私の存在

戒月冷音

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第146話

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その日の朝食はなんとか終わり、私はマルクス様にもう一度謝ってから厨房に行った。
すると、女性の料理人が寄ってきて
「マルクス様に夜這いをかけてもらったんですか?」
と小声で言われた。
私は、一瞬で嫌な気持ちになり
「料理長。
 私はこの方に、私の料理を教えることも、
 食べてもらうこともしたくありません。
 すぐにここから、出てもらってください」
と言った。

「はい?マリーが、何か?」
「夜這いをかけてもらったのかと、聞かれました」
「な、何て事を・・・分かりました。この班から外します」
「ちょっ、料理長?何で」
「マリー、お前は口は悪いが、腕を持っているから、
 この班にいれた。
 だが・・・ミシェル様にその様なことを聞くものは、ここには必要ない。
 何時もの通り、昼前まで休憩に入れ」
「嫌です。私はこの時間の料理を、覚えたいんです」
「では何故、
 この料理を知っていらっしゃるミシェル様に、そのような口を利いた」
そう聞かれたマリーさんは、口をモゴモゴさせるが、声にださない。

「料理長。時間の無駄です。私は準備にかかります」
「分かりました。
 他の者はミシェルさまの手伝いを。マリーはこっちに来て」
「嫌です」
「それを続けると、調理場に二度といれんぞ」
料理長の一声に渋々したがったマリーさんは、すごすごと調理場を出ていく。
その後ろから、料理長も外に出ていった。


「では今日は、一晩寝かせた角煮を挟む生地を作って蒸しあげるのと、
 後はサンドイッチや蒸しパン等の軽食、それからデザートを作ります」
「軽食の品数は?」
「3種ですね」
「デザートは?」
「2種ですね」
「「「了解しました」」」

何時ものように、3グループに分かれてもらい、準備にかかる。
軽食班には、野菜のサンドとランサンド、それからパンをフレンチトースト風にしてもらったものに、チーズとハムを挟んだものの三種をお願いした。
「あの、茹でたランを潰したものに混ぜる、マヨネーズは?」
「昨日のうちに作っておきました。
 分量を守っていれてくださいね。
 入れすぎると、ランではなくマヨサンドになりますので」
「分かりました」
「あの、ブリンの担当ですが、ラン黄多めのと言うのは?」
「昨日分けていますので、この黄色い部分だけを使って作るプリンです。
 前にだしたものより、しっかりしたものになりますので」
「これは、蒸して作るのですね」
「はい。角煮も蒸しますので一緒にと。
 ですから容器に入れるところまでお願いします。
 後、カラメルはしっかりめでお願いします」
「了解です」
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