5 / 168
第5話
しおりを挟む
それから1ヶ月後。
お父様とお母様が返ってくる日が、伝えられた。
「いちゅ?」
「大急ぎで帰ってこられるようで、明日の昼には到着の予定です」
家令のアルスが、教えてくれた。
「アルチュ。ありあと」
「どういたしまして」
アルスにお礼を言って、兄のもとに向かう。
一歩が小さいから、沢山歩かないといけない。
うんちょ、うんちょ、と言っていると、数人のメイドがハラハラしながらついてくる。
「みなちゃん、おちおとちてくたさい」
はあはあ言いながら、そう言うが、
「ミシェル様が目的地に着きましたら、仕事に戻ります。
なので、頑張ってください」
「あいっ」
私が頑張れば、皆早く戻れる。
そうしてなんとか頑張り、兄の部屋に着いた。
疲れた私の代わりに、着いてきていたメイドがノックしてくれる。
コンコン
「誰?」
「ミシェリュでしゅ」
「えっ!?ミシェル?」
ダダダッ…
と走ってきた後、扉を開けた兄はびっくりして
「何処から歩いてきたの?」
と聞いた。
「アルチュと、おはなちちてからっ」
「アルスさんに、御主人様の帰宅時間を玄関ホールで聞かれた後、
ここまで歩くと言われて…」
「心配でしたので、私達がずっと着いていました」
「抱っことか…」
「自分で行くと、言われまして…」
「抱き上げようとしたら、怒られました」
私の一言から、着いてきていたメイドさんと、侍従の説明が入った。
「そっか…みんなありがとう。ミシェルが頑張れたのは、皆のおかげだ。
ね、ミシェル」
そう言われてこっくりと頷いた後、振り返り
「みなしゃん、ありあとうごじゃ~ました」
と言って、頭を下げた。
しかし頭が重たいせいで、前に転がりかける。
「おっとっと…」
それに気付いた兄の侍従が、私を支えてくれた。
「大丈夫ですか?」
「マークチュ、ありあと」
「どういたしまして。それで、ここに来たのはお兄様に誤用ですか?」
「あい」
「分かりました。では中にどうぞ」
そう言われて中に入ると、ホッと息をはいた。
「ミシェル。どうしたの?」
兄の部屋のソファに座り、マークスが用意してくれたジュースをコクコクと飲んでいると、さっきまでしていたことを終えた兄が横に座って聞いてきた。
私が、コップを持ったまま話そうとすると、マークスがそっとトレイを差し出すので、私はそこにコップを置いてから話し始めた。
「あのね、お兄ちゃま」
「うん」
「おとうちゃまとおかあちゃまが、あしたかえっちぇくゆって、
アルチュからきいたでし」
「そうだね。明日帰ってくるよ」
「お兄ちゃまとお姉ちゃまはおでむかえ、しゅる?」
「?うん。もちろんするよ。ミシェルはしないの?」
「して、良いの?」
「もちろん。何か心配事があるなら、僕らと一緒にいればいいよ。
一緒にお出迎えしよ。絶対喜ぶから」
「ほんちょに?」
「ほんとに」
私は兄の言葉を信じようと思った。この1ヶ月、兄と姉は勉強の時間以外私と一緒に居てくれた。
だから…
お父様とお母様が返ってくる日が、伝えられた。
「いちゅ?」
「大急ぎで帰ってこられるようで、明日の昼には到着の予定です」
家令のアルスが、教えてくれた。
「アルチュ。ありあと」
「どういたしまして」
アルスにお礼を言って、兄のもとに向かう。
一歩が小さいから、沢山歩かないといけない。
うんちょ、うんちょ、と言っていると、数人のメイドがハラハラしながらついてくる。
「みなちゃん、おちおとちてくたさい」
はあはあ言いながら、そう言うが、
「ミシェル様が目的地に着きましたら、仕事に戻ります。
なので、頑張ってください」
「あいっ」
私が頑張れば、皆早く戻れる。
そうしてなんとか頑張り、兄の部屋に着いた。
疲れた私の代わりに、着いてきていたメイドがノックしてくれる。
コンコン
「誰?」
「ミシェリュでしゅ」
「えっ!?ミシェル?」
ダダダッ…
と走ってきた後、扉を開けた兄はびっくりして
「何処から歩いてきたの?」
と聞いた。
「アルチュと、おはなちちてからっ」
「アルスさんに、御主人様の帰宅時間を玄関ホールで聞かれた後、
ここまで歩くと言われて…」
「心配でしたので、私達がずっと着いていました」
「抱っことか…」
「自分で行くと、言われまして…」
「抱き上げようとしたら、怒られました」
私の一言から、着いてきていたメイドさんと、侍従の説明が入った。
「そっか…みんなありがとう。ミシェルが頑張れたのは、皆のおかげだ。
ね、ミシェル」
そう言われてこっくりと頷いた後、振り返り
「みなしゃん、ありあとうごじゃ~ました」
と言って、頭を下げた。
しかし頭が重たいせいで、前に転がりかける。
「おっとっと…」
それに気付いた兄の侍従が、私を支えてくれた。
「大丈夫ですか?」
「マークチュ、ありあと」
「どういたしまして。それで、ここに来たのはお兄様に誤用ですか?」
「あい」
「分かりました。では中にどうぞ」
そう言われて中に入ると、ホッと息をはいた。
「ミシェル。どうしたの?」
兄の部屋のソファに座り、マークスが用意してくれたジュースをコクコクと飲んでいると、さっきまでしていたことを終えた兄が横に座って聞いてきた。
私が、コップを持ったまま話そうとすると、マークスがそっとトレイを差し出すので、私はそこにコップを置いてから話し始めた。
「あのね、お兄ちゃま」
「うん」
「おとうちゃまとおかあちゃまが、あしたかえっちぇくゆって、
アルチュからきいたでし」
「そうだね。明日帰ってくるよ」
「お兄ちゃまとお姉ちゃまはおでむかえ、しゅる?」
「?うん。もちろんするよ。ミシェルはしないの?」
「して、良いの?」
「もちろん。何か心配事があるなら、僕らと一緒にいればいいよ。
一緒にお出迎えしよ。絶対喜ぶから」
「ほんちょに?」
「ほんとに」
私は兄の言葉を信じようと思った。この1ヶ月、兄と姉は勉強の時間以外私と一緒に居てくれた。
だから…
37
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる