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第174話
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「あのオムライスは、姉にはじめて作った。
晩御飯だったんです。
でも、食べてもらえなかった」
「どう言うこと?」
「姉は、自分が納得しないと食べない人で、あの時は、
親がいなかったから、私に作れと言ったんです。
だから、私が作れるものを作りました」
「うん」
「それを、姉の前に持っていったんです」
「・・・」
「けど、姉の前におく前に、蹴飛ばされました」
「けとば・・・」
「そう言う姉でしたから・・・」
「じゃあ、この持ってきたオムライスは、そのときに作ったってこと?」
そう言われた私は、こくんと頷いた。
「あの時は、姉の分を作っただけだったので、
私はこれを食べなかったんです。
でも、人のために作ったものを、自分が食べなかったって
言うのが、何か気になって・・・
いま作って、食べてみようかなって思って・・・」
「だから一人で、作りたいって料理長に言ったんだ」
「はい。オムライスの美味しい作り方は知ってるし、そっちは
レシピにして、料理長に渡そうと・・・」
「ごめんね。俺がやらかしたんだね。
俺は自分の事しか・・・」
「違うの。ただ私が、自分でけりを付けたかっただけなの。
突然、前世の事を突きつけてごめんなさい」
そう言うと私は、机においてあったオムライスを食べた。
「フフっ・・・私、こんなに味のないオムライスを、出そうとしていたのね」
「味がない?」
「作っていたときに思ったの。
このオムライスは、野菜をいれただけの、ただのご飯と焼いた卵だと」
「それは・・・」
「お出汁もコンソメも、ブイヨンすら入っていない・・・
塩コショウも、入ってないの」
「えっ・・・塩コショウも?」
「そう、だから、塩気もないの。
こんなの、食べたくなくて当たり前だわ」
「でも、人に作ってもらっておいて、蹴飛ばすのはおかしい」
「そうなの?前世の私は、それが当たり前だったのだけれど・・・」
「それは、当たり前じゃない。
君は、前世の家族にあまりに蔑ろにされ、相手が悪くても
自分が悪いと思うようになってたんだね」
「私の家族は、跡継ぎの兄と、優秀な姉だけを大切にしていた。
だから私は親に、可愛がってもらったことも、兄や姉に、
構ってもらったこともないのが、普通の妹と言う立場だと思って居たの」
私は前世で思っていたことを、そのままマルクス様に伝えた。
するとマルクス様は
「君は、オーギュスト家でもそうだったのか?」
と聞いてきた。
私は頭を横に降り
「私の前世での考えは、オーギュスト家で違うと知ったの。
自分は、あの家で愛されていた。
お父様とお母様は私を居ない者としては扱わず、必ず
私の気持ちを聞いてくださった。
私は、あの家に愛されていると思った」
とマルクス様に伝えた。
晩御飯だったんです。
でも、食べてもらえなかった」
「どう言うこと?」
「姉は、自分が納得しないと食べない人で、あの時は、
親がいなかったから、私に作れと言ったんです。
だから、私が作れるものを作りました」
「うん」
「それを、姉の前に持っていったんです」
「・・・」
「けど、姉の前におく前に、蹴飛ばされました」
「けとば・・・」
「そう言う姉でしたから・・・」
「じゃあ、この持ってきたオムライスは、そのときに作ったってこと?」
そう言われた私は、こくんと頷いた。
「あの時は、姉の分を作っただけだったので、
私はこれを食べなかったんです。
でも、人のために作ったものを、自分が食べなかったって
言うのが、何か気になって・・・
いま作って、食べてみようかなって思って・・・」
「だから一人で、作りたいって料理長に言ったんだ」
「はい。オムライスの美味しい作り方は知ってるし、そっちは
レシピにして、料理長に渡そうと・・・」
「ごめんね。俺がやらかしたんだね。
俺は自分の事しか・・・」
「違うの。ただ私が、自分でけりを付けたかっただけなの。
突然、前世の事を突きつけてごめんなさい」
そう言うと私は、机においてあったオムライスを食べた。
「フフっ・・・私、こんなに味のないオムライスを、出そうとしていたのね」
「味がない?」
「作っていたときに思ったの。
このオムライスは、野菜をいれただけの、ただのご飯と焼いた卵だと」
「それは・・・」
「お出汁もコンソメも、ブイヨンすら入っていない・・・
塩コショウも、入ってないの」
「えっ・・・塩コショウも?」
「そう、だから、塩気もないの。
こんなの、食べたくなくて当たり前だわ」
「でも、人に作ってもらっておいて、蹴飛ばすのはおかしい」
「そうなの?前世の私は、それが当たり前だったのだけれど・・・」
「それは、当たり前じゃない。
君は、前世の家族にあまりに蔑ろにされ、相手が悪くても
自分が悪いと思うようになってたんだね」
「私の家族は、跡継ぎの兄と、優秀な姉だけを大切にしていた。
だから私は親に、可愛がってもらったことも、兄や姉に、
構ってもらったこともないのが、普通の妹と言う立場だと思って居たの」
私は前世で思っていたことを、そのままマルクス様に伝えた。
するとマルクス様は
「君は、オーギュスト家でもそうだったのか?」
と聞いてきた。
私は頭を横に降り
「私の前世での考えは、オーギュスト家で違うと知ったの。
自分は、あの家で愛されていた。
お父様とお母様は私を居ない者としては扱わず、必ず
私の気持ちを聞いてくださった。
私は、あの家に愛されていると思った」
とマルクス様に伝えた。
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