疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン

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裁判 5

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ダンが前へ出される。


ダンは両手を拘束されている。

しかも、前に出たダンとリリアが結託して逃走を図らないよう
リリアは教会側が作った結界の中に入れられる。


「えーでは、原告から再度起訴状に沿って訴えをどうぞ。」

裁判長兼悪人顔の司教が丁寧にケントとゲイブに訴えを促す。



「私、ケント・アルバは長年アルバ家に誠心誠意支えて来てくれたメイドのデリスをこの老人、

そしてその老人を唆した妹リリア・アルバが許せない。

特に、リリア・アルバは自分では手を下さず、無関係の老人におぞましい事を強要した。

これが自身の妹だと思うと身の毛もよだつほどだ。

このような自己中心的で反社会的な人物は、我が領地で幽閉し世間の迷惑にならないよう対処するべきだと考える。

それが我家系から汚れた人物を輩出してしまった責任とも言えよう。」


ケントは結界に囲まれたリリアを睨みつけながら雄弁と話す。


後ろでゲイブが頷いている。

「ああ、デリス…。
ケント様があなたの仇を今取ろうとしてくださっています。
どうか、ケント様に精霊のご加護を…。」

とわざとらしく涙を拭うように祈りを捧げるパフォーマンス付きだ。

それをダンは「ウゲー…。」と言いながら見ていた。

「では、被告の共犯者リリア・アルバ。何か答弁はあるか?」


ケントの時とは打って変わってやる気のない声で悪人顔の司教は答弁を促す。


「…。確かに、私は被告ダンさんにデリスの殺害を指示しました。
ダンさんにデリスを殺す動機がありませんもの。」

「何!?共犯と認めるのかリリア!?」
ケントが早々と認めたリリアに驚く。


「そもそも共犯という言葉が間違っております。
あのデリスの姿を関係者の方々はご覧になりましたか?

ねえ、お兄様、デリスはどのような格好で最期を迎えたのかあなたは確認し弔ったのですか?

そう、長年アルバ家に支えてくれたあなたの指示に従ってくれる可愛いデリスの最期を。」


「うっ…。」


突然ケントの頭の中で途端に土の中に埋まっていた黒い塊になってしまったデリスの遺体の映像が
フラッシュバックのように生々しく再生される。


「裁判長様も、ご覧になったのでしょう?

魔力に取り込まれた悲惨な最期を迎える時、後悔と怒りに任せて無関係の人を巻き込んで消滅することが何と多いことか…。デリスも例外ではなかった。あれは正当防衛です。」


「何だと!正当防衛だと!馬鹿を抜かすな!…。う、ご、ごほんっ。そのような答弁が通じるか。

皆が皆魔力に取り込まれた時人々を巻き込むとは限らない。

デリスと言う女が無抵抗だった可能性もある。」


「そうですねえ。まあ、並大抵の人間は冷静には終われませんけどねえ。

ああ、私の知るお方は魔力に取り込まれても強靭な精神で治めていた方はいます。あの方は例外ですね。」

と言いながらリリアは弁護席のマーガレットに視線を向けた。


(ん?誰だ?あの中年の女は。ふてぶてしい態度だな。どこかで会ったことのあるような…。)

悪人顔の司教がマーガレットを見て首を捻る。


「アルバ家のお嬢さん、あたしのことはどうでもいいよ。

ああ、でもそこのチンケなもと暗殺者のダンは叩けば埃が出る男だけどね。

あたしの知る限りそこの裁判長さんとアルバ家の執事さんもまあまあ埃の出そうな感じだよねえ。」

マーガレットが司教とゲイブをジロリと見る。



「ごめんなさい。マーガレットさん。ついお喋りが過ぎました。」リリアは悠然と笑う。



(!!!あの声!あの目!あいつレディダークじゃないか!!何でこんな所にいるんだ?

真っ白になってやがる。どう言うことだ…。訳がわからない…。いや、しかしあいつがレディダークならヤバいぞ…。

何人か俺も暗殺を依頼してる。

俺があいつの顧客ってことがバレるとかなりまずい…。

大司教もいるのにこんなところで失態を見せつける訳にはいかねえんだよ…。)


悪人顔の司教は顔が赤くなったり青くなったり忙しそうだ。



そして、ケントの隣にいるゲイブも同様に目を白黒させている。

ゲイブもレディダークの顧客である。

最近裏社会の元締めを引退したと聞いていたので、あの真っ黒の体であればとっくにくたばっていたと思ってたからだ。




「あ、そうそう。お兄様、私ねバスク地区に来てから魔力が覚醒したの。

やっぱり周囲に素晴らしい方々がいる環境は私にとって本当に良かった。

修道院に入れてくれて本当に感謝しています。


私にとってかけがいのない仲間が沢山できたのよ。これからも居てほしい人、マーガレットさん。

私の覚醒した魔力をマーガレットさんに注いだの。

お兄様も同じ魔力を持っているはずだけど、まだその力は覚醒していないようですね。

ふふふ。またお喋り過ぎたわ。」


リリアはにっこりと笑いながらケントを揺さぶるように煽る。




「な、何だって!魔力をあの女性に注いだ!?ん?あの女性、マーガレットと言ったな…。

父上に知らせを送ったのはその者か!?

リリアの覚醒した魔力を使えば母上と同じ方法で連絡を取れたのか…。

母上の魔力はイアン家独自の魔力…。精霊の影響を受けやすい魔力のはずだ。

じゃ、じゃあ、精霊はあのマーガレットという女性を主に選んだのか!?」


いよいよケントが混乱し始める。


「お兄様…精霊が全く見えないのですか?」


「何?精霊?この近くにいるのか?白々しい嘘を言うな!!」



精霊はダンの隣にずっといる。

今のケントは精霊のぼんやりした気配さえ感じることができないようだ。

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