私の存在

戒月冷音

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第155話

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それでも、こんなに楽しく話すことが出来る。
本当に優しい、大好きな兄妹だ。

「それで?今日はここで、話すだけなのか?」
「そうでしたわ。ミシェル。昼食を準備してあると、かいてあったわ」
「はい。お外でと思ったのですが、
 ちょうど、離宮のガゼボの近くに、満開のお花が咲く
 お庭がありましたので、そこに準備しております」
「お外で・・・って、前みたいに、シートを敷いてってこと?」
オーギュスト家で、たまにやっていた。
お庭にシートを敷いて、皆でそこに座って食べた。

「はい。芝がありますから、その上に敷いても
 良いかなって思ったのですけど・・・」
「それ楽しそうね」
「今度は、そうしようか。でも今は?」
「お腹が空いているから、早く食べたいわ」
「では、行きましょう」
そういうと、お姉様は私の手を取り
「手を繋いでいきましょう」
と、とっても嬉しそうに言った。


「うわー」
「綺麗・・・」
ガゼボのとなりに大きな木があり、可愛らしい真っ赤な花をたくさんつけている。
その木をが揺れるその先に、ついさっきまで作っていた料理が並んでいた。
「ミシェル。これはサンドイッチよね」
「はい。そうです」
「じゃあ、これは?」
「これは、角煮マンと言って・・・」
「やったっ。ミシェルの新作っ!」
その言葉に私は、嬉しくなる。

前世で作ったときは、母にぶちまけられ、姉に踏み潰されたから食べられなかった。
だから、これは私にとっても、はじめて食べる日本料理だった。

「後は?」
「これは・・・「フレンチトースト?」
「でもフレンチトーストは、デザートじゃないの?」
オーギュスト家では、フレンチトーストは蜜や生クリームをつけて食べるものだ。
けれど
「こっちのフレンチトーストは、甘さ控えめで、
 間にハムとチーズを挟んであるので、食事になりますね」
「そうなの?まぁ食べてみれば分かるか」
そう話しているとお姉様がキョロキョロし始める。

「お姉様、何かありました?」
「えっと・・・デザートは、ないのかなぁ・・・と」
「ありますよ。ですが、後のお楽しみです」
「後?」
「はい。今日は、食事をしてから、デザートを出そうと・・・って、
 一緒の方が、よかったですか?」
私は、何時もと違うことがダメだったのかと思い、聞いてみた。
「ううん。違うの。何時もは一緒に出てくるから、気になっただけ・・・」
それを聞いて、ほっとした。

「それじゃあ、ミシェルに感謝して、いただこうか」
とお兄様が言った。
「そうですわね。ミシェル、素敵な食事をありがとう」
「ありがとう。では、「いただきます」」


そうして始まった昼食会は、とっても楽しいものになった。
お兄様が気に入ったのは、角煮マン。
お肉が柔らかく、味もしっかりしているのに、外側の生地がその味を丁度良くしてくれるのが良いと言って、何度もおかわりをしていた。
お姉様は、お気に入りのサンドイッチを食べた後、フレンチトーストを食べて驚愕した。
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