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第103話
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「出来たのか?」
「もう少し煮込んで濾したら、出来上がりです」
「味見って・・・」
「うどんにかけて、丁度にしていますので、このままでは辛いですよ」
「辛くても良いから、少しだけ・・・お願い」
両手を会わせてお願いしてくるマルクス様に、まずはカサンドラ様が負けた。
「ミシェル様。少し位、良いのではないでしょうか?」
「カサンドラ様。義弟君だからと、甘くなるのはよくないかと」
私がそういうと、その後ろから
「そうだぞ。弟を甘やかしてはいけない。甘やかすなら俺にしてくれ」
とヘンドリック様が来た。
「兄上。父上の方は、良いのですか?」
「あっちはあっちで、近づけん」
そういわれて、みんなで見ると、あきれるほどいちゃいちゃしていた。
「始まってしまいましたか」
「あぁ。だからこっちも」
「こっちもって、何する気ですか?」
「えっ、みんなで戯れて、仲の良いところを見せてやろうかと・・・
って、お前何を考えた?」
「な、何も考えていませんっ」
「ほほぉ、何も?」
「考えてはいませんよ。それより、ミシェル。あーじーみー」
「味見とはなんだ?マルクス」
「スープの味をみたいので、少しだけ頂きたいと、
お願いしていたところだったのです」
「それは、俺も知りたい」
2人は、私とカサンドラ様に向かって、祈るような体制を取り
「「味見させてください」」
と言った。
「はぁー・・・本当に、辛いですからね。それでも良いのですね?」
「「はい」」
その返事を聞き、私はマルクス様に、カサンドラ様はヘンドリック様に、それぞれスプーンで掬ったものを差し出した。
パクッ・・・
「「からっ」」
2人は同時に叫び、水を飲みに走った。
「だから言ったのですよ。お二人がそれでもと、言われたのですからね」
そういう間も、水を飲んでいる2人。
「な、何故こんなに辛いのだ?」
「それは、これを薄めてスープにするからですよ。
こんなにたくさんのうどんを食べるためのスープが、たった
これだけのはずないでしょう」
私の言葉に、2人の王子は納得した。
私たちは、みんなの分のスープの準備をしていた。
にもかかわらず、お鍋に一杯分しかないのだ。
「確かに・・・よく考えれば、そうだよな」
「俺達は、急ぎすぎた・・・と言うことか」
「そうですよ。
ヘンドリック様もマルクス様も、ミシェル様の言うことを
よく聞かなきゃダメです」
「マルクス、カサンドラに叱られてしまった」
「兄上。一旦落ち着きましょう」
「そうだな。落ち着こう」
そういった2人は、私達の前で大きく息を吸い深呼吸をした。
そんな2人を見た私とカサンドラ様は、顔を見合わせた後、クスクスと笑った。
「もう少し煮込んで濾したら、出来上がりです」
「味見って・・・」
「うどんにかけて、丁度にしていますので、このままでは辛いですよ」
「辛くても良いから、少しだけ・・・お願い」
両手を会わせてお願いしてくるマルクス様に、まずはカサンドラ様が負けた。
「ミシェル様。少し位、良いのではないでしょうか?」
「カサンドラ様。義弟君だからと、甘くなるのはよくないかと」
私がそういうと、その後ろから
「そうだぞ。弟を甘やかしてはいけない。甘やかすなら俺にしてくれ」
とヘンドリック様が来た。
「兄上。父上の方は、良いのですか?」
「あっちはあっちで、近づけん」
そういわれて、みんなで見ると、あきれるほどいちゃいちゃしていた。
「始まってしまいましたか」
「あぁ。だからこっちも」
「こっちもって、何する気ですか?」
「えっ、みんなで戯れて、仲の良いところを見せてやろうかと・・・
って、お前何を考えた?」
「な、何も考えていませんっ」
「ほほぉ、何も?」
「考えてはいませんよ。それより、ミシェル。あーじーみー」
「味見とはなんだ?マルクス」
「スープの味をみたいので、少しだけ頂きたいと、
お願いしていたところだったのです」
「それは、俺も知りたい」
2人は、私とカサンドラ様に向かって、祈るような体制を取り
「「味見させてください」」
と言った。
「はぁー・・・本当に、辛いですからね。それでも良いのですね?」
「「はい」」
その返事を聞き、私はマルクス様に、カサンドラ様はヘンドリック様に、それぞれスプーンで掬ったものを差し出した。
パクッ・・・
「「からっ」」
2人は同時に叫び、水を飲みに走った。
「だから言ったのですよ。お二人がそれでもと、言われたのですからね」
そういう間も、水を飲んでいる2人。
「な、何故こんなに辛いのだ?」
「それは、これを薄めてスープにするからですよ。
こんなにたくさんのうどんを食べるためのスープが、たった
これだけのはずないでしょう」
私の言葉に、2人の王子は納得した。
私たちは、みんなの分のスープの準備をしていた。
にもかかわらず、お鍋に一杯分しかないのだ。
「確かに・・・よく考えれば、そうだよな」
「俺達は、急ぎすぎた・・・と言うことか」
「そうですよ。
ヘンドリック様もマルクス様も、ミシェル様の言うことを
よく聞かなきゃダメです」
「マルクス、カサンドラに叱られてしまった」
「兄上。一旦落ち着きましょう」
「そうだな。落ち着こう」
そういった2人は、私達の前で大きく息を吸い深呼吸をした。
そんな2人を見た私とカサンドラ様は、顔を見合わせた後、クスクスと笑った。
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