【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
31 / 73

第31話 悪戦苦闘の末

しおりを挟む
 うんしょ。うんしょ。
 大きいから持って歩くのも大変なんだけど……。

 「うーん。手がだるくなってきた……」

 『自分より大きな袋だからな……。で、なぜに鳥の巣などを取りに行くのだ?』

 「え? だって木の上なら安全じゃない?」

 『一ついいか? 木の上がもし安全であったとしても、それまでの道のりは安全ではないだろう?』

 「……あ、本当だ!」

 『はぁ……まあいい。いざとなったら我が何とかする』

 「え? 何? ごめんね。今色々と……おっとっと」

 チェトと会話する余裕もないよう。

 ――『持つ』の条件が整いました。『持つ』を作成しますか?

 うん? やったぁ! よくわかないけど覚えた!

 「はい」

 ――『持つ』のスキルを取得しました。

 「あ、持ちやすくなった。そうだ!」

 持つ事に関するスキルないかな?
 『背負う』――大きな物を背中に乗せて五分間移動する。

 よし、これだ。
 僕は、袋を背中に乗せた。

 「うんしょ……」

 『おぬしはある意味、凄いな。注目されても全然気にしないのだからな』

 「え? 注目?」

 辺りを確認したいけど、重いから腰を曲げてないと無理。
 頑張ってよろよろと五分間歩いた。

 ――『背負う』の条件が整いました。『背負う』を作成しますか?

 「はい」

 ――『背負う』のスキルを取得しました。

 「すご! 軽くなった!」

 これで走れる! よかった。

 「で、なんだっけ? チェト」

 『うん? いや何でもない。それより腰は大丈夫なのか?』

 「うん。平気だよ。心配してくれてありがとう。じゃ行こう!」

 僕は、もらった地図を頼りに走り出した。

 『待て! ここから走るのか? 街から出てからでなくていいのか?』

 「あ、そうだね。人にぶつかるかもね!」

 『いや、そうじゃないんだが。まあそういう事にしておこう』

 チェトにアドバイスをもらい、街の外から僕達は走り出した。袋が風を受けて走りづらいったらありゃしない。

 これ、引っ張ったらダメかな?
 えーと。あった! 引っ張るって言うスキル!

 『引っ張る』――重い物を五分間引っ張って移動する。

 そういう事で、一旦走るのをやめて重いけど頑張って引っ張った。

 ――『引っ張る』の条件が整いました。『引っ張る』を作成しますか?

 「はい」

 ――『引っ張る』のスキルを取得しました。

 「ふう。これでよしっと」

 『大丈夫なのか? さっきから苦労しているようだが』

 「問題ないよ。じゃまた走るよ」

 『走るのか! よしきた!』

 僕は袋を引っ張って走り出した。あまり重さを感じない! スキルって凄いなぁ。これならまた来年も引き受けてもいいかもしれない!

 ――『持ち上げる』の条件が整いました。『持ち上げる』を作成しますか?

 うん? 持ち上げる?
 走りながら後ろを振り向くと、袋が浮いていた! って、持つと持ち上げるの区別ってどこ!?
 まあいいか。

 「はい」

 ――『持ち上げる』のスキルを取得しました。

 「ねえ、チェト見て見て!」

 袋を頭上に持ち上げてみた。

 「あ、これに乗る?」

 『面白そうだな』

 袋を下ろすと、チェトがぴょんと飛び乗った。それをまた頭上に持ち上げた。

 『これは楽しいぞ!』

 走り出すとチェトが喜んでくれた。うん、覚えてよかった。



 チェトと二人森の中にやっと入った。結構奥に行くけどチェト大丈夫かな?

 「チェト、抱っこする?」

 『我は大丈夫だ。それよりこっちであってるのか?』

 「うん。たぶん、あれだと思うんだよね」

 森に入る前から見えていた大きな木のてっぺん。木々の間から見えるからそれを頼りに進んでいた。
 これ帰りは夜になりそうだな。うううう。真っ暗な森は嫌だなぁ……。

 しばらくしたら少し開けた場所に出て、大きな大きな木が一本立っていた。さっきから見えていた木だ。

 「本当に大きいね」

 『確かにこれだと人間が普通に登るのは無理だろうな』

 チェトも見上げて言った。

 うーん。この袋を持って登れるのかな?
 あ、そうだ!

 「てい!!」

 僕は木のてっぺんに向けて、袋を思いっきり投げつけた! 袋は見事に枝に突き刺さった。

 「よし!」

 『たまにおぬしは、豪快だな』

 「えへへ。じゃ、ちょっと行ってくるね」

 『一人で大丈夫か?』

 「たぶん? 危なさそうならそのまま一旦降りてくるよ」

 『気を付けてな』

 「うん」

 僕は、この大きな木を登り始めた。木登りに木の大きさは関係ないみたいで、サササッと僕は登って行った。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ

柚木 潤
ファンタジー
 薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。  そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。  舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。  舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。  以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・ 「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。  主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。  前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。  また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。  以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。  

本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?

今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。 バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。 追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。 シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活

アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
 名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。  妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。  貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。  しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。  小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。

処理中です...