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戦いの後
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ケントからの話を聞いてリリアは一呼吸おく。
「お兄様、私はあなたの保護者でも指導者でもありません。ただの妹です。だから、今はまだあなたを許せません。
これから長い時間をかけてお兄様と向き合っていきたいです。それでも許せなかったらその時考えませんか?」
「…。ありがとう。自分がとてつもなく愚かで未熟だったかようやく分かった。貴族や長男関係ないところでやり直したいな。」
「考えましょう。これからのことを。」リリアがふわりとケントに笑う。
その笑顔が母親そっくりでケントは涙を流した。
「そうだな。考えればいいんだな。自分の力でこれからのことを…。」ケントも泣きながら笑っていた。
「みんな、ご苦労さん。ダン、あんたもジジイのくせにキャラに合わず色々やってくれたね。まさかここまで男を上げるとは思わなかったよ。」マーガレットが感動的なシーンに似合わない冷静でぶっきらぼうな口調で場を引き締める。
「さあて、感動的な話の中で悪いんだけど、今天地がひっくり返るくらいありえないことが
起こり過ぎてるんだけど、ねえラジオ様。」
ラジオは笑っているが眉毛が困ったように垂れている。
「そうだね。リリア、兄妹が仲良くなって何よりなんだけど、ダンさんは精霊付きになったから保護対象だし、バスク地区の教会は司教を大司教がどっか連れて行っちゃったし、国のこの施設は半壊状態だし、結局裁判だったのに戦場になったよね。これから処理はどうしようかな…。マーガレットさん、これからのこと執事の彼が揃ったら一緒に考えてくださいね。」
「記録玉も作ってくれてるし、国王も一部始終見てたんだから何とかしてもらうしかないんじゃない?」
マーガレットが傍聴席の方に視線を移す。
「え?国王?」ダン、ラジオ、リリア、ケント、世話係皆が傍聴席の方を見る。
そこにはケント、リリアの父親とその隣に見たこともない男性が座っている。
その周囲には不自然に4人ほど屈強そうな男性とお付きのような男性が取り巻きのように周りを固めている。
「そこの君、記録をやめてくれるかい?」見知らぬ男性に擬態した国王が世話係に声をかける。
「は、は、はい!」
今まで必死に記録玉に記録しており、まだ目が紫になっているのを自覚していなかった。すぐに魔力を封じる。
「ああ、ありがとう。身の危険も顧みず、君が記録をしてくれたおかげで歴史的な出来事が上手く保管できる。礼を言うよ。」
そう言うと国王は擬態を解く。
護衛の騎士や側近、ケントの父親はその場で膝をつき頭を下げ敬意を振る舞う。
「あらあら。滲み出る魔力と結界の色で何となく高位貴族とは思っていたけど、やっぱり国王陛下だったんだね。
じゃあ今後の処理に手間が掛からないわね。ラジオ様よかったわね割とあたしたち運が付いている。」
マーガレットが抑揚のない口調でラジオに話しかけるがラジオは目を見開いている。
「こ、コクオウ?こくおう?国王?国王陛下!」とやっと視覚と状況が繋がり膝をついて頭を下げる。
ケントも顔を青ざめ膝をつく。
リリアはカーテシーで頭を下げる。
ロイも一応膝をついている。
ダンとマーガレットはジロリと国王を睨んでいる。精霊はダンの頭の上に乗っている。
「良い。直れ。ここは公式の場ではない。」国王はすぐに頭を上げるよう伝える。
視線を上げた皆を一人一人見て国王は微笑む。
「皆、素晴らしい戦いだった。今日という日がこの地において、そして我が国において歴史的な日になるだろう。まずは体を休めてくれ。この裁判を迎えるまで君たちも民たちも十分な仕事もできず町全体が緊張状態だっただろう。しばらくの期間、国から人や物資を派遣するから遠慮せず受け取ってくれ。」
「…。支援と同時に偵察でしょ?国王陛下。まあ変なことはしていないから好きなだけ調べていってくださいよ。教会の方もしっかり調べ上げてもらわないといけないしね。」マーガレットが意地悪そうな表情で話す。
「この者!国王陛下に!無礼だぞ!」側近がマーガレットに注意しようとするも国王陛下が止める。
「ふむ。精霊付きといい、情報操作と言い優秀すぎる人材が集まりすぎではないか?ビッツ家の長男ラジオと言ったな。」
「は、はい。」
「君でなくてはここまでの逸材をまとめるのは無理だろうな。魔力がないとビッツ家は君を隠していたが、君が一番優れた人格を持っていたとはな。
ロイも良い友人を持っていたようで安心したよ。私からも礼を言う。ありがとう。」
国王がにっこりと笑う。
「い、いえ。身に余る光栄です。」
ラジオは手を胸につけ、深々と頭を下げた。
「お兄様、私はあなたの保護者でも指導者でもありません。ただの妹です。だから、今はまだあなたを許せません。
これから長い時間をかけてお兄様と向き合っていきたいです。それでも許せなかったらその時考えませんか?」
「…。ありがとう。自分がとてつもなく愚かで未熟だったかようやく分かった。貴族や長男関係ないところでやり直したいな。」
「考えましょう。これからのことを。」リリアがふわりとケントに笑う。
その笑顔が母親そっくりでケントは涙を流した。
「そうだな。考えればいいんだな。自分の力でこれからのことを…。」ケントも泣きながら笑っていた。
「みんな、ご苦労さん。ダン、あんたもジジイのくせにキャラに合わず色々やってくれたね。まさかここまで男を上げるとは思わなかったよ。」マーガレットが感動的なシーンに似合わない冷静でぶっきらぼうな口調で場を引き締める。
「さあて、感動的な話の中で悪いんだけど、今天地がひっくり返るくらいありえないことが
起こり過ぎてるんだけど、ねえラジオ様。」
ラジオは笑っているが眉毛が困ったように垂れている。
「そうだね。リリア、兄妹が仲良くなって何よりなんだけど、ダンさんは精霊付きになったから保護対象だし、バスク地区の教会は司教を大司教がどっか連れて行っちゃったし、国のこの施設は半壊状態だし、結局裁判だったのに戦場になったよね。これから処理はどうしようかな…。マーガレットさん、これからのこと執事の彼が揃ったら一緒に考えてくださいね。」
「記録玉も作ってくれてるし、国王も一部始終見てたんだから何とかしてもらうしかないんじゃない?」
マーガレットが傍聴席の方に視線を移す。
「え?国王?」ダン、ラジオ、リリア、ケント、世話係皆が傍聴席の方を見る。
そこにはケント、リリアの父親とその隣に見たこともない男性が座っている。
その周囲には不自然に4人ほど屈強そうな男性とお付きのような男性が取り巻きのように周りを固めている。
「そこの君、記録をやめてくれるかい?」見知らぬ男性に擬態した国王が世話係に声をかける。
「は、は、はい!」
今まで必死に記録玉に記録しており、まだ目が紫になっているのを自覚していなかった。すぐに魔力を封じる。
「ああ、ありがとう。身の危険も顧みず、君が記録をしてくれたおかげで歴史的な出来事が上手く保管できる。礼を言うよ。」
そう言うと国王は擬態を解く。
護衛の騎士や側近、ケントの父親はその場で膝をつき頭を下げ敬意を振る舞う。
「あらあら。滲み出る魔力と結界の色で何となく高位貴族とは思っていたけど、やっぱり国王陛下だったんだね。
じゃあ今後の処理に手間が掛からないわね。ラジオ様よかったわね割とあたしたち運が付いている。」
マーガレットが抑揚のない口調でラジオに話しかけるがラジオは目を見開いている。
「こ、コクオウ?こくおう?国王?国王陛下!」とやっと視覚と状況が繋がり膝をついて頭を下げる。
ケントも顔を青ざめ膝をつく。
リリアはカーテシーで頭を下げる。
ロイも一応膝をついている。
ダンとマーガレットはジロリと国王を睨んでいる。精霊はダンの頭の上に乗っている。
「良い。直れ。ここは公式の場ではない。」国王はすぐに頭を上げるよう伝える。
視線を上げた皆を一人一人見て国王は微笑む。
「皆、素晴らしい戦いだった。今日という日がこの地において、そして我が国において歴史的な日になるだろう。まずは体を休めてくれ。この裁判を迎えるまで君たちも民たちも十分な仕事もできず町全体が緊張状態だっただろう。しばらくの期間、国から人や物資を派遣するから遠慮せず受け取ってくれ。」
「…。支援と同時に偵察でしょ?国王陛下。まあ変なことはしていないから好きなだけ調べていってくださいよ。教会の方もしっかり調べ上げてもらわないといけないしね。」マーガレットが意地悪そうな表情で話す。
「この者!国王陛下に!無礼だぞ!」側近がマーガレットに注意しようとするも国王陛下が止める。
「ふむ。精霊付きといい、情報操作と言い優秀すぎる人材が集まりすぎではないか?ビッツ家の長男ラジオと言ったな。」
「は、はい。」
「君でなくてはここまでの逸材をまとめるのは無理だろうな。魔力がないとビッツ家は君を隠していたが、君が一番優れた人格を持っていたとはな。
ロイも良い友人を持っていたようで安心したよ。私からも礼を言う。ありがとう。」
国王がにっこりと笑う。
「い、いえ。身に余る光栄です。」
ラジオは手を胸につけ、深々と頭を下げた。
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