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王都にて
しおりを挟む今、俺は王都にいる。
ジルのおっさんは、すぐ国家職員の官舎に連れて行った。
リリアの言っていたセリ先生とリタさんと言う人には会わなかった。
バスク地区に帰るときに挨拶しようと思う。
まずはジルのおっさんと子供の再会が大切だろうしな。
明日は、母を処刑した憎き父親である国王との謁見予定だ。
もう少し時間がかかると思っていたが、意外に許可が降りるのが早かった。
付け焼き刃に水だろうが、マナーもラジオに教えてもらった。
服も公的な場に出る為に用意した。
今までこのような場には縁がなかったから知らないことばかりだった。
今後はマナーや振る舞いをラジオに特訓してもらう約束を取り付けた。
ラジオも名の知れた貴族の長男とあってそこは叩き込まれているので心強い。
先日、店から出るリリアのエスコート一つ出来なかったのも悔やまれる。
「何をしていたんだ俺は。」
ここ最近、いかに自分がちっぽけか思い知らされることばかりだ。
今までそこに目を向けなかったのも事実だ。だから今日、この地にいるのは精算するためだ。
謁見の前に絶対寄るべき場所に着いた。
ここは、処刑を待つ人間の留置場だったところだ。
俺の母さんがいたところ。
そして俺が粉々に破壊しようとしたところ。
粉々にする前に魔力封じにあったが、それでも損害は大きかった。
今はひっそりと小さな像が建っている。母さんが好きだった花のモチーフだ。
買ってきた花をそこに添える。
(母さん、守ってやれなくてごめん。俺がいたから母さんを苦しめた。
ずっと母さんに守ってもらってたこと覚えている。俺、馬鹿だけど守りたいものができた。
仲間もできた。
気になる女の子も出来たんだよ。その子はすごく強いんだ。
その子を支えて守るためなら何だってする。母さんを苦しめた王にだって頭を下げるよ。
だから母さん見守っていてくれよな。)
手を合わせ、空にいる母へ願った。
国王の謁見の為に用意した服に手を通す。
一応王族の血が流れているので王族用の衣装があるが、今日そんなもの着たら何を思われるか分からないし、
王族に興味はない。
ラジオに借りた中級貴族が着る衣装を着る。
今日、本来の目的は自分の魔力を封じているものを解除してもらう。それだけだ。
服を着て髪を整える。
「少しはマシな格好になったかな?」
鏡で自分の姿を見て笑ってしまう。
レディダークに会いに行った時のリリアが今日の俺のお手本だ。
優雅に、下手に出ず、余裕を見せるんだ。
リリア、これが終わったら一緒に魔法の訓練をしような。
心の中でリリアに話しかけた。少し気持ちが落ち着いた。さあ、行こう。
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