7 / 168
第7話
しおりを挟む
「何でミシェルがっ!?というか、可愛いっ!?」
「ミシェル。お出迎えしてくれたのかい」
父と母は私がここにいることに驚きを隠せないようで、ワタワタしている。
「ミシェル」
兄に声をかけられ、そちらを見ると、
「一人で、お迎えできる?」
と聞かれた。私がこっくりと頷くと
「じゃあ、お願い」
と言われたので、父と母の方を向いて
「おとうしゃま。おかあしゃま。おかえりにゃさい」
と言った。
「きゃーーーッ!?ミシェルが、ミシェルが喋った~」
母はそう言うと、私の前に跪き、ぎゅーーーーっと抱きしめた。
「うーーーー…お、かあしゃま。く、くるしい」
「あっごめんなさい。嬉しくてつい」
「ミシェル。いつの間にこんなに、話せるようになったんだ?」
「父上、母上。おかえりなさい」
「お父様、お母様。おかえりなさい。私達のこと、忘れないでいただけます?」
「すまん、ハリエット。決して忘れていたわけではない」
「忘れてないわ。ラスもハリーもしっかりしているから、大丈夫と思っていただけ。
でも、ミシェルのこの成長は、予想していなかったの。だから…」
母がそう言った瞬間、兄と姉はハイタッチをした。
「貴方達どうして、そんなに喜んでるの?」
「だって、僕達と話している内に、ミシェルはこんなに話すようになったんだ」
「私のこと、お姉ちゃまって言ってくれるの」
姉が嬉しそうに言うと、父と母はすっごく悔しそうな顔をした。
「私達が家を開けている内に、ミシェルがこんなに育っているなんて…」
母はそう言いながら、ハラハラと泣き始めた。
「おかあしゃま。だいじょうぶ?」
私はポケットからハンカチを取り出し、母の涙を拭くと
「ミシェル、ありがとう。あなたはこんなに、優しい子だったのね」
そう言ってそっと、抱きしめてくれた。
父はそれを見て、優しく頭を撫でてくれる…
頭を撫でてもらうって、こんなに嬉しいことだったのね…
私は今世の父と母が、前世の父と母とは全く違うことを理解した。
今の父と母は、兄と姉と同じでとても優しい人。
今まで居なかったのは、国から与えられた仕事をするために、仕方なく私を乳母に預けていただけで、本当は自分がしたかった…というのがすっごく伝わっていた。
そしてその次の日から、父と母の私争奪戦が繰り広げられるとは、この時の私には想像できなかった。
「ミシェル。お出迎えしてくれたのかい」
父と母は私がここにいることに驚きを隠せないようで、ワタワタしている。
「ミシェル」
兄に声をかけられ、そちらを見ると、
「一人で、お迎えできる?」
と聞かれた。私がこっくりと頷くと
「じゃあ、お願い」
と言われたので、父と母の方を向いて
「おとうしゃま。おかあしゃま。おかえりにゃさい」
と言った。
「きゃーーーッ!?ミシェルが、ミシェルが喋った~」
母はそう言うと、私の前に跪き、ぎゅーーーーっと抱きしめた。
「うーーーー…お、かあしゃま。く、くるしい」
「あっごめんなさい。嬉しくてつい」
「ミシェル。いつの間にこんなに、話せるようになったんだ?」
「父上、母上。おかえりなさい」
「お父様、お母様。おかえりなさい。私達のこと、忘れないでいただけます?」
「すまん、ハリエット。決して忘れていたわけではない」
「忘れてないわ。ラスもハリーもしっかりしているから、大丈夫と思っていただけ。
でも、ミシェルのこの成長は、予想していなかったの。だから…」
母がそう言った瞬間、兄と姉はハイタッチをした。
「貴方達どうして、そんなに喜んでるの?」
「だって、僕達と話している内に、ミシェルはこんなに話すようになったんだ」
「私のこと、お姉ちゃまって言ってくれるの」
姉が嬉しそうに言うと、父と母はすっごく悔しそうな顔をした。
「私達が家を開けている内に、ミシェルがこんなに育っているなんて…」
母はそう言いながら、ハラハラと泣き始めた。
「おかあしゃま。だいじょうぶ?」
私はポケットからハンカチを取り出し、母の涙を拭くと
「ミシェル、ありがとう。あなたはこんなに、優しい子だったのね」
そう言ってそっと、抱きしめてくれた。
父はそれを見て、優しく頭を撫でてくれる…
頭を撫でてもらうって、こんなに嬉しいことだったのね…
私は今世の父と母が、前世の父と母とは全く違うことを理解した。
今の父と母は、兄と姉と同じでとても優しい人。
今まで居なかったのは、国から与えられた仕事をするために、仕方なく私を乳母に預けていただけで、本当は自分がしたかった…というのがすっごく伝わっていた。
そしてその次の日から、父と母の私争奪戦が繰り広げられるとは、この時の私には想像できなかった。
29
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
王子様の花嫁選抜
ひづき
恋愛
王妃の意向で花嫁の選抜会を開くことになった。
花嫁候補の一人に選ばれた他国の王女フェリシアは、王太子を見て一年前の邂逅を思い出す。
花嫁に選ばれたくないな、と、フェリシアは思った。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる