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28話
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「あら、メルティ緊張しているの?」
「王城へ向かう馬車の中で、クラリサが楽しそうに訪ねて来た」
「はい……お姉様は緊張しておりませんの?」
「そうね。でも、楽しみの方が上回っているわ」
クラリサは、ご機嫌だ。
今日は、ルイスから正式にお茶会のお誘いがあり向かっている最中だった。
(そうでした。お姉様は知らないのでしたね。他に三人もお呼ばれしている事を)
その事を予言で知ってしまったメルティは、更に緊張していたというわけだ。
「よく来たね」
ルイスが声を掛けるも、使用人に連れていかれた庭園に設置された席に座る三人の女性を見て、クラリサはびっくりした表情を見せる。
メルティは、驚きの表情を見せはしないが緊張した顔つきだ。
「ご招待頂きありがとうございます」
クラリサがそう述べ、二人がカーテシーで礼をする。
「まあ、素晴らしいですわね」
カーテシーを見て素晴らしいと感想を言われたクラリサは自分の事だと思い、顔をほころばせた。
「さすが、リンアールペ侯爵夫人にご教授頂いている令嬢だわ」
リンアールペ侯爵夫人の名を出したのは、ラボランジュ公爵夫人だ。三人の女性の視線は、メルティを見ている。視線を追ったクラリサは、メルティを見て悔しさに唇を噛んだ。
クラリサは三人がどちらがメルティかなど知らないと思っているので、確かにメルティはリンアールペ侯爵夫人に習ったとは言え、そこまで自分と違うのかと悔しいかった。
メルティは、ワザとかもしれないと思い、素直に喜べないでいる。
ラボランジュ公爵夫人は、メルティの事を知っている。いや、メルティの顔を知っていた。だからどちらがメルティかわかっていて、そう言ったのだろうと。
二人にも話を合わせてもらう事は可能だ。ドレスがみすぼらしい方が、リンアールペ侯爵夫人に習っていると伝えるだけでわかるのだから。
「まずは、自己紹介から。私の左手に座っている方は、叔母のラボランジュ公爵夫人」
「叔母です。楽しそうなので誘って頂きました」
左手を出し、ラボランジュ公爵夫人をルイスは紹介した。
「でこちらが順に、姉上に兄上の婚約者のメーティム嬢」
簡素にルイスが紹介をする。
「ジュリエです。クラリサ嬢とは一度お会いしておりますわね」
クラリサは、ハッとする。見た事があると思えば王女だったのだ。
ルイスは母親似で鈍い緑色の髪だが、ジュリエは父親似の濃い紫色の髪だった為にすぐに気が付かなかったのだ。二人は同じ赤い瞳をしていて、これは陛下と同じだった。
「イグナシア・メーティムですわ。お噂の令嬢の顔を拝見しようと……」
「ちょ、メーティム嬢」
ルイスが慌てた様子を見せると、いたずら顔でイグナシアがほほ笑む。
その様子を見てクラリサは、ルイスは自分に気があるのだと確信する。
メーティム家は、ラボランジュ公爵家と並ぶ公爵家だ。彼女は、赤い髪と瞳の気丈な女性だった。
「ごほん。で、こちらがレドゼンツ伯爵家のクラリサ嬢とメルティ嬢。さあ、座って」
ルイスに促され二人は席につく。
「それにしてもそのドレスはないわね」
席につくなりラボランジュ公爵夫人がメルティを見て言った。
「そうね。サイズもあっておりませんし、なぜこのドレスでしたの?」
そう聞いたのはジュリエで、着ている本人ではなくクラリサの目を見て聞いている。
今日は、いつもよりはましのドレスをメルティは着ていた。クラリサから借りたのだ。お茶会なので、それなりのドレスという事で。
一つしか違わないが、メルティは小柄なので直しがないとぶかぶかだった。つまり見れば、クラリサのドレスを借りて着ているのは一目瞭然。だから姉であるクラリサに聞いた。不自然ではない。
「そうね。自身も同席するなら自分と同じぐらいの質のドレスを着せるわ」
今度は、イグナシアが二人を見比べそう言った。
クラリサは青ざめる。まさか、自分が叱咤を受けるなど思ってもいなかったからだ。
「あの……」
「いつもよりマシなドレスだよ。登城だというのにね」
居たたまれなくなったメルティが口を開こうとすると、ルイスが止めを刺すかの様に言った。
「さあ、お茶を頂きましょう」
静まり返った時、ラボランジュ公爵夫人がそう言うと、そうねと皆がお茶を飲む。メルティもお茶を口へと運ぶ。
その時、クラリサは気が付いた。
メルティが、三人と同じく優雅にティーを嗜んでいたのだ。気が付かないうちに、自分より教養が身についている。
「あら、お飲みになりませんの? このティー美味しいですわよ」
「二人の好みがわかりませんでしたので、メーティム嬢の好みに合わせました」
「あら、ありがとう。嬉しいわ」
二人が交わす会話は、クラリサの耳には入っていなかった。
今まで下に見ていたメルティが同席している者達と同じレベルで、たった一人自分だけがそのレベルに達していない事実に愕然としていたからだ。
手が震え、ティーカップを持つ事が出来ない程に。
(お姉様大丈夫かしら)
クラリサが普段見せない顔色に、もしかして緊張でお腹でもいたくなったかと、メルティは心配になる。
メルティは、ここ数日でラボランジュ公爵夫人やルイスと過ごしていた為、逆に二人がいる事で初めて対峙する王女であるジュリエと公爵令嬢であるイグナシアが一緒でも、そこまで緊張しないですんでいたのだった。
「王城へ向かう馬車の中で、クラリサが楽しそうに訪ねて来た」
「はい……お姉様は緊張しておりませんの?」
「そうね。でも、楽しみの方が上回っているわ」
クラリサは、ご機嫌だ。
今日は、ルイスから正式にお茶会のお誘いがあり向かっている最中だった。
(そうでした。お姉様は知らないのでしたね。他に三人もお呼ばれしている事を)
その事を予言で知ってしまったメルティは、更に緊張していたというわけだ。
「よく来たね」
ルイスが声を掛けるも、使用人に連れていかれた庭園に設置された席に座る三人の女性を見て、クラリサはびっくりした表情を見せる。
メルティは、驚きの表情を見せはしないが緊張した顔つきだ。
「ご招待頂きありがとうございます」
クラリサがそう述べ、二人がカーテシーで礼をする。
「まあ、素晴らしいですわね」
カーテシーを見て素晴らしいと感想を言われたクラリサは自分の事だと思い、顔をほころばせた。
「さすが、リンアールペ侯爵夫人にご教授頂いている令嬢だわ」
リンアールペ侯爵夫人の名を出したのは、ラボランジュ公爵夫人だ。三人の女性の視線は、メルティを見ている。視線を追ったクラリサは、メルティを見て悔しさに唇を噛んだ。
クラリサは三人がどちらがメルティかなど知らないと思っているので、確かにメルティはリンアールペ侯爵夫人に習ったとは言え、そこまで自分と違うのかと悔しいかった。
メルティは、ワザとかもしれないと思い、素直に喜べないでいる。
ラボランジュ公爵夫人は、メルティの事を知っている。いや、メルティの顔を知っていた。だからどちらがメルティかわかっていて、そう言ったのだろうと。
二人にも話を合わせてもらう事は可能だ。ドレスがみすぼらしい方が、リンアールペ侯爵夫人に習っていると伝えるだけでわかるのだから。
「まずは、自己紹介から。私の左手に座っている方は、叔母のラボランジュ公爵夫人」
「叔母です。楽しそうなので誘って頂きました」
左手を出し、ラボランジュ公爵夫人をルイスは紹介した。
「でこちらが順に、姉上に兄上の婚約者のメーティム嬢」
簡素にルイスが紹介をする。
「ジュリエです。クラリサ嬢とは一度お会いしておりますわね」
クラリサは、ハッとする。見た事があると思えば王女だったのだ。
ルイスは母親似で鈍い緑色の髪だが、ジュリエは父親似の濃い紫色の髪だった為にすぐに気が付かなかったのだ。二人は同じ赤い瞳をしていて、これは陛下と同じだった。
「イグナシア・メーティムですわ。お噂の令嬢の顔を拝見しようと……」
「ちょ、メーティム嬢」
ルイスが慌てた様子を見せると、いたずら顔でイグナシアがほほ笑む。
その様子を見てクラリサは、ルイスは自分に気があるのだと確信する。
メーティム家は、ラボランジュ公爵家と並ぶ公爵家だ。彼女は、赤い髪と瞳の気丈な女性だった。
「ごほん。で、こちらがレドゼンツ伯爵家のクラリサ嬢とメルティ嬢。さあ、座って」
ルイスに促され二人は席につく。
「それにしてもそのドレスはないわね」
席につくなりラボランジュ公爵夫人がメルティを見て言った。
「そうね。サイズもあっておりませんし、なぜこのドレスでしたの?」
そう聞いたのはジュリエで、着ている本人ではなくクラリサの目を見て聞いている。
今日は、いつもよりはましのドレスをメルティは着ていた。クラリサから借りたのだ。お茶会なので、それなりのドレスという事で。
一つしか違わないが、メルティは小柄なので直しがないとぶかぶかだった。つまり見れば、クラリサのドレスを借りて着ているのは一目瞭然。だから姉であるクラリサに聞いた。不自然ではない。
「そうね。自身も同席するなら自分と同じぐらいの質のドレスを着せるわ」
今度は、イグナシアが二人を見比べそう言った。
クラリサは青ざめる。まさか、自分が叱咤を受けるなど思ってもいなかったからだ。
「あの……」
「いつもよりマシなドレスだよ。登城だというのにね」
居たたまれなくなったメルティが口を開こうとすると、ルイスが止めを刺すかの様に言った。
「さあ、お茶を頂きましょう」
静まり返った時、ラボランジュ公爵夫人がそう言うと、そうねと皆がお茶を飲む。メルティもお茶を口へと運ぶ。
その時、クラリサは気が付いた。
メルティが、三人と同じく優雅にティーを嗜んでいたのだ。気が付かないうちに、自分より教養が身についている。
「あら、お飲みになりませんの? このティー美味しいですわよ」
「二人の好みがわかりませんでしたので、メーティム嬢の好みに合わせました」
「あら、ありがとう。嬉しいわ」
二人が交わす会話は、クラリサの耳には入っていなかった。
今まで下に見ていたメルティが同席している者達と同じレベルで、たった一人自分だけがそのレベルに達していない事実に愕然としていたからだ。
手が震え、ティーカップを持つ事が出来ない程に。
(お姉様大丈夫かしら)
クラリサが普段見せない顔色に、もしかして緊張でお腹でもいたくなったかと、メルティは心配になる。
メルティは、ここ数日でラボランジュ公爵夫人やルイスと過ごしていた為、逆に二人がいる事で初めて対峙する王女であるジュリエと公爵令嬢であるイグナシアが一緒でも、そこまで緊張しないですんでいたのだった。
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