私の存在

戒月冷音

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第54話

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それから、お母様とマリーシエル様、そしてヘンドリック様とは別に、宰相様…ルークス・マルガン公爵様がお父様と私達兄妹に、国王様との面会の話をしてくださった。

話によると、最初にお伝えしたのは側妃マルが様で、マルクス様が気になっている令嬢が居ると言ったそうだ。
しかし名前を聞いてみると、まだデビューも終わっていない令嬢で、オーギュスト家の中で唯一、会ったことのない令嬢だった。
そうなると気になるもので、この前のお茶会に顔を出そうと思い、途中まで行ったが、王妃に会い断念されたそう。
その後、マルクス様から直接、ミシェル・オーギュスト公爵令嬢と婚約してもいいかという打診を受けた。
けれど、自分が全く知らない以上、呼び出してでも会ってどういう令嬢なのか知りたいというのが、国王陛下の要望だった。

「あのお茶会の時、途中まで来られていたのですか?」
「…はい。ですが、多分戻ってこられた時でしょう。
 王妃に会ってしまい、何故か不貞腐れていたので、機嫌を直してもらう為に
 王妃について戻ったそうです」

あぁ…折角のチャンスを…
本当にあの方が王妃様なんですよね~国王様、マルガ様と交換なさいませんか?
私がそんな事を考えると、お兄様がジトッとこっちを見る。
言いません。言いませんよ。
私はすぐにそっぽを向き、お父様を見た。

するとお父様は、しょんぼりとしていた。
「お父様?」
「ん?あ、あぁ…どうした?」
「大丈夫ですか?なにか顔色が悪いような…」
「大丈夫よ、ミシェル。お父様はちょっと、淋しくなっているだけだから」
「どうして…」
「貴女が、マルクス殿下に取られてしまうと、思っていらっしゃるのよ」

お父様は本当に…前世の父と、大違い。
兄妹がいようと皆、同じ様に大切にして下さる。
もちろん、お母様も同じ。
本当に私は、この家に生まれてよかった。
絶対に前世の親の元には、帰りたくない。

「お父様。私はマルクス様に嫁いだとしても、ずっとお父様の娘ですわ。
 それだけは、何も変わりません」
「本当か?」
「あら?私が大切なお父様を、蔑ろにするとでも言いたいのですか?
 お父様に、そんなふうに思われていたなんて…私、わた…」
顔を隠し、下を向く。
「ご、ごめん、ミシェル。そんな事は思ってはいない。
 私にとって、大切な娘だ。そこは絶対にお父様も変わらんぞ」
「ほんと?」
「本当だ。私の大切な娘だ」

そんなこんなありつつ、国王陛下との面会の日が決定した。
当日には、私の家族は皆、参加する。王家の方は当日、集まったものということになった。


そして…あっという間に、当日の朝となった。
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