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最終章 黒い羽と青のそら
嫌とか嫌ではないだとか 3
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ユージーンは、レティシアを殺しかけたと思った時以来の感覚をいだいている。
久方ぶりに、胸が痛くてたまらないのだ。
レティシアには、夜会で1度「ふられた」ことがある。
が、それは王太子であった頃の自分だった。
少しずつ、レティシアとの距離も、縮まってきていたように、感じてもいる。
相変わらずレティシアは、よく怒っていたが、笑うことも増えていた。
それに、ユージーンに対して初めて「好き」という言葉を、口にしている。
前は「それほど嫌いではない」だった。
思えば、かなりの格上げがされている。
(だが……あれは、俺を好いていたわけではない……)
ぎゅっと、胸が痛んだ。
認めたくはないが、事実は事実として受け入れる。
レティシアと出会ってから、ユージーンは「薄々わかっていること」から、目を逸らせないようにしてきた。
レティシアの前では、それが無駄だと、わかったからだ。
(しかし……さすがに、これは、堪えたぞ……)
しばらく立ち直れないかもしれない。
レティシアの心を2度と手に入れらない、と思った時、ユージーンは、長く立ち直れずにいた。
なにをする気にもならず、公務さえサボったのだ。
勤め人として、仕事をサボることはできない。
逆に、今は、それがありがたかった。
無心で薪割りをして、気を紛らわせている。
それでも、時々、思い出して、変なふうに薪を割ってしまったりしていた。
(あれは、なぜ俺を好きにならんのだ……なにがいかんのか……わからん……)
また溜め息が、部屋に充満してしまいそうだ。
王宮ほど窮屈でないのはまだしもだと、なんとか前向きになろうとする。
「少しいいかね?」
返事をする前に、大公が入って来た。
扉を叩きもしなかったことに、ムッとする。
グレイですら、ちゃんと扉を叩き、声をかけてくるのだ。
すなわち、勤め人だからといって礼儀を無視することはない、ということ。
「無礼ではないか、大公」
「そうかい。それは悪かった」
少しも悪いと思っていない口調だ。
ユージーンは、ベッドに寝転がっていたが、体を起こそうとはしなかった。
無礼には無礼で返す。
たとえ相手が大公でも関係ない。
が、大公のほうも気にしていないようだ。
勝手に、背もたれ付きのイスを引き寄せている。
魔術で、だろう。
本当に「勝手に」イスが、ベッド脇に滑り寄ってきたのだ。
そして、平然と、そのイスに腰かけ、大公が足を組む。
「きみは、レティの好みではない。そう言われたことはないかね?」
グサッと、胸に、ひと突き。
今のユージーンには、かなりの痛手となった。
答えたくもなかったので、返事はしない。
どうせ、返事をしないことが返事になる。
わざわざ口にして、傷を深める必要はなかった。
「きみは、それを外見のことだけだと勘違いをしているのだろう?」
「好みというのは、おおむね外見を指すのではないのか?」
「外見も含まれる、ということに過ぎない」
もそっと、ユージーンは、体を起こす。
少し話を聞いてみる気になったのだ。
ちょうど、自分のなにがいけないのかで、悩んでいたところでもある。
少しでも「いけない」部分を理解するきっかけがあれば、と思っていた。
「街でも言ったがね。きみは、思ったことを口に出し過ぎる」
「だが、言わねばわからぬこともあろう」
「それは間違いではないさ。ただ、正しくもない」
おそらく「選り分け」が必要だ、ということだろう。
さりとて、どう選別するのかが、わからない。
「では、きみのことを先に聞こう。まず、きみはレティの外見をどう思う?」
「愛らしいな、あれは……それに、美しいとも思うし……愛嬌もある」
「そうかい。だが、私は、きみがレティに、そう言うのを聞いたことがない。きみが言うことときたら、やれ太れだの、よく食べろだのということばかりだ。これはいったい、どういうことかね?」
指摘され、初めて気づく。
心で思うことはあっても、レティシアに、直接、そうした言葉を、言ったことはなかった。
太れだの、食べろだの言っていたのは、彼女の健康を案じてのことだ。
ユージーンは、知らず、気づいていた。
レティシアは、食べなければ、すぐに痩せてしまう体質らしいと。
とはいえ、無自覚に認識していたため「気遣い」の部分が飛んでいる。
ユージーンは、良くも悪くも、頭の回転が速過ぎるのだ。
「それが駄目であったと言うか」
「当然だろう。女性に対して言うことではない」
うぐっと、喉が詰まりそうになった。
ユージーンは、自分から女性に話題を振った経験がない。
女性に合わせて、ほとんど聞き流しながら、相槌を打っていただけだ。
だから、女性に言うべきでないことがあるとは、わからずにいた。
「なにも、嘘をつけとは言わないがね。良いところだけを、褒めればいいのだよ。どうしても直してほしいと思うところ以外、男は女性の容姿に、あれこれ言わないものさ」
「そうであったのか……俺は、あれに嫌な思いをさせていたのだな」
「その通りだ」
大公の言葉は容赦がなく、身も蓋もない。
しかし、自分の何が駄目だったのか、ひとつ理解することはできた。
「それから、きみは、レティの性格をどう捉えているのかね?」
「よく怒る女だが、はっきり物を言うと……」
「違う。レティが、よく怒るのではない。きみが怒らせているのだよ」
「俺とて、あれを、よく怒らせていると思ってはいる。だが、それがなぜなのか、どうにもわからんのだ」
大公が、目を、すうっと細める。
とても不機嫌そうで、今にも丸焦げにされるのではないかと思えた。
「きみの態度に、問題があるからに決まっているだろう」
「俺の態度? 俺は、なにも怒らせるようなことは……」
「きみは、とても横柄で傲慢な話しかたをする。常に、上から下を見るような口の利きかただ。頼み事をする時でさえもね。あげく頼んでいる自覚すらない」
ユージーンは、長らく王太子として生きてきている。
こういう話しかたしか知らないし、してきてもいなかった。
それを悪いと感じたこともない。
「すべてが悪いとは言わない。それは、きみの個性でもある。ただし、致命的なのは、きみがレティを尊重していないことだ」
「尊重……」
致命的と言われ、心臓が激しく波打つ。
それをどうにかしなければ、早晩、レティシアに嫌われるに違いないのだ。
ユージーンの「好き」とは違うものではあったが、せっかく「好き」との言葉をもらえるようになった。
格上げは間違いないのに、致命的な欠陥などかかえていては、これ以上の進展は望めない。
それどころか、急降下する可能性のほうが高かった。
「きみが理解するのは難しい。人を尊重することなどなかっただろうし、する必要もなかっただろうからね。どうすれば尊重していることになるのかすら、きみにはわからないはずだ」
胸に大公の言葉が、深々と突き刺さる。
いちいち、もっともで、納得することばかりだからだ。
「だから、ひとつだけ、きみにもできそうなことを提案しよう」
「俺にもできること?」
「簡単なことだ」
それができれば、レティシアに好まれるようになるのだろうか。
ユージーンは知らないが、レティシアが見れば言っただろう。
『ユージーン、なんで正座してるの?』
足を折り曲げ、両手は膝。
心臓を、バクバクさせながら、大公の言葉を、じっと待つ。
「レティを甘やかす。これだけさ」
ぱちぱちっと、ユージーンは瞬きをした。
そんなユージーンに、大公が1通の封筒を差し出してくる。
とある公爵家の印璽が、封蝋に押されていた。
「夜会の招待状だ。きみが、レティをエスコートしたまえ」
え?と、顔を上げる。
大公は、変わらず不機嫌な表情を浮かべていた。
「最初で最後だと思うがいい。これでしくじれば、きみがレティと、どうこうなることは、生涯ないと断言しよう」
「最初で最後……」
「しくじりたくなければ、レティを、とことん甘やかすのだね」
「ど、どうやって……?」
大公が、嫌そうに顔をしかめる。
しかし、ユージーンにとっては、後がないのだ。
大公の機嫌になど、かまってはいられない。
そういうところは、やはりユージーンなのだった。
「なにからなにまで、だよ。レティの許しを得てから動き、レティのしたいことを優先させ、レティの言葉に耳を傾ける。ああ、それから、腕をかしている時以外、けして、レティより半歩以上、前には出ないことだ」
その言葉を、頭に叩き込む。
大公が不機嫌な顔のまま部屋を出て行っても、ユージーンは、しばらく招待状を握り締めていた。
久方ぶりに、胸が痛くてたまらないのだ。
レティシアには、夜会で1度「ふられた」ことがある。
が、それは王太子であった頃の自分だった。
少しずつ、レティシアとの距離も、縮まってきていたように、感じてもいる。
相変わらずレティシアは、よく怒っていたが、笑うことも増えていた。
それに、ユージーンに対して初めて「好き」という言葉を、口にしている。
前は「それほど嫌いではない」だった。
思えば、かなりの格上げがされている。
(だが……あれは、俺を好いていたわけではない……)
ぎゅっと、胸が痛んだ。
認めたくはないが、事実は事実として受け入れる。
レティシアと出会ってから、ユージーンは「薄々わかっていること」から、目を逸らせないようにしてきた。
レティシアの前では、それが無駄だと、わかったからだ。
(しかし……さすがに、これは、堪えたぞ……)
しばらく立ち直れないかもしれない。
レティシアの心を2度と手に入れらない、と思った時、ユージーンは、長く立ち直れずにいた。
なにをする気にもならず、公務さえサボったのだ。
勤め人として、仕事をサボることはできない。
逆に、今は、それがありがたかった。
無心で薪割りをして、気を紛らわせている。
それでも、時々、思い出して、変なふうに薪を割ってしまったりしていた。
(あれは、なぜ俺を好きにならんのだ……なにがいかんのか……わからん……)
また溜め息が、部屋に充満してしまいそうだ。
王宮ほど窮屈でないのはまだしもだと、なんとか前向きになろうとする。
「少しいいかね?」
返事をする前に、大公が入って来た。
扉を叩きもしなかったことに、ムッとする。
グレイですら、ちゃんと扉を叩き、声をかけてくるのだ。
すなわち、勤め人だからといって礼儀を無視することはない、ということ。
「無礼ではないか、大公」
「そうかい。それは悪かった」
少しも悪いと思っていない口調だ。
ユージーンは、ベッドに寝転がっていたが、体を起こそうとはしなかった。
無礼には無礼で返す。
たとえ相手が大公でも関係ない。
が、大公のほうも気にしていないようだ。
勝手に、背もたれ付きのイスを引き寄せている。
魔術で、だろう。
本当に「勝手に」イスが、ベッド脇に滑り寄ってきたのだ。
そして、平然と、そのイスに腰かけ、大公が足を組む。
「きみは、レティの好みではない。そう言われたことはないかね?」
グサッと、胸に、ひと突き。
今のユージーンには、かなりの痛手となった。
答えたくもなかったので、返事はしない。
どうせ、返事をしないことが返事になる。
わざわざ口にして、傷を深める必要はなかった。
「きみは、それを外見のことだけだと勘違いをしているのだろう?」
「好みというのは、おおむね外見を指すのではないのか?」
「外見も含まれる、ということに過ぎない」
もそっと、ユージーンは、体を起こす。
少し話を聞いてみる気になったのだ。
ちょうど、自分のなにがいけないのかで、悩んでいたところでもある。
少しでも「いけない」部分を理解するきっかけがあれば、と思っていた。
「街でも言ったがね。きみは、思ったことを口に出し過ぎる」
「だが、言わねばわからぬこともあろう」
「それは間違いではないさ。ただ、正しくもない」
おそらく「選り分け」が必要だ、ということだろう。
さりとて、どう選別するのかが、わからない。
「では、きみのことを先に聞こう。まず、きみはレティの外見をどう思う?」
「愛らしいな、あれは……それに、美しいとも思うし……愛嬌もある」
「そうかい。だが、私は、きみがレティに、そう言うのを聞いたことがない。きみが言うことときたら、やれ太れだの、よく食べろだのということばかりだ。これはいったい、どういうことかね?」
指摘され、初めて気づく。
心で思うことはあっても、レティシアに、直接、そうした言葉を、言ったことはなかった。
太れだの、食べろだの言っていたのは、彼女の健康を案じてのことだ。
ユージーンは、知らず、気づいていた。
レティシアは、食べなければ、すぐに痩せてしまう体質らしいと。
とはいえ、無自覚に認識していたため「気遣い」の部分が飛んでいる。
ユージーンは、良くも悪くも、頭の回転が速過ぎるのだ。
「それが駄目であったと言うか」
「当然だろう。女性に対して言うことではない」
うぐっと、喉が詰まりそうになった。
ユージーンは、自分から女性に話題を振った経験がない。
女性に合わせて、ほとんど聞き流しながら、相槌を打っていただけだ。
だから、女性に言うべきでないことがあるとは、わからずにいた。
「なにも、嘘をつけとは言わないがね。良いところだけを、褒めればいいのだよ。どうしても直してほしいと思うところ以外、男は女性の容姿に、あれこれ言わないものさ」
「そうであったのか……俺は、あれに嫌な思いをさせていたのだな」
「その通りだ」
大公の言葉は容赦がなく、身も蓋もない。
しかし、自分の何が駄目だったのか、ひとつ理解することはできた。
「それから、きみは、レティの性格をどう捉えているのかね?」
「よく怒る女だが、はっきり物を言うと……」
「違う。レティが、よく怒るのではない。きみが怒らせているのだよ」
「俺とて、あれを、よく怒らせていると思ってはいる。だが、それがなぜなのか、どうにもわからんのだ」
大公が、目を、すうっと細める。
とても不機嫌そうで、今にも丸焦げにされるのではないかと思えた。
「きみの態度に、問題があるからに決まっているだろう」
「俺の態度? 俺は、なにも怒らせるようなことは……」
「きみは、とても横柄で傲慢な話しかたをする。常に、上から下を見るような口の利きかただ。頼み事をする時でさえもね。あげく頼んでいる自覚すらない」
ユージーンは、長らく王太子として生きてきている。
こういう話しかたしか知らないし、してきてもいなかった。
それを悪いと感じたこともない。
「すべてが悪いとは言わない。それは、きみの個性でもある。ただし、致命的なのは、きみがレティを尊重していないことだ」
「尊重……」
致命的と言われ、心臓が激しく波打つ。
それをどうにかしなければ、早晩、レティシアに嫌われるに違いないのだ。
ユージーンの「好き」とは違うものではあったが、せっかく「好き」との言葉をもらえるようになった。
格上げは間違いないのに、致命的な欠陥などかかえていては、これ以上の進展は望めない。
それどころか、急降下する可能性のほうが高かった。
「きみが理解するのは難しい。人を尊重することなどなかっただろうし、する必要もなかっただろうからね。どうすれば尊重していることになるのかすら、きみにはわからないはずだ」
胸に大公の言葉が、深々と突き刺さる。
いちいち、もっともで、納得することばかりだからだ。
「だから、ひとつだけ、きみにもできそうなことを提案しよう」
「俺にもできること?」
「簡単なことだ」
それができれば、レティシアに好まれるようになるのだろうか。
ユージーンは知らないが、レティシアが見れば言っただろう。
『ユージーン、なんで正座してるの?』
足を折り曲げ、両手は膝。
心臓を、バクバクさせながら、大公の言葉を、じっと待つ。
「レティを甘やかす。これだけさ」
ぱちぱちっと、ユージーンは瞬きをした。
そんなユージーンに、大公が1通の封筒を差し出してくる。
とある公爵家の印璽が、封蝋に押されていた。
「夜会の招待状だ。きみが、レティをエスコートしたまえ」
え?と、顔を上げる。
大公は、変わらず不機嫌な表情を浮かべていた。
「最初で最後だと思うがいい。これでしくじれば、きみがレティと、どうこうなることは、生涯ないと断言しよう」
「最初で最後……」
「しくじりたくなければ、レティを、とことん甘やかすのだね」
「ど、どうやって……?」
大公が、嫌そうに顔をしかめる。
しかし、ユージーンにとっては、後がないのだ。
大公の機嫌になど、かまってはいられない。
そういうところは、やはりユージーンなのだった。
「なにからなにまで、だよ。レティの許しを得てから動き、レティのしたいことを優先させ、レティの言葉に耳を傾ける。ああ、それから、腕をかしている時以外、けして、レティより半歩以上、前には出ないことだ」
その言葉を、頭に叩き込む。
大公が不機嫌な顔のまま部屋を出て行っても、ユージーンは、しばらく招待状を握り締めていた。
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