117 / 168
第124話
しおりを挟む
「見ろ。皆に笑われたではないか」
「兄上が飛び込んでこられたのが、原因です」
その後しばらく話をしたヘンドリック様は、カサンドラ様がお部屋にこられたと言う報告を受け、私のプリンを大切に抱えて、急いで部屋を出ていった。
「本当に、急がしい方だ」
「でも、大好きなんでしょ?」
「・・・うん。
出来れば今のまま、お支え出来る位置に居れたらとは思っている」
それは、いつも聞いてる。
ずつと、お兄ちゃん子だったマルクス様。
そのマルクス様が、前世の記憶に気付き、兄との距離が少しおかしくなった時、すぐに気付いたのはヘンドリック様だったらしい。
前世の時は、兄妹だったのが、兄弟の弟だもんね。
さすがに、4歳くらいになると、違和感感じるかも。
53年、お兄ちゃんしてきたんだし。
まぁ、お兄さんの気持ちが分かるから、どうやったら喜ぶかも、予想が出来るのだろう。
私みたいに、歪な兄弟関係じゃなくて良かった。
「ミシェル?どうしたの?」
「えっ!?」
「何か、考えてた?」
「ごめんなさい。ちょっと前と比べてました」
「前・・・って、前世?」
「はい。
私は前も妹で、今もだから変わらないですけど、
マルクス様は、兄から弟だったなぁと」
「あぁ、そう言うの、昔悩んだ」
「昔?」
「んーっと・・・6歳、くらい?」
「6歳・・・」
「それまでは、兄上が引っ張ってくれるから楽だなぁって
思ってたんだけど、学園に先に通い出した兄上を見て、
俺が、頑張らなくて良いのかな・・・って」
「それは、何故?」
「前はさ、ここまで裕福じゃなかったんだ。
両親は居たけど、2人とも仕事優先で、俺と妹はいつも2人で待ってた。
だから、俺がしっかりしなきゃって、ずっと気を張ってた感じかな。
特に、今の俺の年齢の時は・・・」
あっ!2000年に53歳ってことは、今の歳の頃って・・・
1963年は、高度経済成長期。
大人は、仕事仕事に明け暮れてた。
その時代の、子供かぁ・・・
私には、分からない。
私は多分、一番何でもある時代に生まれて、多分マルクス様が子供の頃より、裕福な家だったと思う。
ただ、人間関係が死滅した家だったけど、お金だけはあったから。
「だけど、兄上がなにも一人で、頑張る必要はないんだよな」
「でも、王太子としては・・・」
「うん。そこは兄上が頑張るところだけど、兄上を守る力と
助ける力は、俺も持って良いと思ったから」
「お兄様を守り、助ける力?」
「兄上は、国を支え、国のために行動することを学び、自分が国の顔になる。
だったら俺は、兄上を支え、兄上を助けても良いだろ」
あっ、そっか・・・
なにも、一人で全てを決めていく必要はない。
国の決定は、貴族の・・・そして、民の意見を反映したものだ。
それを話し合う場もあるが、それ以前に国王として、心を決めておくために悩むだろう。
「国王一人で悩んで、答えがでなかった時の相談役・・・みたいな感じですか?」
「そうっ!そんな感じ。支えるのは、そんな感じが出来れば良いなって」
「兄上が飛び込んでこられたのが、原因です」
その後しばらく話をしたヘンドリック様は、カサンドラ様がお部屋にこられたと言う報告を受け、私のプリンを大切に抱えて、急いで部屋を出ていった。
「本当に、急がしい方だ」
「でも、大好きなんでしょ?」
「・・・うん。
出来れば今のまま、お支え出来る位置に居れたらとは思っている」
それは、いつも聞いてる。
ずつと、お兄ちゃん子だったマルクス様。
そのマルクス様が、前世の記憶に気付き、兄との距離が少しおかしくなった時、すぐに気付いたのはヘンドリック様だったらしい。
前世の時は、兄妹だったのが、兄弟の弟だもんね。
さすがに、4歳くらいになると、違和感感じるかも。
53年、お兄ちゃんしてきたんだし。
まぁ、お兄さんの気持ちが分かるから、どうやったら喜ぶかも、予想が出来るのだろう。
私みたいに、歪な兄弟関係じゃなくて良かった。
「ミシェル?どうしたの?」
「えっ!?」
「何か、考えてた?」
「ごめんなさい。ちょっと前と比べてました」
「前・・・って、前世?」
「はい。
私は前も妹で、今もだから変わらないですけど、
マルクス様は、兄から弟だったなぁと」
「あぁ、そう言うの、昔悩んだ」
「昔?」
「んーっと・・・6歳、くらい?」
「6歳・・・」
「それまでは、兄上が引っ張ってくれるから楽だなぁって
思ってたんだけど、学園に先に通い出した兄上を見て、
俺が、頑張らなくて良いのかな・・・って」
「それは、何故?」
「前はさ、ここまで裕福じゃなかったんだ。
両親は居たけど、2人とも仕事優先で、俺と妹はいつも2人で待ってた。
だから、俺がしっかりしなきゃって、ずっと気を張ってた感じかな。
特に、今の俺の年齢の時は・・・」
あっ!2000年に53歳ってことは、今の歳の頃って・・・
1963年は、高度経済成長期。
大人は、仕事仕事に明け暮れてた。
その時代の、子供かぁ・・・
私には、分からない。
私は多分、一番何でもある時代に生まれて、多分マルクス様が子供の頃より、裕福な家だったと思う。
ただ、人間関係が死滅した家だったけど、お金だけはあったから。
「だけど、兄上がなにも一人で、頑張る必要はないんだよな」
「でも、王太子としては・・・」
「うん。そこは兄上が頑張るところだけど、兄上を守る力と
助ける力は、俺も持って良いと思ったから」
「お兄様を守り、助ける力?」
「兄上は、国を支え、国のために行動することを学び、自分が国の顔になる。
だったら俺は、兄上を支え、兄上を助けても良いだろ」
あっ、そっか・・・
なにも、一人で全てを決めていく必要はない。
国の決定は、貴族の・・・そして、民の意見を反映したものだ。
それを話し合う場もあるが、それ以前に国王として、心を決めておくために悩むだろう。
「国王一人で悩んで、答えがでなかった時の相談役・・・みたいな感じですか?」
「そうっ!そんな感じ。支えるのは、そんな感じが出来れば良いなって」
17
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる