私の存在

戒月冷音

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第7話

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「何でミシェルがっ!?というか、可愛いっ!?」
「ミシェル。お出迎えしてくれたのかい」
父と母は私がここにいることに驚きを隠せないようで、ワタワタしている。

「ミシェル」
兄に声をかけられ、そちらを見ると、
「一人で、お迎えできる?」
と聞かれた。私がこっくりと頷くと
「じゃあ、お願い」
と言われたので、父と母の方を向いて
「おとうしゃま。おかあしゃま。おかえりにゃさい」
と言った。


「きゃーーーッ!?ミシェルが、ミシェルが喋った~」
母はそう言うと、私の前に跪き、ぎゅーーーーっと抱きしめた。
「うーーーー…お、かあしゃま。く、くるしい」
「あっごめんなさい。嬉しくてつい」
「ミシェル。いつの間にこんなに、話せるようになったんだ?」
「父上、母上。おかえりなさい」
「お父様、お母様。おかえりなさい。私達のこと、忘れないでいただけます?」

「すまん、ハリエット。決して忘れていたわけではない」
「忘れてないわ。ラスもハリーもしっかりしているから、大丈夫と思っていただけ。
 でも、ミシェルのこの成長は、予想していなかったの。だから…」

母がそう言った瞬間、兄と姉はハイタッチをした。
「貴方達どうして、そんなに喜んでるの?」
「だって、僕達と話している内に、ミシェルはこんなに話すようになったんだ」
「私のこと、お姉ちゃまって言ってくれるの」
姉が嬉しそうに言うと、父と母はすっごく悔しそうな顔をした。

「私達が家を開けている内に、ミシェルがこんなに育っているなんて…」
母はそう言いながら、ハラハラと泣き始めた。
「おかあしゃま。だいじょうぶ?」
私はポケットからハンカチを取り出し、母の涙を拭くと
「ミシェル、ありがとう。あなたはこんなに、優しい子だったのね」
そう言ってそっと、抱きしめてくれた。
父はそれを見て、優しく頭を撫でてくれる…

頭を撫でてもらうって、こんなに嬉しいことだったのね…

私は今世の父と母が、前世の父と母とは全く違うことを理解した。
今の父と母は、兄と姉と同じでとても優しい人。
今まで居なかったのは、国から与えられた仕事をするために、仕方なく私を乳母に預けていただけで、本当は自分がしたかった…というのがすっごく伝わっていた。

そしてその次の日から、父と母の私争奪戦が繰り広げられるとは、この時の私には想像できなかった。
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