疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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シスター見習い

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「朝は、朝は何時に皆起きるのですか?」

「灯りはお金がかかります。
日の出に起きて日の入りに寝るのが習慣です。では。」

「分かりました。ありがとう。」

シスタージャスミンから返事はなく、
背筋に物差しを入れいてるようなまっすぐな背中で もう歩いている。


リリアは笑ってしまった。

見るからに生真面目そうな人。あのひとが管理者でよかった。
私に対して媚を売り金銭を要求するような人だったらどうしようかと考えていたけど、大丈夫そうだわ。


梱包された箱は一度も開けられた形跡がない。

実際梱包を解くと荷物は全て揃っていた。

梱包を開けることを想定していたのか、
シスタージャスミンは自分が持っていたランプをリリアの部屋に残しておいてくれていた。

明日から着る服や靴を用意することができる。部屋を片付けてリリアは眠りについた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝起きると、すぐシスタージャスミンを探した。

探している間に修道院をぐるっと見て回る。


修道院に身を置いているのは子供たちのみ。
12歳ごろまでの子供たちが列をなして顔を洗いに来ている。
リリアは16歳なので子供たちが見ると大騒ぎになるので見つからないように、様子を見たらすぐ場所を変えた。


そうこうしていると、シスタージャスミンを見つけることができた。

「シスタージャスミン。おはようございます。昨日はありがとうございました。」


シスタージャスミンはリリアの声を聞いて振り返ると、リリアの姿を見て驚いている。


昨日は悪趣味な身なりのオンパレードだったが、
本日は化粧もせずシンプルな身なりだ。動きやすいブーツを履いている。

昨日大きく派手なリボンをつけていた巻き髪は今はスッキリ一つにまとめられている。
綺麗な天然のウェーブになっている栗色の髪は腰まである。

16歳のあどけなさと、これから大人の女性になる中間の貴重な美しさを持っている。

ぽっちゃりとしているが顔のパーツは一つひとつ整って落ち着いている。
あれが昨日の一緒のリリア嬢か。

シスタージャスミンは一瞬表情を変えたが、また昨日通りの眉間に皺がある状態に戻った。

「おはようございます。リリア。でよろしいのね。」

「はい。シスタージャスミン。昨日はあのような失態ばかりでしたので、本日正式にお話がしたいです。
お忙しいと思いますが、お時間いただけますか?」

「…。良いでしょう。正午にこの修道院の一番奥にある私の事務部屋に来て下さい。
ここでのルールなど説明出来るものを連れてきます。カズ。こちらへ来なさい。」



少し離れたところで子供たちの面倒を見ていた、12歳最年長のカズという男の子が来てくれた。

「カズがこの敷地を案内します。私は用事があるのでこれで。では。」と言ってすぐまた歩き始めている。

「はい。後ほどよろしくお願いします。」



カズはリリアを好奇心いっぱいに見ている。

「君、今日から来たの?僕より年上だね。シスター見習いなの?」

リリアは女性にしては身長が高いがカズもそこまで変わらない。
しっかりした大人びた顔つきだが笑うと少年のように人懐こい顔だ。
声変わりが最近あったような低いけどまだ幼さが残る声だった。

皐月時代こんな生徒がクラスにいるとクラスのモテる男子1位2位争いになる爽やかな少年だ。

「そうね。そう。シスター見習いなの。まだ合格はしていないんだけど。
だから今、名前をちゃんと名乗れないの。ごめんなさいね。」

「いいよ。じゃあ、見習いさん、僕がこの敷地を案内するね。」

修道院を歩いて回る。どこも補修が行き届いていないのだろう。
壁に亀裂が入っていたり金属が錆びているところもあった。
しかし、そんな敷地の中なのに庭だけは手入れが行き届いていた。



「綺麗な庭…。」

「見習いさんは植物は好きなの?僕はあんまり分からないんだけど。

ああ、あそこにいるのがこの修道院を手入れしている爺さんだよ。おーいダンじいさーん!」

「何だ。朝っぱらから。」

「今案内しているんだよ。庭が綺麗だねって。シスターの見習いさん。」

「素敵なお庭ですね。こちらに見習いを希望しているものです。よろしくお願いします。」

「ふん。あんたみたいなお嬢ちゃんこんなところやめときな。じゃあな。」

「おい、ダン爺さん、廊下がまた割れてるんだよ。
小さい子がつまづいて危ないんだよ。直してくれよ。」


「直せるならもうやってるよ!材料費が出ないんだとよ!

この庭は俺の身銭で維持してんだよ。うるせえな。」

「何だよ。ごめんね見習いさん。ここはシスターもダン爺さんも愛想ない人ばかりだ。」

「いいえ。本音で話してくれる人ほど助かるわ。ありがとう。」

「見習いさん、女の子なのになんか変だね。まあいっか。結構可愛いし。」


「フフフフ。ありがとう。あら、外門が開く時間なのかしら?」


大きな門が開けられている。外からも子供たちが修道院に入ってくる。

外からくる子供たちの中にはカズより大きい子供もちらほら見られた。

「ここに来れば多少の昼食が配布されるからね。
希望すればシスターから勉強も教えてもらえる。
でも、シスターが少なくてなかなかそれも難しいみたい。

それに外にいたら危ない連中が多いから昼の間だけでもこの敷地にいる方がいいんだ。
勉強よりも身の安全優先だね。」

「カズはここを出たらどうするの?」


「僕はね、魔力が全くないから親から捨てられたんだ。

出来ることが少ないから子供のお世話をして住まわしてもらってる。

でも男だからもうこれ以上ここに住めないでしょ。

そしたらシスターが魔力がなくても住み込みで働かせてくれるお屋敷を探してくれたんだ。
13歳になったらそこに行くんだ。」

「え?13歳でもう働くの?」

「本当は勉強もしたいけど。最低限はシスターが教えてくれた。
だからお屋敷の人も受け入れてくれたんだって。僕はまだ運がいい。
他の子たちは変な連中の下働きばかりだ。魔力さえあればな。」

「そうなの…。」
子供たちが勉強の機会を奪われるなんて。


「シスターには感謝しているんだ。見習いさんも先生と一緒に働けたらいいね。」

「そうね。」お互い慰めるように笑っていた。






「おい!カズ!誰だよその女!」

目の前に昨日私を助けてデブと言い続けていたロイという青年が立っていた。




「ん?お前…。ちょっと待て昨日のデブ女か?」
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