私の存在

戒月冷音

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第4話

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あれから2年ー
私は、2歳になった。

あの後から毎日、兄と姉は私の部屋に来るようになった。
最初はぐずっては居たが、一生懸命優しく話しかけてくれる兄と、母に抱っこされる私の手を擦りながら
「可愛いねー」
を、連発していた姉。
私は前とは違うと思いつつ、また同じになったら…という怖さもずっと持っていた。
だからたまに、泣いてしまっていたのだが、それでも諦めず構ってくれた2人を、信じてみようと思った。

それから私は、自分の中で思いつく兄と姉に甘える?…と思える行動を取ってみた。
例えば、兄についてハイハイしたり、姉にくっついて離れなかったりしてみても、嫌がられるどころか嬉しそうに
「おいで、おいで」
と呼びながら待ってくれた兄がいたり、くっついた私の頭を撫でて、楽しそうに体を揺らして構ってくれる姉を見て、前とは違うと理解した。

テチテチと歩く私を、兄と姉が左右で支え優しい笑みを見せてくれる。
それを見ているだけで私は嬉しくなり、2人にぎゅっと抱きつくと2人は嬉しそうに私を抱きしめてくれる。
そんな日が続いた。

そんなある日、ふと気がついた事があった。
私にはまた、両親がいないのか…と。
そして聞いてみた。
「お兄ちゃま。おねぇちゃま」
「「なあに」」
「おとうちゃまと、お母ちゃまは?」
私がそう聞くと、2人は少し困った表情になった。

「えっと…父様と母様は…」
「どう言ったら良いの~。リリス~」
「はい」
リリスと呼ばれた女性は、姉の侍女。
「お父様とお母様の事…」
「ミシェル様」
「あい」
「お父様とお母様は今、お仕事に言っておられます」
「おちおと?」
舌っ足らずな言葉に、この場にいる使用人と兄と姉がほんわかしている。
「そうです。ここでは出来ない仕事ですので、遠くに
 お出かけしていらっしゃるのです」
「おれかけ…」
「1ヶ月ほどかかりますので、その間はアクイラス様とハリエット様とご一緒に
 私達とお留守番…ということになっておりますが、お寂しかったでしょうか?」
心配そうな顔をしてリリスが聞いてくる。
「ううん。しゃみしくにゃい。お兄ちゃまも、おねぇちゃまもやしゃしい」
「「ミシェル~」」
兄と姉が、ガバっと私に抱きつく。

「父様と母様の分も、僕達がいっぱい遊ぶからね」
「お母様が泣いちゃうくらい、可愛がるんだからっ」
姉は、私のお腹にぐりぐりと頭を擦る。
「おねぇちゃま、こしょわい」
「えーい、こしょこしょこしょ…」
キャハハハッと、笑いながらヤイヤイすると、兄が脇に手を入れぐいっと持ち上げてくれた。
「あんまり笑わせ続けるとひきつけ起こすって…」
「あっごめん。やりすぎた」

そうして私達3人はまた、テチテチ歩く私に合わせて行進する。
それを見かけた使用人は、仲良しな姿にほっこりして、また仕事に戻っていく日々を過ごした。
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