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第68話 聖なる遣い
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「ついたぞ」
そう言って起こされて降りたら知らない建物の前だった。
「どこここ」
「病院だ」
ダダルさんが近づいて来て答えた。
「奴隷リングを着けられた者は、外した後に病院で検査を受ける事になっている」
「そうなんだ」
でも着けていたのって、ちょっとの間だったんだけどね。
検査の為、僕とジョアラさんは一日だけ入院する事になった。因みに強制なので、費用はかからないらしい。
□
「はぁ。やっと検査終わった」
僕は、部屋のベットに腰掛けた。
奴隷リングを外して検査した人は個室らしい。凄く狭いけど。基本一日しか泊まらないからみたい。ちゃんとした結果が明日にでるから結果が出たら退院。
トントントン。
うん? 誰だろう。
「はい?」
「どうだ?」
あ、ダダルさんとユイジュさんだ。
「やっと終わった。チェト達は?」
「大丈夫だ。セードがちゃんと家に送り届けているはずだ」
「うん……」
チェト達は、病院に入れてもらえなかったので、お家に先に帰ってもらう事にした。お母さんがいるので、ご飯も当たるしその方がいいだろうってダダルさんが言ってそうなった。
「ちょっと聞くが、あいつらはお前に何をさせようとしていた?」
「え? あいつらって?」
「お前な……捕まえたやつらの事に決まってるだろう」
ダダルさんの質問に聞くと、ユイジュさんにそう言われてしまった。
「うーん。マトルドに何かさせたかったようだけど、教えてくれなかった」
「やっぱりユニコーンだと知っていたって事か」
「うん。ユニコーンの角の袋を取れって言われた」
「正確には何と言われたんだ?」
なんでそんな細かい事をダダルさんは聞くんだろう?
「たしか、角の部分を隠している物を取れだったかな? あ、そう言えば僕を囮に使ったってどういう事?」
後で教えてくれると言っていたはず。
「お前、馬屋の主人にユニコーンの事を話しただろう?」
「え? ユニコーンだとは言ってないよ」
「……言ってはいないが、角を隠したという様な事を言っただろうが」
ユイジュさんに言われたけど、そうだっけ?
「まあそれでだな。その主人が、今回の者たちと繋がりがあるかもしれないと踏んで、ユイジュも行かせたんだ」
「え~!! なんで何も教えてくれなかったの?」
悪い奴だと知っていれば、掴まえたのに。
「まずは証拠だ。お前ごとユニコーンを手に入れようとすれば、その主人がからんでいるだろうからな」
「あのソウが出て来て確信した」
「え? あの人の事を知っていたんだ」
「そうじゃなくて、お金がないといいながら着ている物は良い物だったんだ。もしあの場所に住んでいたのならあの格好はないだろうし、それに馬小屋も柵もない場所で馬を飼うはずがない。大切な馬が逃げるだろう」
「あ、そう言えば、馬小屋なんてなかった」
僕がそう言うと、だろうとユイジュさんは頷く。
「だから馬を調べたら案の定、錬金術ではなかった。だがまさか、あんな手で来るとはな……」
はぁっとユイジュさんは、ため息をつく。
「まあお前達は囮だから、相手が動き出すのを待っていた。あのソウという奴は、お前達を捕まえる役目。指示した相手に接触するまで泳がせておいたんだ。いやぁ、チェトが追いかけてくれたお蔭で、俺達が目立たなくてすんだ」
「………」
チェトまで使うなんて!
「まあ、そんなにむくれるなって」
「マトルドはちゃんと、戻って来る?」
「あぁ。大丈夫だ」
「もうマトルドを囮にしないでね!」
「そう思うならユニコーンだとばれないようにな」
僕はダダルさんの言葉に頷いた。
と、その時ドアがバンと開けられ、見ればジョアラさんだ。
「……お、女よね?」
「え? 僕って女に見えていたの?」
入って来て唐突に驚く事を聞かれた。
「見えなかったけど、今、男だと聞いて……聖なる乙女ではないの?」
「うん?」
なぜ男に見えるのに女だと?
聖なる乙女……そう言えば、馬車の中でもそんな事を言っていた。
「ロマドは、正真正銘の男だ。ちょっと変わっているけどな」
とダダルさん。
「え……聖なる乙女ではなかったの?」
「えーと……」
「男だと言っただろう?」
と、またダダルさんが答えた。
「でも聖獣とも話していたわ」
「話せるらしいな」
と、ユイジュさん。
「それでも聖なる乙女ではないの?」
「では逆に聞くが、聖なる乙女は聖獣と話せるのか?」
「……いえ」
ジョアラさんは、僕をジーッと見つめている。そして、はぁっとため息をついた。なぜだ。
「そうよね。ユニコーンではなかったのね」
何かわからないけど、マトルドがユニコーンではなくてがっかりしたみたい。
「ユニコーンって凄いの?」
「そうよ。私の国ではユニコーンは、聖なる遣いで聖なる乙女はユニコーンから力を授かる者とされているの」
「へえ。凄かったんだ」
マトルドは聖なる遣いだったのか。
そう言って起こされて降りたら知らない建物の前だった。
「どこここ」
「病院だ」
ダダルさんが近づいて来て答えた。
「奴隷リングを着けられた者は、外した後に病院で検査を受ける事になっている」
「そうなんだ」
でも着けていたのって、ちょっとの間だったんだけどね。
検査の為、僕とジョアラさんは一日だけ入院する事になった。因みに強制なので、費用はかからないらしい。
□
「はぁ。やっと検査終わった」
僕は、部屋のベットに腰掛けた。
奴隷リングを外して検査した人は個室らしい。凄く狭いけど。基本一日しか泊まらないからみたい。ちゃんとした結果が明日にでるから結果が出たら退院。
トントントン。
うん? 誰だろう。
「はい?」
「どうだ?」
あ、ダダルさんとユイジュさんだ。
「やっと終わった。チェト達は?」
「大丈夫だ。セードがちゃんと家に送り届けているはずだ」
「うん……」
チェト達は、病院に入れてもらえなかったので、お家に先に帰ってもらう事にした。お母さんがいるので、ご飯も当たるしその方がいいだろうってダダルさんが言ってそうなった。
「ちょっと聞くが、あいつらはお前に何をさせようとしていた?」
「え? あいつらって?」
「お前な……捕まえたやつらの事に決まってるだろう」
ダダルさんの質問に聞くと、ユイジュさんにそう言われてしまった。
「うーん。マトルドに何かさせたかったようだけど、教えてくれなかった」
「やっぱりユニコーンだと知っていたって事か」
「うん。ユニコーンの角の袋を取れって言われた」
「正確には何と言われたんだ?」
なんでそんな細かい事をダダルさんは聞くんだろう?
「たしか、角の部分を隠している物を取れだったかな? あ、そう言えば僕を囮に使ったってどういう事?」
後で教えてくれると言っていたはず。
「お前、馬屋の主人にユニコーンの事を話しただろう?」
「え? ユニコーンだとは言ってないよ」
「……言ってはいないが、角を隠したという様な事を言っただろうが」
ユイジュさんに言われたけど、そうだっけ?
「まあそれでだな。その主人が、今回の者たちと繋がりがあるかもしれないと踏んで、ユイジュも行かせたんだ」
「え~!! なんで何も教えてくれなかったの?」
悪い奴だと知っていれば、掴まえたのに。
「まずは証拠だ。お前ごとユニコーンを手に入れようとすれば、その主人がからんでいるだろうからな」
「あのソウが出て来て確信した」
「え? あの人の事を知っていたんだ」
「そうじゃなくて、お金がないといいながら着ている物は良い物だったんだ。もしあの場所に住んでいたのならあの格好はないだろうし、それに馬小屋も柵もない場所で馬を飼うはずがない。大切な馬が逃げるだろう」
「あ、そう言えば、馬小屋なんてなかった」
僕がそう言うと、だろうとユイジュさんは頷く。
「だから馬を調べたら案の定、錬金術ではなかった。だがまさか、あんな手で来るとはな……」
はぁっとユイジュさんは、ため息をつく。
「まあお前達は囮だから、相手が動き出すのを待っていた。あのソウという奴は、お前達を捕まえる役目。指示した相手に接触するまで泳がせておいたんだ。いやぁ、チェトが追いかけてくれたお蔭で、俺達が目立たなくてすんだ」
「………」
チェトまで使うなんて!
「まあ、そんなにむくれるなって」
「マトルドはちゃんと、戻って来る?」
「あぁ。大丈夫だ」
「もうマトルドを囮にしないでね!」
「そう思うならユニコーンだとばれないようにな」
僕はダダルさんの言葉に頷いた。
と、その時ドアがバンと開けられ、見ればジョアラさんだ。
「……お、女よね?」
「え? 僕って女に見えていたの?」
入って来て唐突に驚く事を聞かれた。
「見えなかったけど、今、男だと聞いて……聖なる乙女ではないの?」
「うん?」
なぜ男に見えるのに女だと?
聖なる乙女……そう言えば、馬車の中でもそんな事を言っていた。
「ロマドは、正真正銘の男だ。ちょっと変わっているけどな」
とダダルさん。
「え……聖なる乙女ではなかったの?」
「えーと……」
「男だと言っただろう?」
と、またダダルさんが答えた。
「でも聖獣とも話していたわ」
「話せるらしいな」
と、ユイジュさん。
「それでも聖なる乙女ではないの?」
「では逆に聞くが、聖なる乙女は聖獣と話せるのか?」
「……いえ」
ジョアラさんは、僕をジーッと見つめている。そして、はぁっとため息をついた。なぜだ。
「そうよね。ユニコーンではなかったのね」
何かわからないけど、マトルドがユニコーンではなくてがっかりしたみたい。
「ユニコーンって凄いの?」
「そうよ。私の国ではユニコーンは、聖なる遣いで聖なる乙女はユニコーンから力を授かる者とされているの」
「へえ。凄かったんだ」
マトルドは聖なる遣いだったのか。
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