114 / 168
第121話
しおりを挟む
マルクス様がそう言うと、クルマルク伯爵令嬢様か顔を真っ赤にして、回りを見回した後、人垣を掻き分けてどこかへと走り去っていった。
「ミシェル。大丈夫だった?」
「はい。クレア様とカサンドラ様が、来てくださいましたし、
こうしてマルクス様も、来てくださいましたから」
「あらあら、私達はそんなに役に立っていませんわ。
マルクス殿下のお手柄です」
そう言うクレア様は、扇で口許を隠しておられるが、笑っていらっしゃるようだ。
「カサンドラ様にも、ご迷惑をお掛けしました」
「いいえ。ミシェル様はきちんと、公爵家の令嬢としての振る舞いを
されておりましたわ。
私が出る幕もございませんでしたもの」
カサンドラ様も、笑っていらっしゃるようで口許を隠す。
「あのご令嬢は、自分がよければそれで良いの、典型的な方ですわね。
これから先、お相手が見つかるかが、心配になりますわ。
親御様も、さぞかし大変でしょうに」
クレア様の言葉に、ここに集まった者全てが頷く。
だがそれも、その日をもって終わりを見せた。
クルマルク伯爵は、ミリア様を修道院に入れ、ミラー伯爵は一人娘を嫁がせた。
メイシス伯爵は、問題を起こしたのは次女だったと言うことで、その娘を平民に嫁がせた。
そして、シルトバル伯爵は、長女を遠戚の次男に嫁がせ、そこで女性ではなく男性として扱われるようにしたらしい。
その家は武家で、男女ともに剣を取るのだと言う。
そこで女性騎士として、仕立てるのだとか・・・
まぁ皆、学園を中退して花嫁になったようだ。
私は、それを聞いて仕方ないと思った。
ミリア様は、第2王子を怒らせた。
普段怒らない人が怒ると、怖い。
その典型的な例、がお母様だ。
お母様とマルクス様は、どこか似ている。
何時もにこにこしていても、締めるところは締める。
やること・・・しなければならないこと、守らなければならないことは、しっかりと厳守する。
そして怒ると、とっても怖いのだ。
「マルクス様。お持ちしたプリン。いかがでした?」
あれから数日後。私はプリンを作って、マルクス様を訪ねた。
「美味しい。懐かしい。作り方が違うのか?しっかりしたプリンだ」
「プリンには二種類あって、蒸して固めるのと冷やして固めるものがあります。
これは、蒸して固めたもので、卵と牛乳・・・間違えました。
ランと乳と糖を混ぜたものを、糖と水を混ぜて焦がしたキャラメルの上に入れ、
蒸したものになります。
しっかりとランが固まったので、固めのプリンになりました」
「冷やす方は?」
「そちらも、ランと乳と糖が基本ですが、そこにゼラチン・・・
こちらではゼラウムでした。
ゼラウムを溶かし入れて、よく混ぜてから、氷冷器に入れて固めます」
「そうなのか」
話をしながらマルクス様はプリンを3つ、ペロリと平らげた。
そして、にっこりと笑うと
「ミシェルが婚約者になってくれて、本当に良かった」
と呟いた。
「ミシェル。大丈夫だった?」
「はい。クレア様とカサンドラ様が、来てくださいましたし、
こうしてマルクス様も、来てくださいましたから」
「あらあら、私達はそんなに役に立っていませんわ。
マルクス殿下のお手柄です」
そう言うクレア様は、扇で口許を隠しておられるが、笑っていらっしゃるようだ。
「カサンドラ様にも、ご迷惑をお掛けしました」
「いいえ。ミシェル様はきちんと、公爵家の令嬢としての振る舞いを
されておりましたわ。
私が出る幕もございませんでしたもの」
カサンドラ様も、笑っていらっしゃるようで口許を隠す。
「あのご令嬢は、自分がよければそれで良いの、典型的な方ですわね。
これから先、お相手が見つかるかが、心配になりますわ。
親御様も、さぞかし大変でしょうに」
クレア様の言葉に、ここに集まった者全てが頷く。
だがそれも、その日をもって終わりを見せた。
クルマルク伯爵は、ミリア様を修道院に入れ、ミラー伯爵は一人娘を嫁がせた。
メイシス伯爵は、問題を起こしたのは次女だったと言うことで、その娘を平民に嫁がせた。
そして、シルトバル伯爵は、長女を遠戚の次男に嫁がせ、そこで女性ではなく男性として扱われるようにしたらしい。
その家は武家で、男女ともに剣を取るのだと言う。
そこで女性騎士として、仕立てるのだとか・・・
まぁ皆、学園を中退して花嫁になったようだ。
私は、それを聞いて仕方ないと思った。
ミリア様は、第2王子を怒らせた。
普段怒らない人が怒ると、怖い。
その典型的な例、がお母様だ。
お母様とマルクス様は、どこか似ている。
何時もにこにこしていても、締めるところは締める。
やること・・・しなければならないこと、守らなければならないことは、しっかりと厳守する。
そして怒ると、とっても怖いのだ。
「マルクス様。お持ちしたプリン。いかがでした?」
あれから数日後。私はプリンを作って、マルクス様を訪ねた。
「美味しい。懐かしい。作り方が違うのか?しっかりしたプリンだ」
「プリンには二種類あって、蒸して固めるのと冷やして固めるものがあります。
これは、蒸して固めたもので、卵と牛乳・・・間違えました。
ランと乳と糖を混ぜたものを、糖と水を混ぜて焦がしたキャラメルの上に入れ、
蒸したものになります。
しっかりとランが固まったので、固めのプリンになりました」
「冷やす方は?」
「そちらも、ランと乳と糖が基本ですが、そこにゼラチン・・・
こちらではゼラウムでした。
ゼラウムを溶かし入れて、よく混ぜてから、氷冷器に入れて固めます」
「そうなのか」
話をしながらマルクス様はプリンを3つ、ペロリと平らげた。
そして、にっこりと笑うと
「ミシェルが婚約者になってくれて、本当に良かった」
と呟いた。
17
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる