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27話
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「さあ、最後に今日の成果を見てみましょうか」
「では、僕のピアノの腕前を披露するとするか」
リンアールペ侯爵夫人が再開だと言うと、マクシムが立ち上がりピアノへと進む。
「では私は、ダンスの腕前を披露しようかな。メルティ嬢、お手をどうぞ」
「あ、はい! よ、宜しくお願いします」
今日の仕上げのダンス。ルイスと踊るのだったと一気に緊張するメルティ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫。足を踏んでもいいから、まずは楽しく踊ろう」
「は、はい」
毎回、王城に行っては練習場の見学に押しかけていた時に見せる態度とは違い、柔らかな微笑でルイスが言う。
練習場では、いつも無表情だった。なので、ルイスの笑顔にメルティは戸惑う。
マクシムのピアノの演奏が始まった。驚く程の腕前。さずが公爵家の令息だ。
そして、ルイスのリードで踊るダンスも踊りやすい。だがそれでも、メルティに余裕はなかった。
「メルティ嬢。間違ってもいいから笑顔で」
ルイスにそう言われ、ハッとして笑顔を顔に張り付ける。
「硬いなぁ。騎士の皆に話しかける時の様な笑顔は、私には向けてくれないのかな?」
「え……」
まさか冗談でもそんな事を言われると思っていなかったメルティは、ドキンと胸が高まる。
顔を真っ赤にするメルティを見て、クスリと笑うルイスは、優しげだ。
「思ったよりいい感じね、あの二人」
「そうね。思ったより息があっているようね。ところでなぜルイス殿下がいらっしゃったのかしら?」
「うふふ。あの子は、たまにここに遊びに来るのよ」
王太子ではないルイスは、兄よりは気楽だ。それに婚約者もいないので、どこかへ連れて出かけるという事もない。
街へ一人でお忍びに出かけてもつならないので、従兄弟であるマクシムがいるラボランジュ公爵邸へ頻繁に出入りしていた。
「そう。今日、メルティ嬢が来るのを知っていたみたいね。彼女が居ても驚いた様子を見せなかったようだから」
「そうね。伝えてあったわ」
「殿下と仲がいいのね」
「叔母ですもの」
うふふと楽しそうに答える。
「彼女、虐待は受けてはいないようだけど、扱いの差はあるようね。あからさまだったわ。姉が優秀で妹は劣っている。そう口にもしておりましたわ。教育も姉と差をつけているご様子。そうしておいて、劣っているとおっしゃるとは理解に苦しみますわ」
「そうですか。夫もマクシムも王城で二人にお会いした時に、姉妹の扱いに差があるとわかったそうですわ。しかもそれを隠そうともしていないご様子だったとか。事が起きた時のクラリサ嬢の態度を見れば、我がままに育った事が一目瞭然だったと」
「あの子の未来を取り戻して差し上げましょう」
「えぇ。私にいい案がございますの」
「ご協力致しますわ」
「ありがとう。ミリィ夫人」
二人は、うふふと笑い合う。
そんな会話をしているとは知らないメルティは、二人が怖い顔つきなったのが見えダンスがダメなんだと慌てた。
「落ち着いて、ちゃんとできているから。あ、そうだ。今日私にあった事は、ご家族には内緒にしておいてください」
「あ、はい……」
言われなくとも言うつもりはなかった。言えば、クラリサが激怒するのは目に見えている。きっと、婚約者を差し置いてと言う事だろう。
それでなくとも、一緒に練習場に行くたびに愚痴を言われていた。気に食わない事があれば、八つ当たりするのだ。
「はーい。良く出来てるわ。今日はここまで」
「はい。ありがとうございました」
メルティは、下手なりに踊れた事で、少し自信がついた。
「メルティ嬢、よくがんばったわ。ドレスの事、楽しみにしていて頂戴」
「はい。ありがとうございます」
「ここで行った事は内緒よ。ホールを借りて行ったと伝えるので話を合わせる様に。それとドレスの事も言わないでおいていいわ」
「はい」
まさか隠せと言われるとは思っていなかったメルティは、驚くも頷く。聞かれたとしても、素直に言うつもりもなかった。リンアールペ侯爵夫人がホールを借りたと言う事にしてくれると言うので、そう言う事にする。
その日は、家族があーだこーだと言うが、ダンスを一から教わる事になったとだけ伝えれば、そうよねと満足そうにクラリサが笑っていた。
普通に考えれば、一から教わって一か月切ったパーティーでまともに踊れるわけもない。
「そういえば、私も暫く踊っていなかったなぁ。こりゃ、いい恥さらしになるかもな」
そうイヒニオが言う言葉を聞いて、ハッとする。
デビュタントでは、パートナーと一緒に行って踊るのだ。婚約者が居ればその者と。いなければ、父親か兄や弟と踊る。
そう婚約者がいないメルティは、父親であるイヒニオと踊る事になる。
恥を晒す事になっても、今の言い方ならばデビュタントをぶち壊す気だとわかる。
(リンアールペ侯爵夫人に相談しなくてはいけないわね)
次の練習日に、早速リンアールペ侯爵夫人に言えば、大丈夫と言われ安堵する。用意してくれているようだ。
