疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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シスター見習い 2

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「今は事情があって名乗れません。ここの修道院の見習い希望の者です。
昨日はありがとうございました。」

「ロイ、デブ女はひどいよ。それに見習いさんは可愛いと思うよ。」

「カズ、お前は引っ込んでろ。俺はこの女に話があるんだよ。ちょっと顔かせよ!」

「ロイ、ダメだよ。見習いさんに何の話があるんだよ!」

「カズ。ありがとう。ロイさんは昨日私を助けてくれたの。
そのお礼も言えていないの。ここで大丈夫。
案内すごく分かりやすかった。どうもありがとう。」


「うーん。そうかい。じゃあ、分かった。
気をつけてね見習いさん。合格するといいね。じゃあね。」

カズは自分の持ち場に戻った。









「ロイさん。でしたね。昨日はありがとうございました。」

「お前、昨日の姿と全然違うじゃないか。何が目的だ?」

門に子供たちがほぼ入りきり、ほとんど人がいない場所に二人いた。





そこに外から子供が泣く声がした。



「もう嫌だー!もう無理だよ。ダメなんだよ。体が動かないよー!」



リリアは門の外を見に行く。

「おい!俺の話の途中だぞ!」リリアは聞いていない。

ロイも門の外のリリアを見に行く。



小さな男の子が目つきの悪い男たちに取り囲まれている。



「おい!ギャーギャーうるせーぞ。
お前はな親に売られたんだよ。早く働けよ。」

「もう疲れたんだよ。お願いします。休ませてください。」

小学3から4年生くらいの男の子が男たちに許しを請うている。

「ちょっと、この子はまだ子どものようですけど、働かせているのですか!?」

リリアは男たちの前に出てきた。

「あ?何だよこの女。おい、ロイの女か?」

「ちげーよ。こんなデブ女趣味じゃない。」

「ふーん。このガキはな親に売られたんだよ。
魔力もないし雑用しかできねえけどな。ほら魔契約の印がガキの首にあるだろ。」


少年の首に確かに自分にも付いていた文字が浮かんでいる。



「契約書はあなたが持っているの?」

「ああ、ここにあるぜ。ガタガタうるさいやつに説明するために持っているんだよ。」

「いくら?いくらで解約できるの?」

「おい!デブ女やめとけ!こんなのこの地区じゃザラにある話だ。
情けで金払ってたら漬け込まれるし、いくらお前でも破産する!やめておけ!」


「幾らかぐらい聞いてもいいでしょ。
ねえ。いくらなの?いくらでその子を買ったの?」

「あ?おねーちゃんが払ってくれるのか?けけけけ!体で払ってくれてもいいんだぜー?」

男たちが笑っている。




そこにヒョロヒョロのスーツの男が来た。

「あいつ、屋敷の執事じゃねーか。」ロイがぼそっと言った。


「ちょっと、お嬢さんー。
先ほどからあなたの髪の毛を見ていました。

私の主人の坊っちゃまがちょうどあなたのような髪の毛が必要とご乱心なのですー。
あなたのような美しい髪の毛はなかなか見つからないのですー。
言い値で結構ですー。あなたの髪を譲ってください。」


「あら、渡りに船ですね。
聞きました?言い値で良いんですって。
この子はいくらで売られたのですか?魔契約書に書いているでしょ?」


「へっ!金があればなんでもいいぜ。
こんなガキほっといてももう時期くたばりそうだしな。
ああ、このガキは2000万ジェニーだ。」

「では、2000万ジェニーの小切手ですー。お納めくださいー。」

「ああ、分かったよ。ガキ、お前強運だな。ちょっと手かせ。」

少年の指をナイフで少し切り血判状に押す。
目つきの悪い男も同じように魔契約書に血判を押した。魔契約書はそのまま解約となった。

少年の首の文字も消えた。



「良かった。では次は私ですね。ちょっとナイフを失礼します。」リリアは自分の頭部にナイフを持っていく。


「おい!お前マジでか?」
とロイが止めようとした時には既に自分の髪の毛を削ぎ落としていた。



「こんなものでよろしいでしょうか?」とヒョロヒョロの男に髪の毛を差し出す。


「はいー。こちらも助かりましたー。また髪の毛が伸びたらお願いしますー。では失礼しますー。」
と髪の毛を持って足取り軽く去っていった。





「へっ!じゃあ、俺らもずらかるぜ。
もうこのガキに用はねえ。じゃあなお嬢ちゃん。」



「さようなら。皆さん。ごきげんよう。」とリリアも一応挨拶する。


ロイと少年とリリアだけが門の外に置かれている。




「あら、ロイさん。お話の途中でしたね。

でもこの子の休める場所に移動したいので修道院の中に戻っていいですか?」

「…。何だよ!お前!もういいよ!俺がこいつを中に連れて行ってやるよ!」

「まあ!ありがとうございます。
ロイさんはお若いのに本当に親切なのね。嬉しいです。」

「あーー!もう!何だよデブ女!意味わかんねーーー!」

ロイは絶叫していた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



その日の正午シスタージャスミンの事務室に向かった。




「リリア・アルバさん、

あなた今朝会った時は美しい長い髪の毛だったはずですね。
なぜ、今のあなたはそのような髪型になったのでしょう?」


シスタージャスミンの眉間のしわがさらに深く刻まれている。
元々不機嫌そうな顔だったが今は目の奥に何やら怒りのような熱いものを感じる。

これは怒っているのでしょう。


「今朝、諸事情があり、私の髪の毛が人のお役に立つことが判明しました。

後悔はありません。
しかし、この修道院周辺で騒ぎは起こしてしまいました。この点に重々反省意しております。
申し訳ありませんでした。」
リリアは真剣な顔つきで深々と頭を下げ謝罪している。



「…そのような削ぎ落とした髪の毛でこの敷地内を移動されは困ります。
子供たちがあなたを見て色々と不安がります。そこに座りなさい。」


「え。この椅子ですか。はあ、分かりました。」
一体どんなお仕置きがあるのでしょう。流石のリリアも冷や汗をかく。

言われた通り椅子に座るとシスタージャスミンが後ろからリリアにふわりと布をかぶせてハサミを持ち出した。


「年頃の娘にとって美しい髪の毛は一つの財産でしょう。
あなたって人は。この髪の毛を短くはしないですが、毛先を整えて落ち着かせますよ。」
シスタージャスミンが小まめに毛先を手に取り、リズムよくハサミで毛を切っていく。

静寂の中にハサミと音だけが聞こえる。



壁にはジャスミンとマーガレットの花が刺繍された小さな飾りだけがかけてあった。
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