78 / 168
第82話
しおりを挟む
私は前世を思い出し、カタカタと震えた。
まさか…まさか…
私と同じく、姉や兄がこの世界に転生していても、おかしくない。
実際、マルクス様は、前世の世界で53年生きてから、私と同じ今に転生している。
兄や姉が此処に居ても、おかしくない。
「ミシェル嬢?大丈夫ですか?」
私の震えに気が付いたのか、マルクス様が心配する。
「だ、大、丈夫…です」
一生懸命話すが、言葉にならない。
「ではなさそうですね」
そう言ったマルクス様は、私を抱き上げ、歩き出す。
「あ、あの…」
「捕まっていて。部屋まで行くから」
「で、でもメリア殿下は…」
「あぁ。あの人は多分、この後王妃様に文句を言いに行くくらいだよ。
その後は、強制的に隣国に帰ってもらって、父上から講義してもらう。
ミシェルを侮辱したこと…絶対に、俺は許さないから」
マルクス様が、本当に起こっていることが伝わってきて、私は何も言えなくなった。
そして同時刻……
やはり、ルイス第2王子殿下も同じようなことをしていた。
「やぁ、ミシェ…じゃなかった、カサンドラ嬢」
「何の用かな?ルイス」
「ヘンドリック。君はお呼びじゃないんだ。どっかに行ってくれないか?」
「君は今、誰の国にいるのかな?」
「誰の国って、エルディニアに居る」
「はぁー…エルディニアは、俺の国だ。お前の好きには出来ない」
「出来るよ。君の母上は、俺の言う事をよく聞いてくれる」
「あぁ。だから今、俺に相手にされなくて板挟みになってるんだ」
「何だってっ!何でそんなひどいことを」
ルイスは、自分の事を棚に上げてそんな事を言う。
「母上は、敬うべきだ」
「だったら国に帰って、自分の母を構えよ」
「あれは、母ではない」
「そうか、じゃあ失礼するよ。カサンドラ、行こうか」
そのままルイスを放置し、歩き出そうとした時、ルイス様は何故か、ヘンドリック様と逆位置に立ち、カサンドラ様の手を取った。
「カサンドラ。俺と一緒に来てくれるね?」
そう言って、満面の笑みを浮かべたルイス様。
しかし、カサンドラ様は
「手をお離しください」
そう言って、気持ち悪いようなものを見る様な目を、向けた。
「な、何故?そんな…」
ルイス様は何故、そんな目を向けられるのか理解らない。
「私はヘンドリック様の婚約者です。
私が愛しているのは、ヘンドリック様お一人。
汚らわしい手で、触らないで」
「け、汚らわしいとは?」
「貴男が言っていることは、不貞を働けと私に言っているようなもの。
そのような方を、汚らわしいと言って何が悪いのですか?」
「私が、貴女をお慕いしているのですよ?」
「それが?」
「なぜ、靡かないのですか?」
「趣味じゃないですから」
「へ?」
「私は、ヘンドリックを愛しているの。貴男等、彼の足元にも及ばないわ」
カサンドラ様のその言葉に、やっと自分がカサンドラに好かれないと理解したルイスは
「うわーーーーっ」
と叫びながらその場を後にし、王妃の部屋へと駆け込んだ。
そして、兄妹揃って振られたと理解した2人は、王妃に帰国を宣言して、次の日に自分の国へと帰っていった。
まさか…まさか…
私と同じく、姉や兄がこの世界に転生していても、おかしくない。
実際、マルクス様は、前世の世界で53年生きてから、私と同じ今に転生している。
兄や姉が此処に居ても、おかしくない。
「ミシェル嬢?大丈夫ですか?」
私の震えに気が付いたのか、マルクス様が心配する。
「だ、大、丈夫…です」
一生懸命話すが、言葉にならない。
「ではなさそうですね」
そう言ったマルクス様は、私を抱き上げ、歩き出す。
「あ、あの…」
「捕まっていて。部屋まで行くから」
「で、でもメリア殿下は…」
「あぁ。あの人は多分、この後王妃様に文句を言いに行くくらいだよ。
その後は、強制的に隣国に帰ってもらって、父上から講義してもらう。
ミシェルを侮辱したこと…絶対に、俺は許さないから」
