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9・公爵家の愛娘、再び命を狙われる
作戦通り・2
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「これは……」
獣から教えてもらわなくても、最初からそれを飲み干すつもりなどなかったのだが……。
ここまで騒がれてしまえば、兄と母も異変に気づいたのだろう。
「ロルティ。待って」
「おにいしゃま? どうしたの……?」
「やっぱりこの時間にティータイムなんて、おかしいよ」
「でも、せっかく用意してもらったのに……」
「そうね。安全が確認できるまでは、手をつけてはいけないわ」
「おかあしゃまも……?」
3人仲良く川の字になって昼寝をするような状況ではないと認識したからか。
ルティアーナは子ども達を守るように寝台から降りると、ティートローリーを睨みつける。
しかし、彼女だって長年神殿に身柄を拘束されていた身だ。
ジュロドは義母には任せておけないと言うように、彼女の隣に並び立つ。
そして、ロルティの無邪気な疑問に答えた。
「どうやって、確かめるの?」
「メイドに、毒味をさせるんだ」
「え……?」
兄は満面の笑みを貼りつけ、ティートローリーを運んできた使用人を見上げた。
まさか彼からそんなことを言われるなど思いもしなかったメイドは、ぽかんと口を開けて絶句している。
「君が持ってきたんだ。当然、問題がないことを証明できるよね?」
「そ、それ、は……」
「何? 安全が証明出来ないものを、ロルティの口に入れさせようとしているの?」
「ち、ちが……っ」
「狼狽えるあたり、怪しいなぁ……」
ロルティがじっと黙っている間に、ジュロドはどんどんとメイドを追い詰めていく。
(メイドしゃんには、人質がいるのに……。こんなに追い込んで、大丈夫なのかな?)
幼子は何が起きてもいいようにドレスの裾を握り締め、警戒し続ける。
「話し合いじゃ解決しそうにないから、調べてもらおう」
「お、お坊ちゃま……。一体、それは……」
「僕の大事な妹が危険に晒されているのは、間違いないんだ。普通の美味しいティーセットなら、それに越したことはない。君だって、疑いを晴らしたいだろ?」
「も、もちろんです! しかし! 少々大袈裟では……?」
「調べられると何か、困るようなことでもあるのかしら?」
「い、いえ……」
10歳の子どもとルティアーナがタッグを組み、顔面蒼白のメイドを追い込んでいく。
ロルティは突如として普段は優しい家族の豹変を横目にしながら、自分がどんな発言をするべきか考える。
(このまますべてをおにいしゃまとおかあしゃまに任せて、本当にいいの……?)
ロルティがメイドと謎の男の会話を盗み聞きしたことは、護衛騎士だけが知っている。
彼は今、父親とともにいるはずだ。
(失敗したらこのメイドしゃんは男の人に命を狙われて、妹しゃんも殺されちゃう……!)
その前にカイブルが気を利かせて、人質の保護ができていればいい。
しかし、大人達がどの程度男の企みを阻止できているかがわからない状況でメイドを追い込むのは、全員の身を危険に晒すだけだ。
「おにいしゃま、おかあしゃま……!」
ロルティが兄と母の腕を掴み、メイドの糾弾を辞めるように頼み込もうとした時のことだった。
――ガシャンと勢いよく後方の窓ガラスが割れ、外から黒い物体が飛び込んできたのは。
「きゃあ!」
「わふ!」
「ロルティ……!」
「これは……っ」
壁際に控えていたメイド達の悲鳴、侵入者の来訪を告げる犬の雄叫び。
そして愛する妹の危機を悟った兄がロルティの名を呼び、驚く母の声が一斉に聞こえる。
(何が起きたの?)
