168 / 168
第175話
しおりを挟む
するとマルクス様は、ほっと息を吐き
「ミシェルの前世の家族を、本当に殴り倒したくなってきたな」
と言った。
「ミシェルのその気持ちは、前世からのものだったのなら、
前世がなければそこまで、内に籠ろうとはしなかったはずだ。
俺と同じように、日本の知識を少しずつ広めようとしたはず」
「そうなのかな?」
「すぐにはそう思わなくても、いつかは思う。
この国は、日本より食文化が遅れている。
焼いたり煮たりするのはあるけど、それをいろんな味に
変えていくことはない」
「そうなの?」
「オーギュスト家は、君がいたから最初に変わった。
オーギュスト家のお茶会に出席した人は、他に行くと
物足りないと言うんだ。
でも、俺がここにいても、作り方や料理自体を知らなければ、
何も変えれないと自分で知った。
だって、自分以外誰が日本の味を知ってる?
誰も知らないだろ?」
「確かに、そうですね。
私も作り方を知らなければ、作ってないですね」
「でも、前世の家族が、他人と交わることを止めていたから、
オーギュスト家から、外に出ることはなかった。
だから、俺と会うのも遅くなった」
「で、でも、あまり早く王家に知られていたら、マルクス様ではなく
ヘンドリック様の婚約者になったかもしれないので、
これでよかったのだと思いますよ」
「確かに、それはそうだね」
そんな話をしながら私はオムライスを食べる。
「あのさ・・・」
「はい」
「そのオムライス、少し貰えないかな?」
「えっ、でも美味しくないですよ」
「それは、ミシェルがそう言ってるから分かってる。
でもさぁ、こっちに来てから始めてみる、オムライスなんだよ?
食べたいと思うじゃないか」
「じゃないかじゃないです。これは、私の失敗作なので・・・」
と、そう言ったけれどマルクス様は、じーっとオムライスを見ている。
確かにオムライスは、私にとっても懐かしいもの。
美味しいオムライスは、本当に美味しい・・・
仕方ないかな。
私はそう考えると、オムライスに少しだけ、クフィーをかけてマルクス様に分けた。
「クフィーで、少しは味が付くので・・・
ですが本当に、美味しくないですからね」
「良いの?」
「どうぞ」
「ありがとう。いただきます」
そう言うと、マルクス様はオムライスをスプーンですくって口にいれた。
「確かに、野菜とマイとランの味だけだけど、これはこれで美味しいよ。
クフィーをかけたからかなぁ?」
口の中のものを飲み込んでから、そう話すマルクス様は、とってもうれしそうな顔をしていた。
「ミシェルの前世の家族を、本当に殴り倒したくなってきたな」
と言った。
「ミシェルのその気持ちは、前世からのものだったのなら、
前世がなければそこまで、内に籠ろうとはしなかったはずだ。
俺と同じように、日本の知識を少しずつ広めようとしたはず」
「そうなのかな?」
「すぐにはそう思わなくても、いつかは思う。
この国は、日本より食文化が遅れている。
焼いたり煮たりするのはあるけど、それをいろんな味に
変えていくことはない」
「そうなの?」
「オーギュスト家は、君がいたから最初に変わった。
オーギュスト家のお茶会に出席した人は、他に行くと
物足りないと言うんだ。
でも、俺がここにいても、作り方や料理自体を知らなければ、
何も変えれないと自分で知った。
だって、自分以外誰が日本の味を知ってる?
誰も知らないだろ?」
「確かに、そうですね。
私も作り方を知らなければ、作ってないですね」
「でも、前世の家族が、他人と交わることを止めていたから、
オーギュスト家から、外に出ることはなかった。
だから、俺と会うのも遅くなった」
「で、でも、あまり早く王家に知られていたら、マルクス様ではなく
ヘンドリック様の婚約者になったかもしれないので、
これでよかったのだと思いますよ」
「確かに、それはそうだね」
そんな話をしながら私はオムライスを食べる。
「あのさ・・・」
「はい」
「そのオムライス、少し貰えないかな?」
「えっ、でも美味しくないですよ」
「それは、ミシェルがそう言ってるから分かってる。
でもさぁ、こっちに来てから始めてみる、オムライスなんだよ?
食べたいと思うじゃないか」
「じゃないかじゃないです。これは、私の失敗作なので・・・」
と、そう言ったけれどマルクス様は、じーっとオムライスを見ている。
確かにオムライスは、私にとっても懐かしいもの。
美味しいオムライスは、本当に美味しい・・・
仕方ないかな。
私はそう考えると、オムライスに少しだけ、クフィーをかけてマルクス様に分けた。
「クフィーで、少しは味が付くので・・・
ですが本当に、美味しくないですからね」
「良いの?」
「どうぞ」
「ありがとう。いただきます」
そう言うと、マルクス様はオムライスをスプーンですくって口にいれた。
「確かに、野菜とマイとランの味だけだけど、これはこれで美味しいよ。
クフィーをかけたからかなぁ?」
口の中のものを飲み込んでから、そう話すマルクス様は、とってもうれしそうな顔をしていた。
20
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる