私の存在

戒月冷音

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第123話

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その話が広まり、私に頼めばやらせてくれる。
男を食いまくっていると噂が立ち、生活指導にも呼ばれた。
家に帰れば姉が
「ごめんねぇ~。でもよかったでしょ。これでで好きに出来るわよ」
と、訳の分からないことを言ってくるし・・・

あんなことは二度とごめんだ。
そう思った。

「だから、ミラー、メイシス、クルマルク、シルトバルの4伯爵家は、
 父上に言われる前に行動した。ただそれだけだよ」
この時のマルクス様は、少し怖い顔をしていた。
国王様とヘンドリック様、も国に関わることを話す時、少し顔付きが変わる。
多分それと、同じなのでしょう。

「ん?どうしたの?ミシェル」
「いいえ。やっぱり、マルクス様とヘンドリック様は兄弟なのだな・・・
 と思っただけでございます」
「へ?だけどそれは、嬉しい言葉だね」
そう言ったマルクス様は、食べかけのプリンを食べた。


その時
コンコンコンコン
と、素早いノックの後、マルクス様が返事をする前に開いた扉の先には、ヘンドリック様が立っていて
「マルクスっ!一人で良い思いをするんじゃないっ」
と言って、入ってこられた。
「あ、兄上?」
「ずるいぞ、マルクス。お前一人でお菓子を堪能するなんて」
「えっ、えぇっ!」
驚くマルクス様を見ながら、ずんずんと歩いてくるヘンドリック様の気迫に、少し後退り気味のマルクス様を見て、私はクスクスと笑った。

「「なんで、笑ってる?」」
2人が揃って、私を見てそう聞く。
「ヘンドリック様があまりに必死で、笑ってしまいました。
 申し訳ございません。
 私の作ったお菓子で、こんなになられるのかと・・・」
「なるよ。美味しいから」
「クスクス、ありがとうございます。
 ですが、ヘンドリック様方の分は、取ってありますよ」
「そうなの?」
「えっ・・・」

私は侍従に、渡して冷やして貰っていたものを持ってきて貰い、ヘンドリック様の前に置く。
「こちらが、ヘンドリック様に渡す予定のものです」
箱を開け、中を確認するヘンドリック様は
「こんなに、たくさん?」
と、首をかしげておられる。
「カサンドラ様と、お召し上がりになられるかと思いまして・・・」
「あぁ、カサンドラの分もか」
「兄上?まさか、独り占めは、しませんよね?」
「し、しない、しない」
「ですよねー。さっき俺にそう言って、詰めよったのですからねぇ」
「マ、マルクス・・・」
そんな2人のやり取りを見て、私はまた笑ってしまった。
さっきとは逆になった2人のやり取りに、この部屋にいる皆が笑っていた。
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