そしてなぜかまた、ルイスが居て練習に付き合ってくれた。
練習場ではいやいやそうなのにと不思議に思うメルティだった。
「では、僕のピアノの腕前を披露するとするか」
リンアールペ侯爵夫人が再開だと言うと、マクシムが立ち上がりピアノへと進む。
「では私は、ダンスの腕前を披露しようかな。メルティ嬢、お手をどうぞ」
「あ、はい! よ、宜しくお願いします」
今日の仕上げのダンス。ルイスと踊るのだったと一気に緊張するメルティ。
「そんなに緊張しなくても大丈夫。足を踏んでもいいから、まずは楽しく踊ろう」
「は、はい」
毎回、王城に行っては練習場の見学に押しかけていた時に見せる態度とは違い、柔らかな微笑でルイスが言う。
練習場では、いつも無表情だった。なので、ルイスの笑顔にメルティは戸惑う。
マクシムのピアノの演奏が始まった。驚く程の腕前。さずが公爵家の令息だ。
そして、ルイスのリードで踊るダンスも踊りやすい。だがそれでも、メルティに余裕はなかった。
「メルティ嬢。間違ってもいいから笑顔で」
ルイスにそう言われ、ハッとして笑顔を顔に張り付ける。
「硬いなぁ。騎士の皆に話しかける時の様な笑顔は、私には向けてくれないのかな?」
「え……」
まさか冗談でもそんな事を言われると思っていなかったメルティは、ドキンと胸が高まる。
顔を真っ赤にするメルティを見て、クスリと笑うルイスは、優しげだ。
「思ったよりいい感じね、あの二人」
「そうね。思ったより息があっているようね。ところでなぜルイス殿下がいらっしゃったのかしら?」
「うふふ。あの子は、たまにここに遊びに来るのよ」
王太子ではないルイスは、兄よりは気楽だ。それに婚約者もいないので、どこかへ連れて出かけるという事もない。
街へ一人でお忍びに出かけてもつならないので、従兄弟であるマクシムがいるラボランジュ公爵邸へ頻繁に出入りしていた。
「そう。今日、メルティ嬢が来るのを知っていたみたいね。彼女が居ても驚いた様子を見せなかったようだから」
「そうね。伝えてあったわ」
「殿下と仲がいいのね」
「叔母ですもの」
うふふと楽しそうに答える。
「彼女、虐待は受けてはいないようだけど、扱いの差はあるようね。あからさまだったわ。姉が優秀で妹は劣っている。そう口にもしておりましたわ。教育も姉と差をつけているご様子。そうしておいて、劣っているとおっしゃるとは理解に苦しみますわ」
「そうですか。夫もマクシムも王城で二人にお会いした時に、姉妹の扱いに差があるとわかったそうですわ。しかもそれを隠そうともしていないご様子だったとか。事が起きた時のクラリサ嬢の態度を見れば、我がままに育った事が一目瞭然だったと」
「あの子の未来を取り戻して差し上げましょう」
「えぇ。私にいい案がございますの」
「ご協力致しますわ」
「ありがとう。ミリィ夫人」
二人は、うふふと笑い合う。
そんな会話をしているとは知らないメルティは、二人が怖い顔つきなったのが見えダンスがダメなんだと慌てた。
「落ち着いて、ちゃんとできているから。あ、そうだ。今日私にあった事は、ご家族には内緒にしておいてください」
「あ、はい……」
言われなくとも言うつもりはなかった。言えば、クラリサが激怒するのは目に見えている。きっと、婚約者を差し置いてと言う事だろう。
それでなくとも、一緒に練習場に行くたびに愚痴を言われていた。気に食わない事があれば、八つ当たりするのだ。
「はーい。良く出来てるわ。今日はここまで」
「はい。ありがとうございました」
メルティは、下手なりに踊れた事で、少し自信がついた。
「メルティ嬢、よくがんばったわ。ドレスの事、楽しみにしていて頂戴」
「はい。ありがとうございます」
「ここで行った事は内緒よ。ホールを借りて行ったと伝えるので話を合わせる様に。それとドレスの事も言わないでおいていいわ」
「はい」
まさか隠せと言われるとは思っていなかったメルティは、驚くも頷く。聞かれたとしても、素直に言うつもりもなかった。リンアールペ侯爵夫人がホールを借りたと言う事にしてくれると言うので、そう言う事にする。
その日は、家族があーだこーだと言うが、ダンスを一から教わる事になったとだけ伝えれば、そうよねと満足そうにクラリサが笑っていた。
普通に考えれば、一から教わって一か月切ったパーティーでまともに踊れるわけもない。
「そういえば、私も暫く踊っていなかったなぁ。こりゃ、いい恥さらしになるかもな」
そうイヒニオが言う言葉を聞いて、ハッとする。
デビュタントでは、パートナーと一緒に行って踊るのだ。婚約者が居ればその者と。いなければ、父親か兄や弟と踊る。
そう婚約者がいないメルティは、父親であるイヒニオと踊る事になる。
恥を晒す事になっても、今の言い方ならばデビュタントをぶち壊す気だとわかる。
(リンアールペ侯爵夫人に相談しなくてはいけないわね)
次の練習日に、早速リンアールペ侯爵夫人に言えば、大丈夫と言われ安堵する。用意してくれているようだ。
そしてなぜかまた、ルイスが居て練習に付き合ってくれた。
練習場ではいやいやそうなのにと不思議に思うメルティだった。
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