私の存在

戒月冷音

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第122話

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「マルクス様は、食べ物があれば良いのですね」
「えっ・・・あっ、ちっ、違うよ。俺は、食べ物に釣られいてるわけでは・・・」
「ですが・・・
 何時もお菓子や食事を食べるだけで、終わっては、そう思っても
 仕方ないと思います」
少し悩んでから、私が拗ねていることに気づいたマルクス様は、一度人払いをして、向かい合って座っていた場所から私の横に来た。

「あ、あの、マルクス様?」
「食べ物で、ミシェルが俺を釣ってくれているのだと思っていた。
 だけど、食べ物に嫉妬するまでになってくれたのは、正直嬉しい」
「しっ・・・えっ、嬉しい?」
「嬉しいよ。
 俺は食べ物よりも、ミシェルに会えるから一緒に食べるんだし、
  その為に必死に仕事を片付けてくるんだし。
 みんな、ミシェルに会うために頑張ってるんだよ。」
「そ、そうなのですか?」
「それでミシェルに嫉妬してもらうとか・・・最高。
 俺はミシェルと一緒に居るこの時間が、一番大事なんだよ」
私の手を取り、首を傾げてそう言われるマルクス様。

か、かわいい・・・

絶対に言葉には出せないが、こういう動きをたまにされる。
マルガ様の、影響かなぁ
等と考えていると、私の横に座ったまま、次のプリンに手を伸ばす。
あぁは言ったけど、やっぱり食べてるときのマルクス様も、かわいいのよね。
そんなことを思いつつ、彼が食べ終わるのを待った。

「あれから、何もない?」
突然かけられた言葉にビクッとする。
「はい。何もございませんが・・・」
「何かありそうな言い方だけど?」
「ないです。あの方達も、何かしらの罰が与えられたようですし・・・
 と言うか、皆さん結婚されるとは、思ってもいませんでした」
「あぁ、あれはね、父上が話を聞いて、耐えられなかったらしくて」
「耐えられない?何にですか?」
「父上も学生時代に、見たんだそうだ。
 学友の婚約者に対して、同じようなことをする女性を。
 その時に思ったことは、絶対こういう女性を、自分の周囲に置かないこと
 なのだそうだ。
 それを親に伝えたら皆、下位貴族と結婚させたみたい」

男性を手に入れるために、その彼女の立場を悪くして、その男性を手に入れようとする女性は、前世でたくさん見てきた。
特に、前世の姉の回りに多かった。
もちろん、姉も。
私の彼氏は皆、私を悪く言って、姉を褒め称えた。
それが私だけなら我慢すれば良いが、そうじゃない。
自分の彼氏より条件の良い男を見つけると、私にしたことと同じことを、男にして離れるのだ。
それが厄介だった。

一番最悪だったのは、相手の男性が強姦の現行犯で捕まって、警察につれていかれた時だ。
姉は事情聴取で話さなければならないことを覚えておらず、当事者なのに説明できないと言う状態になった。
その時取った行動が、私と自分を入れ換えたのだ。
強姦されたのは自分の妹で、妹はそう言うのに慣れているから気にしていない・・・等と言ったのだ。
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