ジュロドにベッドの上へ押し倒された幼子は、彼の肩越しに目線だけを動かして状況把握を試みる。
すると――。
「カイブル!」
「こちらは問題ありません!」
騒ぎを聞きつけやってきたのだろう。
いつの間にか姿を見せたカイブルは黒いローブを纏った男と剣を交え、交戦中のようだ。
彼の背には床の上に腰が抜けてへたり込むメイドの姿があり、護衛騎士は彼女を守っているらしい。
「ロルティ、ルティアーナさん。怪我は、ない……?」
「わたしは、大丈夫。おにいしゃまとおかあしゃまは……?」
「私も平気よ。でも、ジュロドくんが……」
ロルティの問いかけに、兄は応えなかった。
ガラス片が上空から山のように降り注いだせいで、背中が大変なことになっているのかもしれない。
「怪我、してるなら……」
「こんなの、かすり傷さ」
「でも……!」
「心配しないで。父さんとカイブルがいるから、問題ないとは思うけど……」
ジュロドはけして、ロルティに背後を見せなかった。
妹を心配させたくなかったのだろう。
兄は幼子の上から退くと、目の前に姿を見せた父を見上げた。
獣から教えてもらわなくても、最初からそれを飲み干すつもりなどなかったのだが……。
ここまで騒がれてしまえば、兄と母も異変に気づいたのだろう。
「ロルティ。待って」
「おにいしゃま? どうしたの……?」
「やっぱりこの時間にティータイムなんて、おかしいよ」
「でも、せっかく用意してもらったのに……」
「そうね。安全が確認できるまでは、手をつけてはいけないわ」
「おかあしゃまも……?」
3人仲良く川の字になって昼寝をするような状況ではないと認識したからか。
ルティアーナは子ども達を守るように寝台から降りると、ティートローリーを睨みつける。
しかし、彼女だって長年神殿に身柄を拘束されていた身だ。
ジュロドは義母には任せておけないと言うように、彼女の隣に並び立つ。
そして、ロルティの無邪気な疑問に答えた。
「どうやって、確かめるの?」
「メイドに、毒味をさせるんだ」
「え……?」
兄は満面の笑みを貼りつけ、ティートローリーを運んできた使用人を見上げた。
まさか彼からそんなことを言われるなど思いもしなかったメイドは、ぽかんと口を開けて絶句している。
「君が持ってきたんだ。当然、問題がないことを証明できるよね?」
「そ、それ、は……」
「何? 安全が証明出来ないものを、ロルティの口に入れさせようとしているの?」
「ち、ちが……っ」
「狼狽えるあたり、怪しいなぁ……」
ロルティがじっと黙っている間に、ジュロドはどんどんとメイドを追い詰めていく。
(メイドしゃんには、人質がいるのに……。こんなに追い込んで、大丈夫なのかな?)
幼子は何が起きてもいいようにドレスの裾を握り締め、警戒し続ける。
「話し合いじゃ解決しそうにないから、調べてもらおう」
「お、お坊ちゃま……。一体、それは……」
「僕の大事な妹が危険に晒されているのは、間違いないんだ。普通の美味しいティーセットなら、それに越したことはない。君だって、疑いを晴らしたいだろ?」
「も、もちろんです! しかし! 少々大袈裟では……?」
「調べられると何か、困るようなことでもあるのかしら?」
「い、いえ……」
10歳の子どもとルティアーナがタッグを組み、顔面蒼白のメイドを追い込んでいく。
ロルティは突如として普段は優しい家族の豹変を横目にしながら、自分がどんな発言をするべきか考える。
(このまますべてをおにいしゃまとおかあしゃまに任せて、本当にいいの……?)
ロルティがメイドと謎の男の会話を盗み聞きしたことは、護衛騎士だけが知っている。
彼は今、父親とともにいるはずだ。
(失敗したらこのメイドしゃんは男の人に命を狙われて、妹しゃんも殺されちゃう……!)
その前にカイブルが気を利かせて、人質の保護ができていればいい。
しかし、大人達がどの程度男の企みを阻止できているかがわからない状況でメイドを追い込むのは、全員の身を危険に晒すだけだ。
「おにいしゃま、おかあしゃま……!」
ロルティが兄と母の腕を掴み、メイドの糾弾を辞めるように頼み込もうとした時のことだった。
――ガシャンと勢いよく後方の窓ガラスが割れ、外から黒い物体が飛び込んできたのは。
「きゃあ!」
「わふ!」
「ロルティ……!」
「これは……っ」
壁際に控えていたメイド達の悲鳴、侵入者の来訪を告げる犬の雄叫び。
そして愛する妹の危機を悟った兄がロルティの名を呼び、驚く母の声が一斉に聞こえる。
(何が起きたの?)
ジュロドにベッドの上へ押し倒された幼子は、彼の肩越しに目線だけを動かして状況把握を試みる。
すると――。
「カイブル!」
「こちらは問題ありません!」
騒ぎを聞きつけやってきたのだろう。
いつの間にか姿を見せたカイブルは黒いローブを纏った男と剣を交え、交戦中のようだ。
彼の背には床の上に腰が抜けてへたり込むメイドの姿があり、護衛騎士は彼女を守っているらしい。
「ロルティ、ルティアーナさん。怪我は、ない……?」
「わたしは、大丈夫。おにいしゃまとおかあしゃまは……?」
「私も平気よ。でも、ジュロドくんが……」
ロルティの問いかけに、兄は応えなかった。
ガラス片が上空から山のように降り注いだせいで、背中が大変なことになっているのかもしれない。
「怪我、してるなら……」
「こんなの、かすり傷さ」
「でも……!」
「心配しないで。父さんとカイブルがいるから、問題ないとは思うけど……」
ジュロドはけして、ロルティに背後を見せなかった。
妹を心配させたくなかったのだろう。
兄は幼子の上から退くと、目の前に姿を見せた父を見上げた。
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