二世帯住宅から冒険の旅へ

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第99話 異世界の宿

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「しゃっせー」

「コンビニかよ」

「っすー」

「いや宿のはず」

「泊りっすかー?」

「ここは安全性とか気密性とかどうなんでしょうか?」

「っすー」

「わかんねえよ」

「ふつっすよ」

「この世界の基準がわからへんけど」

「泊まってみればいいじゃん」

「虎彦は寝るだけだろ」

「影が徹底的に調べ上げますので」

「暗黒騎士団長頼りになるなあ」

「もうやめてくださいよぅ」

「エドさんは頼りになるよね」

「はい!」

「情緒の振れ幅」

もてあそばれとるのう」

「ぐるう」

「一応周辺は大丈夫そうだって」

「影の報告が直接トラ様に……」

「暗黒騎士団長しっかりせえよ」

「そういえば影も世界を渡ったから特殊能力生えたのか?」

「いろいろと便利能力をさずかったようですね」

「暗黒……影……それに特殊能力っすか?」

「あ、全部まる聞こえや」

「心なしかキラキラした目で見とるぞ」

「病気の人かな?」

「よし。君には極秘任務を与えよう。われわれはとある重要な計画のため長期間借りれる安全な拠点を探している。決してだれにも言ってはいけないが……守れるか?」

「っす!」

「やる気はあるようですが」

「手ぇぴしぃ挙げてはるね」

「ちなみにだれとだれに自慢する?」

「友達はペヤーとヤングだけっす!」

「ダメじゃん」

「その二人は熱湯に三分漬けることになるが、いいね」

「っす!」

「いいんだ」

「まあ影が常時見張っていますし大丈夫でしょう」

「……影ってそっちのお客っすかー?」

(ビクッ)

「ぐる……」

「なんでわかったの?」

「王都から毎月くる影の人たちもそんな感じっすね」

「なにか特殊な訓練でも受けてるんでしょうか?」

「え? オレまたなんかやっちゃったっすか?」

「やっちゃいました?系の人だ。初めて見た」

「なんで宿屋にいるんだよ」

「あそれいやっす。なんでこんなとこにいるんだって言われて体よく追い出されたこといっぱいあるんで」

「すまん」

「いっす」

「なんや有能そうやし魔王軍に入らはる?」

「カーさん魔王軍なんて初耳なんですけど?」

「絶対ノリで言ってるだろ」

「目がキラッキラになっとるんじゃが」

「魔王軍に入ったらなにするっすか?」

「まあ城の掃除くらいやけど」

「侵入者の排除っすか?!」

「なんか嬉しそうだな」

「だれも来ないとか言えない雰囲気」

「『しゃっせー』すら言えない環境」

「うちの悪口言わんといて」

「まあしばらくはここが出張魔王城ってことで守っといてもらえば」

「っす!」

「それただの宿屋続行じゃん」
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