二世帯住宅から冒険の旅へ

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第98話 異世界の町

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「トラ様、ご気分はいかがですか?」

「なんともないよ」

「勇者は飛び出したっきりどっかへ行ってまうし」

「勇者チームと先生に偽勇者までついて行くとは思わなかったな」

「あの人たち向こうの世界での仕事とか大丈夫なんでしょうか?」

「まあなんとかなるんじゃない?」

「それでこの世界はなんなんじゃ?」

「さあ?」

「ぐる?」

「発案者の虎彦がなんで疑問なんだよ」

「わたいらがいた世界をAとするとここは世界Bやな」

「なにも言ってないに等しい」

「わからんのう」

「ひとつだけわかったことがあるよ」

「なんだ?」

「翻訳魔法なしで全部わかる」

「ん? どういうことだ?」

「辰巳は気づかないかも。エドさんは気づいた?」

「そう言われると桃太郎さんの言うことがそのまま理解できている気がしますね」

「あ、もしかして」

「世界を渡ったさかい特殊能力が生えてきたんか」

「やっと言語チートがついたみたいだよ」

「さすがのトラ様でも新しい異世界で特殊能力なしではムリですよね」

「どうかな?」

「もうすぐ人のいる町に着くはずやさかいそこでわかるやろ」

「人ってカマキリとかトカゲとかじゃないよね?」

「わての観測した範囲では普通の人間やったけど。そういやなんでやろな」

「なんで町に行くんだ?」

「町に拠点作ったほうが安全やろ」

「人間の町に拠点作ろうとする魔王」

「森に魔王城建てればいいのに」

「そんなもん簡単に建つかいな」

「魔王城ってカーさんが建てたんじゃないの?」

「わてがこの世界に来たときにはもうあの城はそのままあったな」

「魔王城って居抜いぬき物件なのか」

「大体森に建物建てたとして警備員も置かへんと危ないやろ」

「ドラゴンとかな」

「見えてきましたよ。低いさくで囲われただけの町ですね。外敵がいないんでしょうか?」

「この世界は魔王とかいないのか?」

「魔王がいなくても魔物や猛獣や野盗はいそうなもんやけど」

「魔物って魔王と関係ないんだっけ?」

「関係ないな。わてが魔物ぽんぽん生み出すように見えるか?」

「あれどこから湧いてくるんだろうな」

「なんじゃ。あれは魔王と関係なかったんか」

「むしろ魔王城の周りはきれいに掃除してるし魔物は少ないはずや」

「確かに魔王城の周りは不自然なほど魔物が出なくてちょっと不気味で怖いんですよね。あれ討伐してたんですか」

「怖いと思われてたん? ちょっと複雑やわ。木ぃかてええ感じにいて明るい雰囲気出してんのに」

「なんで魔王城の周りで明るい雰囲気出してんだよ」

「近づいてくる敵を発見しやすくするためかと思ってました」

「なんでそんな発想物騒なん?」

「いや魔王城だし」

「城内かていつお客さんが来はってもええようにきれいにしてるのに」

「だれが掃除してるの?」

「あの城不思議魔法かかってるからか掃除しなくてもきれいやね」

「外はターさんが掃除してましたけど」

「ターさんって警備員のドラゴンか」

「もっと魔王城に遊びに来てねって宣伝すればよかったのに」

「むかしはそれもやったで。だあれもいひんかったけど」

「『ドラゴンに会いに来て』でしたっけ? バカなんですか?」

「ドラゴンいたらかっこええやろ?」

「いやターさんはかっこいいですけど」

「ちょっと火ぃ吹くけどな」

「まあそれで勇者が魔王はドラゴンって勘違いしてくれて結果よかったですけど」

「何百年越しの伏線回収熱かったな」

「熱かったのはターさんの火ですよ。巻き添え食ってちょっとマント焦げましたからね」

「勇者対魔王城の警備員の茶番か」

「いやあ勇者が魔王城の封印解いてくれて助かったわあ」

「ん? どういうことだ?」

「あれ? 言うてへんかったん?」

「説明してなかったでしたっけ? 魔王は魔王城から出られないように封印されてたんですよ」

「だれが封印したんだ?」

「特に記録はないんですよね」

「この世界で目が覚めたんはあの城の謁見室の玉座みたいなとこやったし、どうやっても城から出れへんかったんや。わけがわからんまま百年くらい閉じ込められてたなあ」

「こっわ」

「魔王城に初めて来たのが龍王で、しかも四天王やったからそれからはずっと二人で生活してたんや」

「外に出れるのがターさんだけだったのか」

「『ドラゴンに会いに来て』キャンペーンもあいつが王都まで飛んで行って適当に火ぃ吹いてパフォーマンスして『魔王城で待っているぞ!』って言って帰ってきたんや」

「来るわけないだろ」

「どう見てもドラゴンが魔王じゃん」

「これでお客さん来るかなって二人で楽しみにしてたのに何百年もだれも来いひんかったしな」

「来るわけないだろ」

「それであんなに歓迎されたんですね」

「そもそも四天王が一人しか来ないってどないなってんにゃ」

「それは申し開きできんのう」

「まあとりあえず魔王城からは解放されたし気楽にやるわ」

「気楽すぎる」

「その馬車あとまれえ」

「お、一応門番的なものはいるんだな」

「なんだあこの馬車、ずいぶん立派だなあ。どこから来たんだあ?」

「あっちの森のほうから来ました」

「ハサミー領かあ? 遠かっただろお? なんか売りもんでも積んでるのかあ?」

「いえ、人しか乗ってません。五人と猫一匹です」

「ぐる」

「おおお? かわいい猫ちゃんだなあ。よしよし。このまままっすぐ行ったところに宿があるからなあ。そこに泊まるといいぞお」

「ありがとうございます」

「この世界ではチョコちゃんは普通の猫に見えるのかな?」

「なに言ってんだ普通の猫だろ」

「ぐるう」

「違うと思うって」

「それにしてもめっちゃするっと通れたな」

「ずいぶんザル警備……牧歌的な雰囲気ですね」

「いままでの門番で一番親切かも」

「おすすめの宿まで教えてくれはったなあ」

「ターさんの案内も親切でしたけどね」

「どんな魔王城だよ」
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