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茜色

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ひとつに溶けあう恋

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「おまえの気持ちを迷惑に思うなんてあり得ないし、仕方なく抱いたなんて全然違うよ。そんなふうに思ってたのか?」
 頬に触れる藤堂さんの指に自分の指を重ね、私は小さく頷いた。
「お互いに、誤解してたのか・・・」
 藤堂さんは可笑しそうにフッと笑った。
「言葉が足りなすぎたんだな、二人とも」

 私は自分のワガママを押し付けて藤堂さんを困らせたと思っていた。
 失恋を愚痴って無理に抱いてもらったくせに、あっという間に藤堂さんに夢中になってしまったことに引け目を感じたし、追いかける権利もないと思った。これ以上私の相手なんてしたくないだろうと勝手に想像していた。でも藤堂さんは藤堂さんで、自分は元カレの身代わりでしかないと遠慮していた。

「数日後には札幌に転勤だったからな。いつこっちに戻ってこられるかも分からなかったし、何の約束もできない。あのタイミングでおまえを好きになってもっと一緒にいたいと願ったところで、難しいのは分かってた。何よりおまえはまだ別れた男を忘れてないと思ってたし」
 藤堂さんは私の手を優しく握り返しながら、当時を懐かしむ声で続けた。
「でも、あっちに行ってから後悔したなぁ。なんでおまえを置いて先にホテルを出てきちまったんだろうって。すぐにはどうにかできなくても、もっとあの先に繋げていける上手いやり方があったんじゃないかって」
 お互い連絡先も聞かなかった。会社を通してコンタクトを取る勇気もなかった。どちらも、自分の片想いだと思い込んでいたから。

「私、あのときフラれて落ち込んでたけど、元カレに未練があったわけじゃないんです。一人ぼっちの自分が悲しかっただけ。あのとき藤堂さんにあんなふうに救いを求めたのは、他の誰でもなく藤堂さんだったから。眼の前にいる藤堂さんを見ていたら、このひとに抱きしめてもらいたいって心から想ったんです。他の人だったら、さっさとタクシーに乗って帰ってました」
 藤堂さんの眼の奥に、救われたような感情が見えた気がした。仕事ができてカッコ良くて、いつも自信に満ちて見えるのに、本当は結構繊細で臆病なところもある藤堂さん。私はこのひとのことが、本当に本当に大好きだと心から想った。

「・・・これ、覚えてますか?」
 私はベッドから身体を伸ばし、椅子の上に置いていたバッグを引き寄せた。お財布を手に取り、内側のポケットの一つから折り畳んだ小さな紙片を取り出す。
 あれから何度も何度も、落ち込んだり淋しくなるたびに広げて読み返しては自分を奮い立たせていたメッセージ。もう紙は古びてヨレヨレになっている。

 『庄野鞠子、自信を持て。おまえは可愛くて、いい女だ』

 藤堂さんは5年前の自分が書いた置き手紙を見てひどく驚いた。それからものすごく照れくさそうに笑って、「こんなキザなことしてたんだな」と鼻の頭を擦った。
「これ、私のお守りです。何かあるたびに、これを見ると藤堂さんに勇気づけられる気がして」
 藤堂さんが私の眼をじっと見つめてきた。少し潤んで見えるのは気のせいだろうか。

「藤堂さん、私も藤堂さんが好きです。ずっと忘れられなくて、再会してもっと好きになっちゃいました。大好き。・・・愛してます」
 私は熱くなる頬を隠すように、藤堂さんに思いきり抱きついた。すぐに背中に回される大きな手のぬくもりに、喜びの涙があふれ出す。
「・・・鞠子。俺、これからもずっとこの家にいていいか?もうマンションには戻りたくない。ここで、おまえとずっと一緒に暮らしたい」
 それこそ私が心から望んでいることだった。私は大きく頷くと、涙顔で微笑みながら愛するひとにそっとくちづけた。


 それから藤堂さんと私は、狭いベッドの上で裸になって抱きあった。
 肌を重ねた瞬間から、痺れるほどの甘い快感に襲われて気が遠くなりかけた。本当の想いを伝えあって、何も遠慮せずに身体を合わせる。そんなシンプルなことが、これほどの幸福感と快楽を呼び起こすのかと驚かされた。
 藤堂さんの体温は私より少し熱くて、身体ごと包まれているとそれだけでせつないほど安心する。皮膚がぴったりと溶け合うような感覚は、「このひとしかいない」という確信を私に抱かせた。愛するひとと裸で抱きあうこと以上に心地良いことなんて、きっとこの世に存在しないと心から思えた。

 ひとしきり私の乳房を味わっていた藤堂さんは、今度は私の両脚の間に顔を埋め、一番敏感な場所に唇を押し当てた。私は深く息を吸い込み、思わず自分の指先を噛んだ。
 ものすごく恥ずかしいのに、私はひどく興奮していた。熱い唇でクリトリスをチュッと音をたてて吸われただけで、腰がひくひく浮いてだらしない声が漏れる。
 藤堂さんは、私の紅く尖った花芽を転がすようにいやらしく舐めた。そうしながら長くて骨の太い指で秘裂を掻き分け、窪みの奥へと優しく挿入してくる。私のそこはお尻の方までつたうほど愛液が滴っていて、もっともっととねだるように藤堂さんの指を呑み込んだ。中で蠢く指が2本に増やされ淫らに掻き回されると、私は悲鳴を上げながら藤堂さんの髪を強く掴んだ。

 私も藤堂さんを気持ちよくしてあげたい。
 そんな気持ちが自然に湧きあがってきて、自分から藤堂さんの腰の方へと顔を近付けた。そそり立っているペニスに手を伸ばして触れると、藤堂さんが愛おしそうに私のお尻を撫で始めた。
 勃起した塊に唇を寄せ、そっとしゃぶってみる。藤堂さんの息が乱れるのが分かって、すごく嬉しくなった。もっと吐息を聞きたい。藤堂さんの感じている声を独り占めしたい。
 手で愛撫し、擦り上げながら先端を舌で舐めまわす。裏側も丁寧に舐め、袋の部分も優しく握ると藤堂さんが呻くような熱い吐息を漏らした。
「すごい・・・気持ちいいよ。もう、出そうになる・・・」
 こんな行為は初めてなのに、不思議と本能で手や口が動いている。愛する人をもっと感じさせたい。そんな気持ちが奉仕というカタチになることを、今夜私は身をもって知った。

 藤堂さんが、私の腰を掴んだ。自分は仰向けになり、私の下半身が藤堂さんの顔の方へ来るように大きく向きを変えさせる。
 私の性器が藤堂さんの顔の上に乗る形になった。こんな姿勢は死にそうなほど恥ずかしい。なのに、まるで獣になったような淫らな感情に私はますます濡れてしまう。
 私の秘部が藤堂さんの舌で優しく舐め上げられた。とろけるような快感に身体が震える。私は余裕を失くしながらも、藤堂さんのますます硬くなるペニスを必死に頬張った。
 膣内が熱い舌で愛撫され、淫靡なほどに腰が揺れてしまう。気持ち良すぎて私の手と口の動きが疎かになってきた。藤堂さんのペニスの先から少し塩気を感じる汁が出てきたので、私は息を乱しながらその光る液を舌ですくい取って舐めた。

「ダメだ、もう挿れたい」
 藤堂さんがせつなげな声とともに身体をずらして起き上がった。
 シーツにうつ伏せるような体勢を私に取らせる。藤堂さんは私の腰を後ろから抱くと、硬く張りつめたペニスを濡れた窪みに当てがった。
 ぬぷっ・・・と押し入るように背後から挿入され、お腹の深いところに強い圧迫感を感じた。
「あっ、ああっ・・・!」
 四つん這いになって喘ぎながら、藤堂さんの熱をはらんだモノに激しく突かれる。シーツをきつく掴んで揺さぶりに耐えているうちに、じんわりと抗えない快感が内側から生じてきた。

「はっ、あぁっ・・・!」
 苦しさと、敏感なところをえぐられるせつない快楽に涙が滲みそうになり、私はお腹に回された藤堂さんの腕に爪を立てた。荒い息を吐きながら顔を後ろに向けると、すぐに唇がふさがれる。舌が淫らに絡みあって、自分の膣がきゅうっと締まるのが分かった。
 何度も突きながら、藤堂さんが指先で私のクリトリスを円を描くように捏ねまわす。電流が走るような鋭い快感に腰がびくびく揺れてしまう。
「あ、あ、それダメ・・・!変になっちゃう・・・!」

 一度動きを止めた藤堂さんが、しゃぶるように私の唇を吸った。キスの濡れた音が耳に響き、ますます淫靡に煽られていく。
 藤堂さんは背後から私に挿入したまま、今度はベッドに腰かける体勢を取った。身体を起こされた私は、藤堂さんの膝の上で背後から抱かれる形になる。膣内には硬いペニスを挿れられたままだ。なぜかとても興奮してしまい、少し動くたびにグチュッと蜜がこぼれ出る音が漏れた。
「この体勢だと、挿れたまま両方触ってあげられる」
 藤堂さんは私の耳に舌を差し入れながら囁き、胸とクリトリスを同時にいじり始めた。
「あ、はぁあ・・・っ!ああン・・・っ」
 クラクラするほどの痺れそうな快感。身体がしなり、激しく息が乱れた。私は完全に藤堂さんのセックスに呑み込まれてしまった。

 左手で乳房を揉みしだかれ、右手で性器を優しく愛撫される。そのうえ膣内は熱く猛ったペニスでぐりぐりと攻められているのだから、おかしくなって当然だった。
 私の喘ぎが激しくなると、今度は唇をふさいで翻弄される。もう何が何だか分からなくなった。
 藤堂さんの唇の吸い方はとても甘い。ちゅるっ、ちゅっと滴るような音をたてながら、私の唇と舌をメロメロにさせてしまう。
 頭がぼうっとしてきた。こんなキスをされながら、身体はもっと限界まで追い込まれている。
「鞠子。気持ちいいよ。おまえの全部が気持ちいい」
 そんなセリフを耳元で囁かれ、私の頭はショートしそうだった。


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