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前編
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獣人の国 スピノザ
私、エンリケは王弟として生をうけた。
父と母は番であるため、私と兄はもちろん同母兄弟である。
兄とは5歳年が離れており、一応兄のスペアとして教育を受けてきた。
そこそこ優秀ではあるが、兄と争ってまで国が欲しいとも思わない。
臣籍降下後に所領となる土地にも何度も顔を出して領民たちとも良好な関係を築いていった。
獣人国 スピノザではあるが、残念なことに獣人としての本能が少しずつ薄れているようで 年々番を見つけることが難しくなっている。兄もそのまま婚約者と婚姻した。
兄夫婦に待望の男児が誕生し、私は臣籍に下った。
スノウ公爵家 エンリケ=スノウ となった。
公爵領は小さいが豊かな土地で領民たちともそのまま良好な関係を続けている。
婚約者であったルーナと結婚し、二人で力を合わせて領地を発展させていった。
毎日が忙しく、幸せで
優しく微笑むルーナが可愛らしく
領地は少しずつ、でも 確かに
暮らしが豊かになっていき
このまま この 幸せが
続いていくと 思っていた。
そんな ある日
胸が張り裂けそうな
身体が自分のものではないように熱く
そして 切なく
何故か 哀しい
本能の 嘆きを 感じた
これは まさか
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
主に人間の住む隣国 メルツ
ティナは命の危険に瀕していた。
貴族にはよくある政略結婚の父母を持ち
それでも母からの愛を受けて育ってきた。
その母も3歳になった途端、執事見習いだった男と駆け落ちをしてしまった。
同じく浮気していた父は、ティナが5歳を迎える頃には没落貴族の令嬢で愛人であるイボンヌを侯爵家に迎え入れた。
父の前では取り繕っていたイボンヌも
ティナには敵意を向けてきた。
まずは環境
部屋を奪われ
持ち物を奪われ
存在そのものを疎まれた。
そして食
毎日の食事を減らされ
時には罰として 食事を抜かれることさえあった。
さらには体罰
できていないこと
気に入らないこと
……気分で
謝っても許されない
体罰という名の暴力が振るわれていた。
ティナは日に日に生きる力を失っていき
ついには生死の境を彷徨った。
その、命の危険にあわせて
最期の悲鳴ともいうべき
悲痛な叫びが 遠くまで響き渡った………
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
生死の境を彷徨う魂のその叫びを受け
エンリケは
初めての経験であるにも拘わらず
番の命の危険を知った。
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
悩んだエンリケではあったが
妻ルーナと相談し、急いで番の情報を集めた。
そしてまさに失われようとしていた番の命を助けることができたのだった。
スノウ公爵家に連れてこられたボロボロの番
ティナのその姿にエンリケは涙した。
ギリギリではあったが、間に合ったのだ。
番の命を救うことができて…
本当に良かった。
番のキミが幸せになりさえすれば
それで
いい。
私は彼女の姿を確認して
そっと
目を閉じた。
私、エンリケは王弟として生をうけた。
父と母は番であるため、私と兄はもちろん同母兄弟である。
兄とは5歳年が離れており、一応兄のスペアとして教育を受けてきた。
そこそこ優秀ではあるが、兄と争ってまで国が欲しいとも思わない。
臣籍降下後に所領となる土地にも何度も顔を出して領民たちとも良好な関係を築いていった。
獣人国 スピノザではあるが、残念なことに獣人としての本能が少しずつ薄れているようで 年々番を見つけることが難しくなっている。兄もそのまま婚約者と婚姻した。
兄夫婦に待望の男児が誕生し、私は臣籍に下った。
スノウ公爵家 エンリケ=スノウ となった。
公爵領は小さいが豊かな土地で領民たちともそのまま良好な関係を続けている。
婚約者であったルーナと結婚し、二人で力を合わせて領地を発展させていった。
毎日が忙しく、幸せで
優しく微笑むルーナが可愛らしく
領地は少しずつ、でも 確かに
暮らしが豊かになっていき
このまま この 幸せが
続いていくと 思っていた。
そんな ある日
胸が張り裂けそうな
身体が自分のものではないように熱く
そして 切なく
何故か 哀しい
本能の 嘆きを 感じた
これは まさか
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
主に人間の住む隣国 メルツ
ティナは命の危険に瀕していた。
貴族にはよくある政略結婚の父母を持ち
それでも母からの愛を受けて育ってきた。
その母も3歳になった途端、執事見習いだった男と駆け落ちをしてしまった。
同じく浮気していた父は、ティナが5歳を迎える頃には没落貴族の令嬢で愛人であるイボンヌを侯爵家に迎え入れた。
父の前では取り繕っていたイボンヌも
ティナには敵意を向けてきた。
まずは環境
部屋を奪われ
持ち物を奪われ
存在そのものを疎まれた。
そして食
毎日の食事を減らされ
時には罰として 食事を抜かれることさえあった。
さらには体罰
できていないこと
気に入らないこと
……気分で
謝っても許されない
体罰という名の暴力が振るわれていた。
ティナは日に日に生きる力を失っていき
ついには生死の境を彷徨った。
その、命の危険にあわせて
最期の悲鳴ともいうべき
悲痛な叫びが 遠くまで響き渡った………
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
生死の境を彷徨う魂のその叫びを受け
エンリケは
初めての経験であるにも拘わらず
番の命の危険を知った。
❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁❁
悩んだエンリケではあったが
妻ルーナと相談し、急いで番の情報を集めた。
そしてまさに失われようとしていた番の命を助けることができたのだった。
スノウ公爵家に連れてこられたボロボロの番
ティナのその姿にエンリケは涙した。
ギリギリではあったが、間に合ったのだ。
番の命を救うことができて…
本当に良かった。
番のキミが幸せになりさえすれば
それで
いい。
私は彼女の姿を確認して
そっと
目を閉じた。
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