マルクス様が、本当に起こっていることが伝わってきて、私は何も言えなくなった。
そして同時刻……
やはり、ルイス第2王子殿下も同じようなことをしていた。
「やぁ、ミシェ…じゃなかった、カサンドラ嬢」
「何の用かな?ルイス」
「ヘンドリック。君はお呼びじゃないんだ。どっかに行ってくれないか?」
「君は今、誰の国にいるのかな?」
「誰の国って、エルディニアに居る」
「はぁー…エルディニアは、俺の国だ。お前の好きには出来ない」
「出来るよ。君の母上は、俺の言う事をよく聞いてくれる」
「あぁ。だから今、俺に相手にされなくて板挟みになってるんだ」
「何だってっ!何でそんなひどいことを」
ルイスは、自分の事を棚に上げてそんな事を言う。
「母上は、敬うべきだ」
「だったら国に帰って、自分の母を構えよ」
「あれは、母ではない」
「そうか、じゃあ失礼するよ。カサンドラ、行こうか」
そのままルイスを放置し、歩き出そうとした時、ルイス様は何故か、ヘンドリック様と逆位置に立ち、カサンドラ様の手を取った。
「カサンドラ。俺と一緒に来てくれるね?」
そう言って、満面の笑みを浮かべたルイス様。
しかし、カサンドラ様は
「手をお離しください」
そう言って、気持ち悪いようなものを見る様な目を、向けた。
「な、何故?そんな…」
ルイス様は何故、そんな目を向けられるのか理解らない。
「私はヘンドリック様の婚約者です。
私が愛しているのは、ヘンドリック様お一人。
汚らわしい手で、触らないで」
「け、汚らわしいとは?」
「貴男が言っていることは、不貞を働けと私に言っているようなもの。
そのような方を、汚らわしいと言って何が悪いのですか?」
「私が、貴女をお慕いしているのですよ?」
「それが?」
「なぜ、靡かないのですか?」
「趣味じゃないですから」
「へ?」
「私は、ヘンドリックを愛しているの。貴男等、彼の足元にも及ばないわ」
カサンドラ様のその言葉に、やっと自分がカサンドラに好かれないと理解したルイスは
「うわーーーーっ」
と叫びながらその場を後にし、王妃の部屋へと駆け込んだ。
そして、兄妹揃って振られたと理解した2人は、王妃に帰国を宣言して、次の日に自分の国へと帰っていった。
18
あなたにおすすめの小説
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。内容も少し変更しておりますので、あわせてお楽しみください。
【完結】あいしていると伝えたくて
ここ
恋愛
シファラは、生まれてからずっと、真っ暗な壁の中にいた。ジメジメした空間には明かり取りの窓すらない。こんなことは起きなかった。公爵の娘であるシファラが、身分の低い娼婦から生まれたのではなければ。
シファラの人生はその部屋で終わるはずだった。だが、想定外のことが起きて。
*恋愛要素は薄めです。これからって感じで終わります。
マジメにやってよ!王子様
猫枕
恋愛
伯爵令嬢ローズ・ターナー(12)はエリック第一王子(12)主宰のお茶会に参加する。
エリックのイタズラで危うく命を落としそうになったローズ。
生死をさまよったローズが意識を取り戻すと、エリックが責任を取る形で両家の間に婚約が成立していた。
その後のエリックとの日々は馬鹿らしくも楽しい毎日ではあったが、お年頃になったローズは周りのご令嬢達のようにステキな恋がしたい。
ふざけてばかりのエリックに不満をもつローズだったが。
「私は王子のサンドバッグ」
のエリックとローズの別世界バージョン。
登場人物の立ち位置は少しずつ違っています。
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
村で薬師として過ごしていたセラは、
ハープの音に宿る才を王弟レオに見初められる。
その出会いは、静かな日々を終わらせ、
彼女を王宮の闇と陰謀に引き寄せていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる