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第6話
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そうこうしている間に次の日になり、屋敷中の使用人がドタバタとお迎えの準備をしている。
私にはずっと、姉が着いていてくれる。
兄が姉に、頼んだようだ。
朝起きてすぐ、姉が私のところにやってきて
「昨日兄様から、私はミシェルについていること…ってお願いされたの。
だから今日は、ずーっと一緒にいるよ」
と言って、私の衣装選びから参加した。
乳母と一緒に、これかなあれかなと服を並べていたかと思ったら、
「これね」
と言ったと同時に、着替えが始まった。
そして、終わったと思ったら、私は何故かいちごになっていた。
ほんとにいちご。
頭に緑のヘタがあり、体は真っ赤に白の点々がついた、まんま着ぐるみのようだった。
「お姉ちゃま…」
「ふふふっ、かわいいわぁ」
「お姉ちゃまっ、やーーーーっ」
私がぷりぷりすると
「ごめんごめん。お店で見つけたの。
ミシェルが来たら可愛いだろうなぁ…って思って。
気がついたら買っちゃってたから…こういう時じゃないと出来ないし…
ごめんなさい」
姉は直ぐな謝って、きちんとした服を出してくれた。
「直ぐこっちに変えるから怒んないで~」
口をぷっくりと膨らませてぷりぷりしていると、着替えさせようと姉が動いた。
その時
「ハリエット…それは、何だ?」
「兄様、これは…」
「かわいい。かわいいが、今日のような日に着るものではない」
「はい。すみませんお兄様。すぐに着替えますので…」
「ミシェル。かわいいよ。でもその姿は、私達兄妹の中だけにしようね」
そう言って頭をナデナデしてくれる兄様に、いちごの姿のままピットリとくっついて
「あんちょ」
と言った。
兄も姉の悶えていたが、リリスの
「アクイラス様、ハリエット様。時間は過ぎていきますよ」
と言う声に、私は急いで着替えさせられた。
朝の内になんやかんやあったものの、なんとか時間までに準備が整った。
私は兄と姉に手を引かれながら、玄関に向かう。
見てもらえなかったらどうしよう。
兄と姉だけに話しかけて、私にはなにもない…とか。
そんなことだったら、ここに居たくない…
そんな考えが頭の中をグルグルしている間に、馬車が玄関に入ってきた音が聞こえた。
怖い…こわい…コワイ…恐い…
そんな気持ちに耐えながら、両親が入ってくるのを待つ。
「ただいま。皆、長い間済まなかったね」
お父様の声が聞こえ、使用人が
「おかえりなさいませ。旦那様。奥様」
と答えた。
眼の前に父と母がいる…
そう考えただけで、体が強張る。
前みたいにならないか…保証がないからすごく恐い。
そう思って、その場に立っていると
「えっ!?ええっ!?ミシェルちゃん」
「ミシェル!?」
父と母の声が響いた。
私にはずっと、姉が着いていてくれる。
兄が姉に、頼んだようだ。
朝起きてすぐ、姉が私のところにやってきて
「昨日兄様から、私はミシェルについていること…ってお願いされたの。
だから今日は、ずーっと一緒にいるよ」
と言って、私の衣装選びから参加した。
乳母と一緒に、これかなあれかなと服を並べていたかと思ったら、
「これね」
と言ったと同時に、着替えが始まった。
そして、終わったと思ったら、私は何故かいちごになっていた。
ほんとにいちご。
頭に緑のヘタがあり、体は真っ赤に白の点々がついた、まんま着ぐるみのようだった。
「お姉ちゃま…」
「ふふふっ、かわいいわぁ」
「お姉ちゃまっ、やーーーーっ」
私がぷりぷりすると
「ごめんごめん。お店で見つけたの。
ミシェルが来たら可愛いだろうなぁ…って思って。
気がついたら買っちゃってたから…こういう時じゃないと出来ないし…
ごめんなさい」
姉は直ぐな謝って、きちんとした服を出してくれた。
「直ぐこっちに変えるから怒んないで~」
口をぷっくりと膨らませてぷりぷりしていると、着替えさせようと姉が動いた。
その時
「ハリエット…それは、何だ?」
「兄様、これは…」
「かわいい。かわいいが、今日のような日に着るものではない」
「はい。すみませんお兄様。すぐに着替えますので…」
「ミシェル。かわいいよ。でもその姿は、私達兄妹の中だけにしようね」
そう言って頭をナデナデしてくれる兄様に、いちごの姿のままピットリとくっついて
「あんちょ」
と言った。
兄も姉の悶えていたが、リリスの
「アクイラス様、ハリエット様。時間は過ぎていきますよ」
と言う声に、私は急いで着替えさせられた。
朝の内になんやかんやあったものの、なんとか時間までに準備が整った。
私は兄と姉に手を引かれながら、玄関に向かう。
見てもらえなかったらどうしよう。
兄と姉だけに話しかけて、私にはなにもない…とか。
そんなことだったら、ここに居たくない…
そんな考えが頭の中をグルグルしている間に、馬車が玄関に入ってきた音が聞こえた。
怖い…こわい…コワイ…恐い…
そんな気持ちに耐えながら、両親が入ってくるのを待つ。
「ただいま。皆、長い間済まなかったね」
お父様の声が聞こえ、使用人が
「おかえりなさいませ。旦那様。奥様」
と答えた。
眼の前に父と母がいる…
そう考えただけで、体が強張る。
前みたいにならないか…保証がないからすごく恐い。
そう思って、その場に立っていると
「えっ!?ええっ!?ミシェルちゃん」
「ミシェル!?」
父と母の声が響いた。
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