


「素材採集といっても、ターゲットに会うまでに移動や戦闘があるから、全然楽じゃないッスね。」

「それ込みの依頼なんだろ。報酬には、危険手当も含まれていた。」

「まあ、それはそうッスけどね。冒険者の皆さんは、すごく苦労しているんだなと思ったッスんよ。」


実際、冒険者の活動によって国が魔物の脅威から守られている。
騎士団や魔導士団も魔物と戦うことがあるが、それは有事の際がほとんどだ。日常的に、魔物を討伐しているわけではない。
彼らの活動に国は助けられているのだ。


「そりゃー大変だろ。依頼によっては、命がいくつあっても足りないからな。だけど、それにもかかわらず、「冒険者風情が」と、考えている貴族連中も一定数いるのも事実だ。」

「ローウェルの言うとおり、この国に関わらず冒険者を下に見ている貴族は一定数いる。そういうやつらをおさえて、冒険者を援助するには骨が折れる。だからこそ、間接的に冒険者を支援できるポーション配布は、いいアイディアだと思ってたんだけどな……。」

「……だたより怖いものはないってことですかね。」

俺のつぶやきに対して、ローウェルは肩をすくめてそういった。
ローウェルの言うことはもっともだが……、見返りも求めず人を助けようとするやつも……ちゃんといるんだ、この世界には。


そうして、途中で現れる魔物を排除しながら進んでいくと、感知をしていたジールが何かを発見した。
ジールによると、どうやらA級以上の反応があるとのことだ。



「まー十中八九、フォレストタイラントバイソンだろうな。それでどうします、主。任務は失敗するとして、討伐だけはしますか?」

「当たり前だ。A級の魔物を放っておくわけにはいかない。バイソンでなくても、だ。俺たちが見過ごすことで、被害にあう人もいるかもしれないからな。」

「承知しました。……俺は、主にお仕えできて本当によかったですよ。」

「な、なんだよ、こんな時に。何か、狙いでもあるのか??」

「別に他意はないですよ。純粋にそう思っただけです。……戦闘は、俺とキースがメインで行います。ジールには、帰りも感知をしてもらわないといけないですからね。それでよろしいですか、主?」

「ああ、それは異論はないが……さっきのはどういう意味だよ。」

「ですから、他意はありませんって。勘違い傲慢貴族であれば、「自分には関係ない」と捨て置くでしょうからね。あの「ナレハテ」よりは各が落ちますが、相手はA級で十分な強敵になるでしょう。そのような相手を迷わずに討伐しようとする主が最高だ、という話ですよ。」



ローウェルはそういうと、いつもの軽そうな笑みを浮かべながらウインクをした。
要は、「勘違い貴族」役をしている俺を少しからかいつつ、ローウェルが言ったように本心を言ってくれたらしい。

素直に物を言えないのか……まったく。……主従揃って、というやつか。




そうして俺たちは、特に苦労なくフォレストタイラントバイソンを討伐した。
素材採集の対象となるだけあって、フォレストタイラントバイソンの角は、漆黒の光沢が美しいものだった。何に使うかはわからないが、例えば工芸品として加工すればそれなりの値がつくだろう。

ということで冒険者ギルドに帰ってきたわけだが、俺達は任務の未達成を報告した。フォレストタイラントバイソンを見つけることができなかったことにしたのだ。



「依頼を持ってきた彼には事前にお伝えしたはずですが、冒険者になりたての皆さまが受けるには少し荷が勝ちすぎていた依頼だったようですね。依頼の未達成には、ペナルティーがありますがよろしいですね?」

「ふんっ! 私に依頼が合わなかっただけだ。私の実力はこんなものではない!」

「それでは、依頼の未達処理を行ってきますので、おかけになってお待ちください。」



受付嬢は営業スマイルでそういうと、奥の方へと下がっていった。
……気のせいかとは思うが、なんとなく流されているような気がする。いや、きっと気のせいではない。面倒な子供とでも思われているのだろう。

口から出そうになるため息を何とか抑え込み、空いているテーブルへと向かおうとすると、「少しお待ちになって」と声をかけられた。



「俺様に何か用か?」

「そう警戒なさらないでください。私はギルドマスターのフリーダと申します。会話が耳に入ってしまったので、少しだけお話をと思いまして。」


ギルドマスターのフリーダはそういうと、冒険者たちが集まっている場所には似つかわしくないほど穏やかに微笑んだ。
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